証券取引等監視委員会 SBI証券に処分勧告へ IPOめぐる株価操作で

日本経済新聞は12/13、「証券監視委、SBI証券に処分勧告へ IPOめぐる株価操作で」と報じました。上場後、初めてつく株価である「初値」を人為的に操作する法令違反行為があったもようだ、としています。SBI証券はネット専業証券だし、不思議な話だなぁと思いました。

SBI証券

SBI証券はオンライン証券事業を中核とするSBIホールディングス傘下の証券会社。旧商号は、SBIイー・トレード証券株式会社。総合口座数954万口座を持ち、口座数では約530万口座の野村證券を上回るSBIグループの中核事業会社で、インターネット証券最大手です。

IPOの初値買い

これを書いている時点では証券取引等監視委員会からの公表はありません。SBI証券は引受業務を手がけるIPO(新規上場)案件で、初値をより高くするため、傘下の金融商品仲介業者を通じて顧客に買い注文を入れさせていたとみられる。と日経は伝えています。

ネット証券だけど、一応SBIマネープラザという店舗(20店舗あるらしい)では対面営業もやってるようです。ただその規模は大きくなさそうで、日経の記事でも「傘下の金融商品仲介業者を通じて顧客に買い注文をさせていた」と書いています。

これって、IFA(資産運用アドバイザー)のことでしょうね。証券会社に属さないことで、より顧客に寄り添うアドバイスができ、これからの証券営業の新しい形として期待されていました。それが今回、注文をつなぐ証券会社の事情を優先して顧客に初値を買わせていた。ってことのようです。IFA業界にはこれ、かなりダメージのありそうなニュースです。

トモニHDの公募増資 公表直前に大量の空売り

トモニHDは12/5、「新株式発行及び株式売り出しに関するお知らせ」を公表しました。公募増資により新たに2,800万株を発行。さらにオーバーアロットメントによる最大420万株の売り出しも予定するというもの。公募増資により1株利益の希薄化等を嫌気した売りを誘い、翌日の12/6はストップ安となりました。

トモニHD

トモニHDは徳島大正銀行(徳島県・大阪府地盤)、香川銀行(香川県地盤)を傘下に持つ金融持株会社。銀行業務を中心に、リース業務、カード業務、ベンチャーキャピタル業務などの金融サービスを展開する東証プライム上場企業です。

公表前に大量の空売りが

ある株主さんがSNSに投稿されているのを見て知ったのですが、12/5の取引終了後に公表されたこの公募増資。しかし、この日の取引時間中に約53万株の空売りが入ってるんですね。それまでの空売り残高は4万株程度ですから、めちゃくちゃ目立つ空売りです。その後の残高をみると今現在も空売りしたままのようです。

470円台を空売りして現在の株価は380円台。まさに濡れ手に粟。このある株主さんはインサイダー取引を疑い、トモニHDに対し調査を依頼。証券取引等監視委員会に対しても、日証金のデータをも示し、告発されたんだそう。不正は許してはいけません。素晴らしい。

日証金へ貸株の申し込みをした証券会社もすぐに分かりますし、当該証券会社を通じて誰が売ったのかも速攻で分かります。トモニHDや引き受けに関わった業者は監視委員会による調査結果を待つことなく、自社調査等により事実を公表すべきですね。

親子上場の意義 東証が開示要請 1000社超が対象

日本経済新聞は12/11、「親子上場の意義、東証が開示要請 1000社超が対象」と報じました。親会社が企業グループとしての利益を優先することで子会社に不利益になるような経営を進めても、子会社の少数株主がその決定を覆すのは難しいなどの問題が指摘されてきました。

親子上場

東京証券取引所は親子関係や持ち分法適用関係にある上場会社1000社超に対して12月にも、企業統治に関する情報開示の拡充を求めるということです。企業側は上場子会社を持つ意義や、子会社の独立性確保のための取り組みなどの説明が必要になります。

少数株主の利益を脅かしかねない親子上場などには相応の説明責任を求め、市場全体の魅力向上につなげるのが目的だそうです。まずは投資家に対してしっかり説明しなさいということなんですね。

