川崎重工業 子会社の川重冷熱工業で検査不正

川崎重工業は6/7、「川重冷熱工業における不適切行為について」を公表しました。昨年8月に完全子会社化した川重冷熱工業株式会社において、主にビルなどの空調システム用として製造・販売した一部の吸収式冷凍機の、検査などに関する不適切行為が判明したとのこと。

川重冷熱工業

川重冷熱工業は滋賀県草津市に本社を構える川崎重工の100%子会社です。昨年7月末までジャスダックに上場していましたが、完全子会社化で上場廃止となっています。オフィスビルやホテルといった公共設備の空調に使う冷凍機やボイラーが強みで、吸収式冷凍機は国内シェアで19%を占めるそうです。

検査不正の概要

冷房能力90%程度で試運転を行っているにもかかわらず、冷房能力100%での試運転結果であるようにデータを作成して検査成績書類に記載していました。不正の期間は1984~2022年で、1,950件が確認されているといいます。

また、そのうち334件については、顧客の立会で検査する場合、冷房能力100%の運転を行っていないにもかかわらず、計測器を調整(目盛りをずらして)することで冷房能力 100%の運転を行っているように偽装し、顧客に事実とは異なる説明をしていました。

さらに、1986~2009年においては、6機種、2,944 台について、JISの基準を満たしていないのに準拠しているようにカタログおよび仕様書を偽装していたという事案も。

いくつか気になる タイミング

完全子会社化されたのが2021年7月末。事件が発覚したのが2021年8月末。妙に近いタイミングなのがちょっと気になりますね。ガバナンス強化を目的として川重冷熱工業を完全子会社化したということですが。発覚から公表までに要した時間も。

6/7付けで社長が交代してるんですが、不正が行われていた当時の前社長は冷凍機の設計者で、93年から不正を把握していたんだそうです。

住友ゴム工業 調査委員会の調査結果

住友ゴム工業は11/9、「品質管理に係る不適切事案に関する調査委員会の調査結果と今後の対応について」を公表しました。加古川工場での防舷材検査と、南アフリカ子会社でのタイヤ生産における検査の不正に関する調査です。調査期間は約3ヶ月でした。

加古川工場 防舷材検査

別件の不適切事案を機に、全社一斉に不適切事案の点検を行ったところ、ハイブリッド事業部の担当者から、「以前から防舷材の検査データを改ざんして出荷してきた」という申告があったことで発覚したようです。この検査不正は30数年以上前から連綿と行われ続けてきていたといいます。

合格基準に達しなかった製品の一部について、検査データを改ざんした上で出荷。定められた試験方法を拡大解釈し、独自の試験方法によって合格させた製品を出荷。といったことが行われていたとのこと。

南アフリカ子会社 乗用車用タイヤ

検査規格について、顧客の承認を得ず、住友ゴム工業の承認を得ることもなく、現場の判断で変更(緩和)していた。製品のスペックの一部について、正規の変更手続(住友ゴム工業の承認)を経ず、顧客に対する事前説明も行わないまま、現場の判断で変更していた。

不正の概要は以上のような感じです。南アフリカ子会社での不正なんですが、この不正、日本人の首席駐在員の指示により行われていたようです。この方、住友ゴム工業本体の役員も務められた優秀な方なんだけど、中国駐在時に不祥事報告義務違反及び従業員へのハラスメントで降格処分を受けてます。

住友ゴムとしては、この方を生産技術の面では卓越した能力を有すると評価し、再起させるべく南アフリカ子会社に派遣したということです。見事に裏切られた格好ですね。不祥事やハラスメント、従業員はともかく、役員は復活させるべきではありません。

東光高岳 新たな検査不正も

キュービクル形ガス絶縁開閉装置およびガス絶縁開閉装置における検査不正を公表していた東光高岳。10/29には、「当社製ガス絶縁開閉装置の不適切事案に関する再発防止策について」を公表しました。

調査を継続

調査結果って公表されたんだっけ?と思いましたが、今回の開示の中で調査結果についても触れていました。同社は外部の人間を入れた〇〇委員会みたいなのは設置しておらず、製品の開発・製造・検査に直接従事していない内部監査部を主体とした調査チームで調査を進めているんですね。

その調査の中で今回発覚したのが、自動開閉器用遠方制御器の一部の機種において、お客様仕様で定められた試験を実施していなかったというもの。まだ不正の対象製品は広がりそうな感じですね。

