三菱自動車 パナソニック 技能実習認定取り消し

また、三菱自動車がやらかしました。っていうか、やらかしたことに対するペナルティが公表されたということです。1/26 日本経済新聞の記事です。技能実習生に本来させるべき(計画した)業務をやらせていなかったということで、今後5年間の技能実習生の受け入れを禁止するというもの。

何度やっても懲りない奴ら

三菱自動車のこの不正は去年夏頃にすでに報道されていましたね。日産自動車も同様に報道されています。燃費不正問題、検査不正問題、そして会長による不正行為。こういう企業がまだ生き残っているのが不思議です。

日産自動車はペナルティなしということでしょうか。去年6月の報道では、45人が計画と異なる作業をしていたとなっていました。厚生労働省のHPで確認してみましたが、認定取り消しの判断基準については良く分かりません。

同HPの報道発表資料「技能実習計画の認定取消の通知と改善命令を行いました」という資料なんですが、添付資料を見てぞっとしました。例えば三菱自動車の場合は別紙1が認定取消の内容となっているんですが、27名の技能実習生を例えば「認 1704005410」という認定番号で示しています。この記号が27人分ずらりと。

現代の奴隷制度と言われるのが分かるような気がします。実習生の個人を識別するために必要なのかもしれませんが、世間に公表する資料にそれ必要ですか?企業に通知する書面上で、実名で表示すれば良さそうなもんです。行政側にも外国人労働者を一個人として扱う姿勢が必要だと思います。

問われる企業のガバナンス

企業の頂点にいる者はどっさり稼ぐ。簿外でもいろいろ儲けちゃう。女性従業員、派遣社員、外国人労働者。時代とともにその矛先を変えながらですが、常に底辺に位置する従業員を搾取することで、一流と言われた企業が成り立ってきたわけです。「いい加減学びなさいよ」と言ってやりたいですね。

朝日新聞のニュースでは三菱自動車の首脳が「軽く考えてはいけない、非常に残念」と述べたとありますが、経営層の甘さ、軽さがにじみ出てます。外国人労働者を巡るトラブルこれから爆発的に増えそうです。ガバナンスのキモになっていくでしょう。

東京証券取引所の市場区分見直し

東証1部銘柄が多すぎとして、1部から2部へ降格となる企業が出てくるのでは、と市場再編に対する非難があるようですが、ガバナンスを切り口にどんどん降格させていったらどうでしょう。1部上場企業の経営層へのインパクトはデカいですよ。一部に生き残るために企業のガバナンスは向上するでしょうし、何より「一部上場企業は安心」と投資家に訴えることができます。もちろん、もともと2部の銘柄と区別できるようにね。kuniのお勧めです。

厚生労働省 毎月勤労統計 失敗の隠蔽

勤労統計の不適切調査

厚労省が所管する、賃金や労働時間の動向を示す毎月勤労統計が世間を騒がせています。本来とるべき方法とは違う方法で調査(全量調査するべきところを抽出調査していた)を継続していたというもので、なんとその期間は15年にも及んでいたようです。

加えて、この不適切な方法で調査を続けていた間、当該不適切な方法で調査してもよいという文章が、当時の「調査方法の手引き(マニュアルみたいなもの)」に堂々と書かれていたとか。つまり、楽な方法で不適切に調査しただけでなく、マニュアルの方も書き換えて、不適切ではないように偽装工作までしていたということです。

厚労省は昨年裁量労働に関するデータでも不適切な扱いがあり、メディから酷く叩かれていた時期がありました。問題ある統計が見つかって、咎められた。普通は他のデータは大丈夫なのか?と、横展開して調査を実施し、同様のミスや不正がないことを全力で確認するはず。厚労省の場合はそれができなかっただけでなく、勤労統計においては隠蔽工作までやっていたわけです。

膿を出し切ることの重要性

これまで当ブログで取り上げてきた上場企業の不正・不祥事においても、「あの時に十分調査して一掃しておいたら、ここまで酷い状況にはならなかったのに」と考えさせられる事例が少なくありませんでした。足もとで判明した事態を解決するだけでなく、他にも類似した行為が行われていないか、膿を出し切ることが重要です。

出し切ると言うと簡単なようですが、見えていないものを探す訳ですから、膨大な労力と時間を要します。それでも全社員が経営層の持つ危機感を共有して,その作業に当たることだけでも非常に有意義だと思います。これをやらなければ、従業員たちは経営層のその場限りの危機感を見切ってしまうことになるのです。

