アマナ(amana) 特設注意市場銘柄の指定及び上場契約違約金の徴求

アマナは7/3、「特設注意市場銘柄の指定および上場契約違約金の徴求に関するお知らせ」を公表しました。東京証券取引所より特設注意市場銘柄に指定されるとともに、上場契約違約金の徴求を受けることとなりました。

開示の概要

次から次へと不正が発覚してきたアマナ。今回は東証から特設注意市場銘柄に指定され、上場契約違約金960万円を徴求されることになりました。まぁ、ここまでの流れで当然に採られた措置なんですけどね。

これまでの不正の数々についてはもう書きません(過去記事ではいくつか紹介しています)が、特設注意市場銘柄に指定されたことで、ここから原則として1年間の改善期間の後、それでも内部管理体制等に問題があると認められた場合は上場廃止となります。

おちろん、その一年間の間であっても、実地調査等で内部管理体制等の改善見込みがなくなったと認められた場合には上場廃止となる可能性も。

東証としては上場企業のガバナンスとして最低限の水準を求めるためにこうした措置を採っているわけですが、一方で同社の経営、業績はさらに予断を許さない状況。債務超過で赤字続きはもちろんですが、毎期売上高が減少しているという厳しい現状です。

これ以上損失を被る投資家を増やさないためにも、もうそろそろええんちゃうの?現経営陣の意思で廃業という選択もあると思うんやけど。

日糧製パン 不正の概要が少しづつ見えてきた

日糧製パンは6/22、「特別調査委員会による調査進捗状況に関するお知らせ」を公表しました。会計処理の一部に誤りを発見した。とか言ってたら、特別調査委員会が設置され、不適切な処理が含まれている疑いが明らかになったと展開。今回の開示で不正の概要がやっと見えてきました。

発覚の端緒

なんだか知らんけど、小出しにしてきますねぇ。そもそも発覚の端緒は、代表取締役社長に対して、社内関係者とみられる匿名人物から「製菓工場の棚卸金額が物凄い金額粉飾されている。」などと記載された電子メールによる通報がなされたんだそう。

不正の概要

少なくとも一部の部門において、特定の部門長の指示のもとで、自部門の業績を良く見せるため、現場在庫の棚卸数値を過大計上するという不正行為がなされていました。当該部門においては、最低でも過去2年間にわたって不正行為がなされており、2023年3月末時点で過大計上と見込まれる金額は最大で約6,000万円に及ぶことが想定されるとのこと。

当該部門においては、特定の部門長の指示のもとで、実地棚卸すらせず、生産管理指標の目標数値から逆算する形で棚卸数値を任意に決定し、現場在庫の棚卸数値を過大に報告・計上していたということです。

「製菓工場」、「特定の部門長」と表現されています。製菓部門というのは、和菓子、洋菓子を指してるのかなぁ。そうであれば、売上の3割以上を占めていますし、その部門長ということだと、場合によっては取締役の不正行為に発展してしまうかもしれません。あと、「少なくとも一部の部門において」という書きぶりも気になります。

三栄建築設計 東京都公安委員会から暴力団排除条例に基づく勧告

三栄建築設計は6/20、「当社に対する東京都公安委員会からの勧告及び代表取締役社長その他取締役の異動について」を公表しました。創業者である元社長が、暴力団組員に金銭を供与したとして、東京都公安委員会から暴力団排除条例に基づく勧告を同日に受けたとのこと。

三栄建築設計

三栄建築設計は、「メルディア」ブランドの戸建住宅の施工・販売を主力とする不動産会社。首都圏中心に関西および中部エリアで展開しており、東京23区では木造3階建て住宅のリーディングカンパニーだそう。東証プライム上場企業です。

勧告の概要

創業者である元代表取締役が、同社の事業に関し、2021年3月25日、指定暴力団住吉会系の暴力団組員に対し額面約189万円の小切手を交付し、もって規制対象者に利益を供与したとして、東京都暴力団排除条例第27条の規定による勧告を受けました。

