エルピクセル 取締役が33億円を着服

画像解析ソリューションを開発する東大発ベンチャーのエルピクセルは、6/10、同社元取締役が33億5000万円を着服していたことを公表しました。前日にこの元取締役は警視庁に逮捕されています。この会社、上場企業から高い技術を評価され、かなりの資金調達をしてきています。

エルピクセルの概要

設立は2014年3月、資本金は27億円という千代田区大手町の企業です。ライフサイエンスと画像解析を背景に、独自の技術を研究・開発しています。などというコメントがHPでは見られます。が、kuniには難しすぎる世界です。

同社のプレスリリースによると、元取締役は2017年4月から2019年1月まで、会社資金を元取締役個人名義の銀行預金口座に多数回にわたって振込送金し、横領していたといいます。被害額は33億5000万円ですが、うち5億9500万円は横領発覚前に同社口座に返還されていたとのこと。

発生原因

スタートアップやベンチャーなどと呼ばれる企業のアキレス腱は間違いなくコーポレート部門。それもガバナンスやコンプライアンスを押さえるセクションです。組織として未熟なうちはこういうセクションにお金がかけられませんからね。それはやむを得ないところがあると思います。

エルピクセルも同様で、同社口座の資金を元取締役が一人で管理していたといいます。それなりのサイズの企業であればあり得ない態勢です。が、起業して当面はこんなもんでしょうね。大金もありませんから、こうした不正も起こりません。

事業のサイズと守りの態勢

ではこのエルピクセルがどこで間違ったのか。同社は2016年10月にジャフコ等から7億円を調達しています。2018年10月にはオリンパス、富士フィルム等から30億円を調達しています。これまでの会社に不釣り合いな出資を受けた時点。つまり2016年10月がそのタイミングだと思います。

この時点で、大きな資金をしっかり管理するための組織や態勢、ルール作りが必要だったんですね。不正にとって魅力的な環境が整った時点で、守りの態勢も当然必要になるというわけです。

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