失敗の共有

優れた企業は失敗を見付けたら、それをすぐに組織で共有し、修正します。もちろん組織として発見できるように、その方法についても態勢(発見統制)を整備し、「失敗は咎められることなく会社に役立てられる」という企業風土も浸透させています。

前にも一度書いたことがありますが、マシュー・サイド著 「失敗の科学」という書籍がこの辺りに詳しいです。コンプライアンス業務に就いてらっしゃる読者には、是非読んでおいていただきたい一冊です。

スルガ銀行と金融庁のその後

1/14の日本経済新聞特集記事「地銀波乱(1)」。タイトルは「スルガ銀救った『預金支援』迫る銀行廃業時代」でした。「2018年秋、地方銀行を所管する金融庁銀行第2課は、主な地銀に預金協力を打診した。ある地銀幹部は、20年前の奉加帳方式が復活したのかと驚いた」とあります。

金融庁のスタンスには疑問

この記事では金融庁関係者の発言として「資金規模が3兆円を超える大きな地銀が破綻すれば、中小の地銀への連鎖は避けられない。新体制で再生するまで信用を補完した」と書かれていますが、避けられないっていうくだり、本当にそうでしょうか。

確かに、必要な情報をしっかり国民に伝えることなく破綻してしまうと、他の地銀への影響は少なくないと思われます。しかし、あれだけの悪いことをしてきた銀行です。その制裁として他に影響を与えない形での自主廃業といった終わらせ方はあったんじゃないでしょうかね。

資金規模が3兆円もある銀行が潰れたんじゃなく、あんな悪いことをした銀行だから潰れた。確かに地銀を取り巻く環境はよろしくないし、業績が悪化している地銀も少なくない。しかし、それらについては再編という方向性も示しながら、潰れるべき銀行が廃業しただけ、というシナリオは描けたと思います。

野党各党が金融庁の責任を追及

野党が金融庁の責任を追及し始めたようですね。もちろん、スルガ銀行を巡ってです。金融庁の苦情相談窓口に、スルガ銀行の悪行に関する苦情は2015年1月から寄せられていたそうですが、3年間にわたって検査等に着手することなく放置していたということのようです。

金融庁の中にも、スルガの経営実態に疑念を持って、検査した方が良いという意見はあったそうですが、スルガ銀行のビジネスモデルを称賛していた当時の森長官に配慮したため、結局何もできなかったということのようです。

投資用不動産向け融資に関するアンケート調査

昨年末辺りで金融庁が全国の金融機関に対して行ったアンケート調査。42項目で20ページほどのアンケートとなっていますが、一つの質問において、直近4年度にわたり融資の実行額や件数などなど、16個とか32個の実績データを記入させるようなつくりになっていて、さながら検査着手前の準備資料を作らされているようなものでした。この調査結果を見て、次のオンサイト検査対象銀行を決めようとするものと思われます。

この後の金融庁の対応

とまぁ、いろいろと書きましたが、よく読むと冒頭の日経の記事には2018年秋のこと、と書かれてますので、一連の騒動に対して行政処分を行い、改善報告書を提出させるまでの工程で取り付け騒ぎ等が起きないよう、つなぎで要請した預金と考えるのが順当なところでしょうか。

他の地銀についても調査したうえで、どこと統合させるかとかも考えているところですか。統合させた地銀も同じようなことやってたんじゃシャレにならないですからね。

三井住友銀行 ファイアーウォール規制違反?(その3)

銀行系証券の切り札

大手独立系証券の野村、大和。これを追いかける日興、三菱、みずほ。追い掛ける3社はいずれも銀行系です。彼らが大手2社を超えていくために必須のアイテムが銀行連携だったはず。その切り札になる連携の最重要法規制であるファイアーウォール規制を、なぜこんなふうにド素人なやり口で犯してしまったのか。ここがとにかく分かりません。

みずほ、三菱に追い上げられる中、旧大手3社の一角だった日興としては、何が何でも野村への挑戦権は渡したくなかったのでしょう。銀行から降りてきた新社長が暴走した。そういうことなんでしょうかね。過去にあった日興証券のインサイダー事件も銀行から降りれきた執行役員によるものでしたからね。まぁ、とにかく銀行から来た証券マンはタチが悪いです。