この創業者である元取締役は、この件が表面化した昨年の11月に既に退任されているんですが、現在も同社の筆頭株主(約49%を保有)みたい。この株どうするの、ってのは今後の課題ですね。

いまどき珍しいズブズブの関係

このての反社関連の事件って、もらい事故的な側面があったりするケースが多いんですが、三栄建築設計の場合はそうでもないみたい。開示文の中に、「創業者である元代表取締役が捜査の対象となった工事以外にその後も、同社の解体工事に当該暴力団組員を関与させようと考えており、そのための仕組みづくりを当該暴力団組員と話し合っていた」、なんてのが出てきます。こりゃ、ホンマもんの真っ黒反社ですな。

大幸薬品 役員報酬の減額を継続

大幸薬品は6/20、「役員報酬減額の継続に関するお知らせ」を公表しました。第1四半期連結累計期間において四半期純損失であること等を真摯に受け止め、業績回復を目的として、役員報酬の減額を更に6ヵ月間延長するということです。

大幸薬品

大幸薬品は、胃腸薬「正露丸」など医薬品の製造・販売を主力とし、衛生管理製品「クレベリン」など感染管理事業等も手掛ける企業。本社を大阪に置く東証プライム上場企業です。あのラッパのマークの会社ですね。

クレベリンで課徴金納付命令

今年4/11には、空気中のウイルスや菌を除去できるとした「クレベリン」の表示や広告には根拠がなく、景品表示法違反(優良誤認)に当たるとして、6億744万円の課徴金納付命令を受けていました。同法に基づく課徴金命令額としては過去最高額と報道されてましたね。

これは痛いでしょう。同社の主力商品は正露丸シリーズとクレベリンシリーズくらい。コロナの感染拡大時にはおそらくクレベリンが材料視されたんでしょう、同社株は3,000円近くまで買われましたが、その後急落し、今では400円割れ。そこへクレベリンの優良誤認で課徴金です。おそらくもう売り上げの拡大は見込めそうにありません。

1年半も

まぁ、そこまで追い詰められているからこそでしょう。代表取締役(2名)の月額報酬の80%を6か月間にわたり減額(延長)です。調べてみるとこの代表取締役2名については、2022年6月から80%減額されてるんですね。1年半に及ぶ80%減額はさすがに辛そうです。

北弘電社 3億3,000万円の請負金請求訴訟

北弘電社は6/19、「当社に対する訴訟の提起に関するお知らせ」を公表しました。2021年に当ブログでも取り上げた同社の原価付替え等の会計不正。その後、証券取引等監視委員会から課徴金納付命令を受け、一時は上場廃止の危機に陥りました。

北弘電社

北弘電社は北海道地盤の電気設備工事会社。ビル・建築物の電気設備工事を手掛ける屋内配線工事を主力に、送電線工事などを行う電力関連工事などを手掛けています。三菱電機が発行済み株式の26%を所有する、同社の持分法適用会社です。

訴訟の概要

原告が、同社に対し、岐阜県高山市における太陽光発電所建設プロジェクト(高山案件)及び岩手県奥州市における太陽光発電所建設プロジェクト(奥州案件)に係る土木工事や設計・監理等の業務を請け負い、同業務を完成させたが、請負経費・報酬金のうち一部未払いがあるとし、その未払金の一部を請求するものだそうです。

訴訟を提起したのは横浜の会社で、請求金額は3億3,000万円。高山案件と奥州案件、これって前に取り上げた会計不正の案件そのままです。あれから2年間、支払いを請求してきたけどかなわず、提訴に踏み切ったということでしょうか。

北弘電社はローカルかつ小さな企業のわりに、ブログで記事にすると結構多くの方に読まれるんですよね。読者のお一人(元同社の従業員の方)からは、「北弘電社の不正や体質の腐敗は外に出た情報の何倍もあり、私はどこかへ告発をしたいと日々考えておりました」などというメールもいただいています。

さてさて、ここからどういう展開になりますでしょう。