インサイダー取引未然防止のための社員教育と態勢整備

昨日書いた小林製薬の社長会見の内容について、もう少し掘り下げてみます。「当社ではインサイダー情報について教育を行っています。その情報により売買の事前の社内許可制をとっている。インサイダー取引はないものと信じている」、というお話でしたね。

インサイダー取引未然防止策

役職員によるインサイダー取引を未然に防止するためのルール作りには、各社いろいろ工夫、苦労されていると思います。小林製薬でも「売買の事前の社内許可制」をとっているということでした。しかし、この程度は上場企業であればごく当たり前の態勢と言っていいでしょう。

一歩踏み込んで、自社株の売買を禁止するとか、売買したければ自社を通じて証券会社に注文をつなぐといった態勢も考えられます。要するに役職員の売買を完全に把握することで、保有状況までを自社で把握しておくということです。役職員の反発もあるでしょうが、「自由に株を売買したい」のであれば、自社株以外でやれ、ということですね。自社株は長期保有の観点で持株会でやれと。

インサイダー取引に関する社員教育

インサイダー取引とはそもそもどういう目的で設けられた規制なのか。どういう取引がインサイダー取引に該当してしまうのか。こういった法規制に関する研修・教育等も重要です。上場企業なんですから、主幹事証券に依頼して講師を派遣してもらうことも可能ですよ。

この社員教育で一番重要なのは、何よりもまず、社長をはじめとした取締役や執行役員への教育から始めることです。自社の業績動向やら増資に関する情報、TOBに関する交渉状況など、インサイダー取引に該当しかねない情報が常に身の回りにあるからです。実際に接してみるとビックリするくらい無知な役員が多いものです。