調査方法と対象

外部から委員を入れた第三者委員会などを設置した方が、経営等からの圧力がかからず、公正な目線で調査ができるというのはありますよね。ただ、調査を委嘱する際の「対象製品の範囲」や「対象期間」を意図的に限定するなどしていては意味がありません。そういう対応をしている企業、意外に多いです。

東光高岳の場合は委員会を設置せず、あくまで自社の機能の中で調査を進めています。この場合、経営がどれだけ本気で膿を出し、再生していくのか、の本気度が重要です。

同社の調査チームによる調査対象は、「全事業本部の全製品ならびにグループ会社の製品」と、定義されていて、本気度は伝わってきます。

脱線しますが、、、8/24に設置したのは「非常事態対策本部」と説明されていましたが、今回の開示では「リスク対策本部」となっています。これ、間違い?

昭和電線ホールディングス 調査結果を公表?

子会社の昭和電線ケーブルシステム株式会社における検査不正を調査していた昭和電線ホールディングス。10/29、「当社グループ製品の品質試験の不整合に関する調査結果の報告について」を公表しました。

調査結果の要旨

7/21に特別調査委員会を設置していますから、約3カ月間の調査になりましたね。調査の対象としたのは7製品。で、うち5製品については特別調査委員会とは別に設置した調査委員会が調査を担当、という妙な構図になっています。これ何で?

開示(調査結果の要旨)を読むと、従業員および元従業員に対して行ったインタビューによると〇〇でした。というまとめられ方になっていて、具体的な情報がほとんどありません。例えば、「1991年頃から抜き取り試験自体を行わずに過去の試験で得られたデータを流用するようになったという証言がありました」。みたいな感じです。

具体性に欠け、詳細情報は不明。発生原因なども現場の行為者の問題として片付けられていて、経営の問題には触れず。とにかく、今回のこの開示でさっさと、すべてを丸く収めようという意図を強く感じさせる報告となっています。と、kuniは感じました。

報告書は?

検査不正等に関する調査委員会の調査期間として、3カ月間というのは決して短くはありません。報告書は数十ページから100ページを超えるものも。ところが今回のケース、調査結果報告書自体は開示されていないんですね。

これってどうなんでしょう。たしかに開示のタイトル、「調査結果の公表」ではなく、「調査結果の報告」になってます。最後に親会社と子会社の代表取締役社長の役員報酬減額が記されていてお終い。なんともあっさりした終結宣言です。

トヨタ トヨタモビリティ東京が運営する「レクサス高輪」で不正車検

完全に見落としていました。トヨタ自動車の全額出資の販売子会社であるトヨタモビリティ東京が運営する「レクサス高輪」で、不正な車検が行われていたことが公表されていました。7/20に公表されていますが、TDnetでの開示はありませんでした。

不正車検の概要

不正車検があった時期は、確認できただけでも2019年6月から21年6月17日までの約2年間だそうです。レクサス高輪が扱った車両のうち約3分の1にあたる565台で、基準値を満たす値に書き換え、一部の項目を点検しなかったということです。

不正があった検査項目は他に、ヘッドライトの明るさ、フロントタイヤの角度、スピードメーターの精度。6/17に国土交通省の監査を受け、道路運送車両法に違反していたことが判明しました。4人の検査員が「検査内容を書き換えた」、「一部の検査を実施しなかった」と認めたといいます。

発生原因としては、「増加する仕事の量に対してエンジニアの人員や設備の状況が追いついておらず、慢性的に負荷の高い状況が続いていた。決められた時間内に作業を仕上げることを最優先にしてしまっていた」。としています。これも不正発生のよく見る原因ですね。

トヨタのスタイル

それにしてもトヨタって、こういうことを開示しませんよね。記者会見はしているみたいですが、TDnetとかには載せません。メディア向けの会見は、それを聞いたメディアの扱い次第でどうにでもなります。

おそらく日本一の広告宣伝費を払ってる会社ですから、メディア側が最大限の配慮をした伝え方にしてくれることを、十分わかってというか、狙いがあってやってるんでしょうね。こういうのを阿吽の呼吸というんでしょうか。ちょっと前に流行った忖度ですか。日経でも朝刊では見落としてしまうくらい小さな扱いでした。