銀行から証券に転じてきた人たちは、基本的に証券業をなめてるんですね。日本の金融を支えてきたという自負は良いんだけど、銀行と証券は全く別のモノ。アマチュアでしかないのに、証券を仕切れるぐらいに思っているみたいです。だから皆こういう失敗をしてしまいます。

顧客の損益という要素

前回の記事で、三井住友銀行が過去に犯した優越的地位の濫用と今回の違いを2つ指摘しました。じつはもう一つありそうなんです。三井住友銀行が犯した行為としての違いではなく、その行為が行われた環境の違いです。

今回の行為は2016年以降です。この辺りから、米国の堅調な相場に牽引され、日本の株式市場は大きく水準を切り上げてきました。今回三井住友がSMBC日興に顧客を不正に紹介し、買わせた商品がどういう商品だったのかはまだ分かりません。選択の記事を読む限り、一般的な株式の取引のようです。もしそうであれば、顧客はそれほど損してないはずです。というかむしろ回転売買とかしてなければ儲かってそうなマーケット環境でした。

彼らのこの頃の儲け頭の商品であった仕組債でも、エクイティ系の仕組債であれば損はしてないと思われます。前回社会問題になった際は、顧客が大きく損失を出しました。今回は顧客の損益という意味では、金融庁の判断に与えるインパクトはそれほど大きくなさそうなんですね。

もちろん、損してないからいいという問題ではないんですが、大損した顧客が多いと政治家やマスメディアが金融庁に圧力をかけてきます。その力は相応に影響力ありまして、金融庁も無視できないみたいです。

さぁて、金融庁はどう動きますかね。仲があまり良くなさそうな公正取引委員会との間での各種調整もあるでしょう。この後の展開、どうなっていくのか。金融庁の最終判断を待ちましょう。

三井住友銀行 ファイアーウォール規制違反?(その2)

「選択」という雑誌で報道されている三井住友銀行のファイアーウォール規制違反行為に関する第2弾。平成17年に優越的地位の濫用で公正取引委員会および金融庁から行政処分を受けた三井住友銀行が、今回またもや同じ優越的地位の濫用で処分を受けそうだというお話です。

今回は銀証連携で発生

前回と違うのは、今回は三井住友銀行の優越的な地位を利用して、SMBC日興証券が金融商品取引契約を締結していることと、金融庁の検査で行為が発見されたことです。前者については、証券界からあまりそのような話が聞こえてきません。証券側については「優越的地位の濫用について、意図して行為を行っているという認定がされていないのかもしれません。

銀行が優越的地位を濫用して、証券の商品を買い付けるようお膳立てしておき、のちに証券から連絡させて実際の取引をさせる。証券マンの方にはお膳立ての場面が見えているわけではないので、違反行為までは問えない。ただし、多くの取引の実態を検証すれば銀行の違法行為に関する疑義を持つことはできたのではないか?金融庁もこの辺りについて改善を求める程度ですかね。

金融庁の検査で発覚

問題はもう一つの、「金融庁が検査で発見したこと」の方です。平成18年に三井住友銀行は行政処分を受けたわけですが、それから間もなく、金商法のファイアーウォール規制が緩和されています。当時の国会では、「こんな事件が起きていて、舌の根の乾かぬうちに、ファイアーウォール規制の緩和とは一体どういうことだ」、と金融庁長官が野党議員から問い詰められたりしていました。

こうした世論を押し切って、金融庁は規制緩和を実行したわけです。さすがに当時の金融庁長官は、今では年収2億円といわれる(というか自分で自慢しているらしいですが)森長官ではありませんでしたけどね。とにかく、金融庁が頑張って規制緩和したら、また同じ三井住友銀行がやりやがった。そういう展開なわけですね。

金融庁はどう動くのか

ここまでの規制緩和の流れや三井住友銀行事件の歴史を踏まえ、金融庁はどういう判断を下すのでしょうか。せっかくメガバンクのガバナンスを信じて規制緩和してやったのに、裏切られた。よって極刑に処すんでしょうか。

それとも、メガバンクといえども、証券や信託との連携なしには、今後のビジネスモデルを考えることはできない。極刑に処して、連携ビジネスを抑え込んでしまうようなことにでもなると、揚げたばかりの「金融育成庁」の看板に傷がついてしまう。ここはグッと我慢して「トップとの議論」、「深度ある対話」で改善させていくのでしょうか。