またまたトヨタグループで不正 下請法違反

日本経済新聞は7/1、「トヨタ子会社に下請法違反で勧告へ 50社に金型無償保管」と伝えました。またまたトヨタグループ企業での不正です。金型を下請け企業に無償で長期間保管させたなどとして、公正取引委員会が近く、下請法違反で再発防止を勧告する方針を固めたとのこと。

トヨタカスタマイジング&ディベロップメント

不正が行われていたのはトヨタカスタマイジング&ディベロップメント。同社は一般車両向けの車体パーツのほか、救急車やレーシングカーなどの製造と開発を手がける企業。トヨタが9割超の株を保有する子会社です。

下請法違反(利益提供要請の禁止など)

自動車部品の大量生産に必要な金型を、下請け業者に無償で長期間保管させたというのが違反の内容。遅くとも約2年前から、新たな発注の見込みがないにもかかわらず、バンパーやタイヤのホイールなどの製造に使う自社所有の金型や検査用器具など650セット超を、全国の下請け業者約50社に預けたまま、倉庫などに保管させていたといいます。トヨタ側は違反を認め、被害相当額を業者側に全額支払う見通しだそう。

さらに日経では書かれていませんでしたが、別の報道によると同社は、「5000万円分を超える車体パーツを不当に返品していたとみられる」という情報もあるようです(同じく下請法の不当な返品の禁止に該当)。しかしまぁ、いろいろ出てきますね、トヨタグループ。

冒頭書いた下請け企業50社というのは、おそらく公取委が確認できた件数だと思われます。グループ内で実態調査を行えば、もっとすごい数になる可能性もありそうです。

シスメックス株式会社 公正取引委員会が独占禁止法違反の疑いで立ち入り検査

シスメックス株式会社は6/4、「公正取引委員会による当社への立ち入り検査について」を公表しました。日本市場における血液凝固測定装置および試薬(FDP を測定する試薬および D ダイマーを測定する試薬)の取引に関し、独占禁止法違反(抱き合わせ販売等)の疑いがあるとのこと。

シスメックス株式会社

シスメックスはヘマトロジー(血球計数検査)、免疫検査、血液凝固検査など検体検査に必要な機器・試薬・ソフトウエアの研究開発から製造、販売・サービス&サポートまでを一貫して行う総合メーカー。血液凝固測定装置は国内市場規模は約27億円で、シスメックスが半分ほどのシェア。もちろん東証プライム上場企業です。

試薬を抱き合わせ販売

同社の開示では詳細は語られていませんが、報道によると、同社は遅くとも2019年ごろから血液凝固測定装置を販売する際、病院などの取引先に自社の試薬の購入を強要し、公正な競争を阻害した疑いが持たれているとのこと。血液凝固測定装置は手術を控えた患者の血液が固まりやすいかどうかを調べる用途などに使われるんだそう。

第一報では、同社の営業担当者が取引先に対して「他社の試薬を使うのなら装置の販売をしない」などと説明していたということでしたが、その後、取引先に「他社の試薬は使えない」などと虚偽の説明をして販売していたという報道も。いずれにせよ、独禁法の禁じる「抱き合わせ販売等」にあたるわけですが。

ジェット機エンジンの欠陥に、カルテルも IHIは踏んだり蹴ったり

公正取引委員会は9/12、独禁法違反(不当な取引制限)容疑で、機械式駐車設備のメーカー8社に対して立ち入り検査を実施したようです。メーカー8社がカルテルを結び、ゼネコンからの発注に対して受注調整していた疑いがあるということです。

メーカー8社

立ち入り検査を受けたのは、新明和工業やIHI子会社のIHI運搬機械、住友重機械工業子会社の住友重機械搬送システム、日精、日本コンベヤ、日本ケーブル、日成ビルド工業、フジパスクの計8社。各社一斉に立ち入り検査を受けたことを開示しています。

各社は担当者同士が電話やメールなどで、ゼネコンから発注される機械式駐車設備の見積価格を事前に相談。特定の企業が受注できるよう調整し、自由競争を制限した疑いが持たれているとのこと。