PBR1倍割れ

今年3月末、東京証券取引所はPBR(株価純資産倍率)の低迷する上場企業に対して改善策を開示・実行するよう要請しました。それ以降ご存じの通り、PBR1倍割れ企業はそれを何とか改善しようと、自社株買いや増配などの対策も行い、ある意味今年の上昇相場トレンドを作ってきましたよね。

その経験から、今回の親子会社に関する説明責任を求めるという施策が次の相場トレンドを作るのではと考える向きが少なくないようです。親子上場を解消するための親会社によるTOBやらMBOも増加しそうです。もちろん、親会社が子会社株を売却してしまう可能性もありますが。

日本証券業協会 三木証券に過怠金8,000万円

日本証券業協会は11/15、「協会員に対する処分及び勧告について」を公表しました。処分を受けたのは三木証券。高齢者への外国株式の販売を巡り、不適切な勧誘行為や法令違反があったとして、過怠金8,000万円を課したということです。

三木証券

三木証券は上場企業ではありません。資本金は5億円、支店数は7店舗、従業員150名程度の小さな証券会社です。調べた限りではどこかの大手証券会社の系列でもなさそうです。大株主にもみずほ銀行が入っているくらいです。

30年前の営業スタイル

三木証券は80~90歳代の少なくとも顧客18人に対して、外国株取引ができるほどの認知判断能力を持ち合わせていないと認識しながら、必要な説明をせずに取引をしていたということです。顧客らは会話がかみ合わなかったり、数分前の会話を覚えていなかったりする状態だったと。

いやぁ、これ、認知症の高齢者をダマして手数料稼ぎ。相応の理解力や記憶力があったとしても、高齢者との取引で仕組み債や外国株なんて既に原則ご法度ですよ。ここまでの酷い営業させてる会社がまだあるんですね。

勧告・行政処分・過怠金

この事案、今年9月に行われた証券取引等監視委員会の同社に対する検査で見付かったもの。9/15に検査結果に基づく勧告がされ、10/6には関東財務局から行政処分を受けています。そして今回の日証協の処分(課徴金8,000万円含む)です。

中小証券の中にはまだこういうの残ってるんでしょうね。監視委員会の資料には、「代表取締役社長自らが主導して、コンプライアンス部門の人員を削減している・・・」なんて話も出てきます。

フェローテックホールディングス 大泉製作所株式に対する公開買付けを公表

フェローテックホールディングスは11/10、「株式会社大泉製作所株式(証券コード:6618)に対する公開買付けの開始に関するお知らせ」を公表しました。このTOBに関する公表は、同日の15:30に行われています。

フェローテックホールディングス 大泉製作所

フェローテックは、半導体・FPD(フラットパネルディスプレイ)製造装置向け製品と電子デバイス製品の製造販売・サービス提供を行う企業。コア技術として、磁性流体(磁石に反応する液体)とサーモモジュール(電流によって発熱・吸熱を制御する半導体素子)を持っています。

一方でTOBを仕掛けられる大泉製作所は、熱・温度変化によって電気抵抗値が変化する半導体セラミックスのサーミスタを利用した各種電子部品のメーカー。サーミスタ温度センサのリーディングカンパニーです。

フェローテックは大泉製作所の株式を既に51%保有しており、今回発行済株式の全てを取得し、大泉製作所を完全子会社化するという情報だったんですね。公開買付け価格は1,300円です。

ド派手なインサイダー取引

11/10の引け後(15:30)に1,300円でのTOBを公表。ところが11/10の取引時間中に株価は急騰し、この日の終値は1,035円(+150円のストップ高)です。さらにそれ以前の数日間も不自然に上昇(150円ほど)しており、明らかにどこからかTOBの情報が洩れている様子がうかがえます。

どこから漏れたんでしょうね。これだけド派手なインサイダー取引も珍しいです。既に各証券会社には、自主規制機関や監視委員会から問い合わせ(買付顧客のリスト提出要請)が来てると思います。