野村證券 東証市場区分 不適切な情報伝達事案にかかる調査結果

5/28 野村ホールディングスおよび野村證券は金融庁から業務改善命令を受けました。東京証券取引所の市場区分見直しに関する非公開の情報を、一部の投資家に伝達していたというヤツです。これに先立ち、野村ホールディングスが自ら行った特別調査の結果と改善策を公表しています。

閾値250億円という目線が急浮上

NRI(野村総合研究所)の研究員からメールで情報を取得したストラテジストがメールに掲載した一行コメントだそうです。どうやらNRIの研究員についてはそれほど責任を問うてないようで、もっぱらこのストラテジストとその先の営業員が悪者になってます。過去にも問題を起こしているこのストラテジストの行動を特別にモニタリングしておくべきだったというくだりもあります。

ストラテジストからメールを受けた営業員はと言うと、、、。当該メールの都合の悪い記述を削除し、「既に500億円という目線で売られているとしたら、買い戻される可能性があるかもしれません」という文言を加えて21社にメールした者。「250億円から500億円までの時価総額のものは買い戻されるかもしれませんので、単純ではありますが、フィルタしました。」と記載し、当該銘柄リストを添付して7社にチャットで共有した者。

で、結局、日経が250億円の閾値に関する報道をするまでの間に、250億円に言及した営業員は7名確認できたとあります。

コンプライアンスは法令遵守?

調査の過程で行われた意識調査アンケートでは、今回の不適切な情報伝達に関し、「重要事実や法人関係情報に該当しないから問題ない」と評価する意見も一部に見られたとしています。また、ストラテジストのメールを受信した社員の誰からも問題提起がなかったことも含めて、コンプライアンスを単なる法令遵守に限定してしまっていることを問題視しています。

コンプライアンスは、社会常識あるいは社会の期待に応えることを含めた概念であることを看過し、市場のゲートキーパーとして証券会社の役割を果たすという意識が未だ全社員に徹底されていないとしています。おっしゃる通りですね。

「コンダクト」の考え方を浸透・定着

改善策もてんこ盛りなんですが、その中の一つに、「コンダクトの考え方を浸透・定着させるための取組」というのがあります。「コンダクト・リスク」、一昨年くらいから金融庁が使い始めた横文字です。コンダクト・リスクというのは金融機関が求められる社会規範や倫理を逸脱することで、顧客保護や市場の健全性に悪影響を及ぼすリスクというような意味で使っているようですが、、、これを浸透させるとかって結構難しそうですね。

今さらコンダクトという言葉を持ち出さなくても、コンプライアンスの範囲を再定義して、社員一人一人に自分で考えさせる習慣をつけさせる方が良いんじゃないかなぁ。とkuniは思います。