IHI株式が急落

こういうことがあると、上場企業の株価は売られるわけですが、この日はIHIの株価が大変なことになってました。同社の立ち入り検査に関する開示は14時に行われたんですが、まったく別の事案(悪材料)も出てましたね。同社が一部製造を担当するジェット機エンジンで欠陥がみつかったというもの。

週初3,800円ほどしていた株価が約600円安まで売られ、翌日も下げて3,088円です。エンジンの欠陥の方の話題がメインで売られたんだと思いますが、立ち入り検査という材料も当然悪材料なわけで・・・。いやぁ、IHIの株主には踏んだり蹴ったりの一日でした。

ディスカウントスーパーの「オーケー」 値下げ分の補填を業者に要請

8/11付の日本経済新聞は、「オーケー、値下げ補填を業者に要請 公取委調査受け中止」と報じました。なんでここだけこんなに安く販売し、こんなに勢いがあるんだろう。そんなスーパーでしたが、やはりその裏にはこういう不正が存在したという話。ビッグモーターと一緒です。

オーケー

「オーケー」は、神奈川県に本社を構えるディスカウントスーパー。会社設立は1967年、現在資本金28億円という企業です。従業員数は1万6千人を超え、売上高は5,500億円。関東を中心に142店舗を運営しています。これだけの規模、ネームを誇りますが上場企業ではありません。

今回調べて初めて知ったんですが、創業者一族はなかなか名門のよう。同社の創業者は三男で、長男は父親の事業を継ぎ、次男は居酒屋チェーン「天狗」のテンアライド最高顧問。そして四男はセコムの最高顧問なんだそう。凄いね。

不正の概要

公正取引委員会が独占禁止法上の優越的地位の濫用の観点で調査を進めてきたようで、この調査を受けオーケーは7月、取引先や公取委に対して、「競合店対抗値下げに伴う補填要請を取りやめた」と報告したそうです。数年間続いていたとされる不正、ゲロしてすべてを終わらせようとしたんですね。

日経がオーケーに対する取材で掲載していたコメントが笑えます。「公取委の問い合わせを機に見直しを行い、補填を取りやめることにした。今後ともコンプライアンスを一層徹底していく」。いやいや、「今後とも」じゃなくて、「今後は」でしょ。

エムスリー グループ会社に公正取引委員会が立ち入り検査

日本経済新聞は5/24、「介護ソフト開発、公取委立ち入り 取引に条件、拘束疑い」と報じました。立ち入り検査を受けたのは、介護事業者向けシステム開発のロジック(金沢市)という会社。スマートフォンを通じてヘルパーの業務内容や時間を管理するソフトを開発・販売している企業です。

エムスリー

エムスリーは、医療従事者向けプラットフォームを活用し、医療関連の各種サービスを提供する企業。国内では日本最大級の医療従事者専門サイト「m3.com」を運営し、海外では米国や英国等のグループ企業が医療従事者プラットフォームを運営。国内30万人以上、世界600万人以上の医師が利用しています。東証プライム上場のエクセレントカンパニーです。

立ち入り検査

ロジックは、「全身を拭いた」、「おむつを交換した」といった介護記録を、スマートフォンを通じて管理するソフト「ケアウイング」を開発・提供しており、現在、全国で約2,400の介護事業所が導入しているそうです。

同社は遅くとも20年頃から、介護報酬を請求するためのソフトを製造販売する取引先に対し、ケアウイングの宣伝や営業先での売り込みを要請。断った会社には、ケアウイングに蓄積された介護記録へのアクセスを認めなかったといいます。

介護報酬の請求には介護記録を入手する必要があるため、取引先はロジックの求めに応じざるを得なかったとみられ、公取委は同社の行為が独禁法の禁じる「拘束条件付き取引」などに当たる可能性があるとみて調べています。

同社の22年3月期の売上高は10億円で、19年3月期の3倍超に急増しているようで、、、たしかにエグイことやってそうな感じです。ロジックがエムスリー傘下に入ったのは22年3月ですから、エムスリーもこうした実態を知らなかったかもしれません。ちなみにこの件について、エムスリーは何も開示等していません。