ESG 「RE100」 「TCFD」 「SBT」(その2)

一昨日の続きです。一日遅れました。すみません。

SBT(Science Based Target)

世界の平均気温の上昇を「2度未満」に抑えるために、企業に対して科学的な知見と整合した削減目標を設定するよう求めるイニシアティブで、2015年にWWFおよびCDP、国連グローバル・コンパクト、WRI(世界資源研究所)が共同で設立しています。日本語だと、「科学的根拠に基づく目標」と呼ばれているようです。

科学的根拠に基づいた温室効果ガスの排出量削減目標の設定を促すことを目的としており、2019年3月時点で、世界191社が加盟し目標が認定されていて、日本からは第一三共、小松製作所、コニカミノルタ、リコー、ソニーなど39社が入っているようです。また、同時点で350社が2年以内の目標設定を表明しているんだそうです。この中には日本企業は34社だそうです。

やはり、上記の目標が認定までされている日本企業の中に、金融は含まれてませんね。目標設定を表明している34社の中には、損保3社が入ってました。

SBTに加盟することで、イノベーションの促進、規制の不確実性の軽減、投資家からの信用・信頼を高める、収益力と競争力を改善する、などの効果が期待できる。と説明されていました。

まとめ

RE100、TCFD、SBT、について見てきました。このうち、RE100とSBTについては賛同する企業が参加するイニシアティブということでしたが、他にもEP100だとか、BELOW50、EV100などなど、たくさん出てきます。「脱炭素」への取り組みなど、環境問題を重視し、世界中の企業が取り組んでいくことは非常に良いことだと思いますが、イニシアティブの乱立なんとかならんもんですかね。

ここまで書いてきたこと、書ききれなかったことも含めて、環境省の「グリーン・バリューチェーンプラットフォーム」というページに詳細が整理されています。ご興味ありましたらご覧ください。

TSR(トータル・シェアホルダー・リターン)株主総利回り(その2)

TSR 株主総利回りについては以前取り上げた通り、キャピタルゲインと配当を合わせた、株主にとっての総合投資利回りです。改正された企業内容等の開示に関する内閣府令により、有価証券報告書への記載が義務付けられました。今後、TSRの推移と役員の報酬額の推移が比較できるようになるわけですね。

利回り?

利回りという言い方をするもんですから、該当する期間の株価上昇分と同期間の配当総額を足して、直前期末の株価で割りたくなりますよね。で、利回りは10%とか、12%っていう感じです。

ところがこの法令が求めるTSRは、期末の株価(株価上昇分ではなく)と期中の配当の和を直前期末の株価で割りますので、110%とか、112%という数字になります。5年で株価が2倍になってたりすると、250%とかになるわけです。こういうのって普通利回りって言わないですよね。「期間株主総収益」とかいう名称の方がイメージしやすかったかもしれません。

株主優待は?

株主が受け取ったすべての経済的価値を指標化するのが目的だったはずですから、ここに株主優待の経済価値を上乗せするのはどうでしょう。バカなことをと怒られそうですが、経済的な価値を認めているからこそ、個人投資家は株主優待に敏感です。各上場企業の優待内容を一覧にした書籍なんかも少なくありません。

もともとTSRを有価証券報告書に・・・というアイデアは欧米から輸入したモノです。株主優待という制度が欧米にはなく、日本特有の制度であるため、今回取り入れられていませんが、十分ありだと思います。機関投資家にとっては意味のないことかもしれませんが、個人投資家・少数株主にとっては結構重要なファクターですから。

またはこれに類する他の方法により算定した割合

開示府令の株主総利回りの計算方法について規定している部分。最後のところに、「またはこれに類する他の方法により算定した割合」というのがあります。「これに類似した他の方法で計算するのもありだよ」ということですから、ここで優待制度も読んじゃいましょうか。

2019年3月期の決算短信は出そろいましたが、有価証券報告書は6月末までですね。TSRに加えて、独自の判断で株主優待を加味したTSRを載せてくる企業(もしくはオマケで載せてくる企業)が出てくるかどうか、期待したいと思います。

ESG 「RE100」 「TCFD」 「SBT」

エネルギー源を石油や石炭などの火力から、太陽光や風力へと転換する、いわゆるエネルギーシフトが世界中で急速に進んでいます。金融機関は二酸化炭素を大量に排出する石炭火力発電には資金を出さなくなってきましたし、商社などもこれに追随する動きを見せています。日本でも「脱炭素」への取り組みが経営の重要要素になってきてしまいました。今日はこの動きを理解していくための3つの用語について、整理しておきます。

RE100(Renewable Energy 100%)

RE100は、The Climate GroupとCDPによって運営される、企業の自然エネルギー100%を推進する国際ビジネスイニシアティブです。企業による自然エネルギー100%宣言を可視化するともに、自然エネの普及・促進を求めるもので、世界の影響力のある大企業が参加しています。

2014年に発足したRE100には、2019年3月時点で、世界の177社が参加しています。日本企業ではソニー、リコー、富士通、コニカミノルタといった企業17社が名を連ねていました。ちょっと意外なところでは、コープさっぽろ、城南信用金庫、ワタミなんて言う名前もあります。残念ながら、金融37社の中には、城南信用金庫と芙蓉総合リースのみ。メガバンクや地銀等の名前はありません。

RE100プロジェクトに参加するには、事業運営を100%再生可能エネルギーで行うことを宣言しなければなりません。多くの現参加企業は、合わせて100%達成の年を同時に宣言しています。100%達成は、企業単位で達成することが要求され、世界各地に事業所等がある企業は、その全てで100%を達成しなければなりません。また、ここで定義される「再生可能エネルギー」とは、水力、太陽光、風力、地熱、バイオマスによる発電を指していて、原子力発電は含まれないようです。

TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)

気候関連財務情報開示タスクフォース、だそうです。G20財務大臣・中央銀行総裁会議の指示により、金融安定理事会(FSB)が設置したTCFDの提言が2017年6月に公表されたことをきっかけに、気候変動に関する企業の取組について、投資家等からの情報開示の要請が高まっているということです。

気候変動を含むESGを、リスク管理の強化や新商品の開発といった企業競争のために、どのように活用できるかという視点で、長期戦略の問題として取り組んで行こう。という世界的な取り組みらしいです。つまりこちらは、企業が加盟するとかではなく、賛同して取り組み、投資家に開示する、といった文脈で使われることが多そうです。FSBが中心になっているということもあり、金融機関はこちらへの取り組みがメインになっている模様です。

長くなりました。SBTについては明日、その2として書きますね。

フラット35 不正利用

またまた不動産絡みの不正ですね。この業界は闇が深いです。フラット35というのは、住宅金融支援機構が提供する長期固定金利の住宅ローンのこと。自ら居住するためにだけ融資が受けられるんですが、これを偽り不動産投資目的で利用している奴らがいるというお話です。

アルヒ

住宅ローン融資を手がけるアルヒは、フラット35をめぐる審査を厳格化したと発表しました。2019年春から、新規に案件を仲介する不動産会社に対しては、業者と直接面談して顧客を管理する体制などを確認するようにしたほか、年初からフラット35を手掛ける住宅金融支援機構と組んで融資の調査に乗り出したそうです。

このアルヒという会社、フラット35の取り扱い実績では実行件数において8年連続シェアNo.1を続けているそうです。が、コロコロと社名も変更していて、なんだかよくわからない会社ですね。2017年12月に東証一部に上場しています。

住信SBIネット銀行

実はこのフラット35の不正利用、今年1月にも次のような報道がありました。「インターネット専業の住信SBIネット銀行は、借り入れ希望者の居住用の住宅ローンとして実行した融資が、実際には投資用不動産の購入に使われていた疑いがあったことを明らかにした。一般的に住宅ローンの方が投資用不動産向け融資(アパート融資)より金利が低い。審査書類が改ざんされていた可能性もあるとして、同行は調査を進めている」。この報道を受けてアルヒは審査を厳格化し、機構とも協力して調査に乗り出したんですかね。

またしても投資用不動産

アパート等の投資用不動産融資をめぐっては、銀行からより多くの融資を引き出すために、不動産業者が借り入れ希望者の年収や資産内容を水増しするといった不正が相次いで発覚してきました。

昨年末には、東証1部上場でアパートの施工・管理を手がけるTATERUが、書類の改ざんなどの不正が350件見つかったと発表しましたし、スルガ銀行では、行員による不正の意図的な見逃しや積極的な関与が明らかになっているところです。

金融庁も昨年から、すべての銀行を対象にアパート融資の実態調査を進めていますし、国土交通相も住宅金融支援機構に再発防止を指示したということです。どうやらまた新たな不正が出てきそうな気配ですね。

ある日(アルヒ)、レオパレス21で、建てる(TATERU)。みたいなセットになるんでしょうか。

歩行者の交通事故 歩行者優先への切り替え

滋賀県大津市で、散歩中に交差点で信号待ちをしていた保育園児たちの列に、普通乗用車と衝突した軽自動車が突っ込んで、2人の園児が亡くなり、9人が重傷を負うという悲惨な事故が起きてしまいました。5/8の出来事です。

4月中旬には、池袋で時速100キロ以上のスピードで暴走し、次々と人間を轢き、2人の母子が死亡、8人が重軽傷を負った事故もありました。暴走した車の運転手は87歳の高齢者です。また、ほぼ同じ時期に、神戸三宮で神戸市営バスが暴走し、2人が死亡し、6人が重軽傷を負うという事故も起きています。こちらの運転手は64歳だそうです。

歩行者に優しくない日本

今年1月に「平成30年中の交通事故死者数について」という記事を書きました。その中で触れたように、2018年の全国の交通事故による死者は前年より162人少ない3,532人になり、過去最低を更新中です。

ダイヤモンドオンラインの記事「歩行者の死亡事故ダントツの日本、ドライバー厳罰化で解決できない理由」を読みました。この記事では、実は日本の歩行者は、他の先進国より自動車事故の犠牲になりやすい、ということを言っています。

人口10万人当たりの交通事故死者数では、日本は先進国水準といえるものの、その死者数のうち、歩行中に事故に巻き込まれて亡くなった人が37.3%を占めるという現実があるんだそうです。これは、他の先進国よりもかなり高い数字です。つまり、他の先進国ではドライバーや同乗者の死者が多く、日本では事故に巻き込まれた歩行者が多いという事実です。ただ、もちろんこの数字には、歩行者自身に過失がある場合も含んでいると思われますが、、、。

このデータの正確性を議論する必要はないでしょう。最近報道される事故を見ていると、歩行者を保護する新たな政策は必要だと思われます。

事故が起きることを前提とした歩行者保護

自動ブレーキなどの技術が搭載され、事故を起こさないための対応はとられてきましたが、そろそろ、それでも事故は起こるんだという前提での議論を始めるべきだと思います。ドライバーの高齢化は止められませんし、日本人のドライブマナーも低下を続けているようです(もちろん、マナーを改善するための努力は必要でしょうが)。そうした事実をまず受け入れなければなりません。

車優先で作られてきた道路や歩道、まずは歩行者優先にいったん頭を切り替えてみましょう。歩行者に負担となる歩道橋の廃止、歩道の徹底整備など、いろいろな施策が考えられるんじゃないかな。と思います。