株式会社ジーネクスト 代表取締役の異動(解職) 社長交代

株式会社ジーネクストは5/9、「代表取締役の異動(解職)および社長交代に関するお知らせ」を公表しました。最近はハラスメント絡みでのトップの解任がよく話題に上りますが、同社の場合は社長の解職です。

株式会社ジーネクスト

ジーネクストは、電話・メール・チャット・店舗などのチャンネルから取得した顧客対応情報を一括管理するステークフォルダーDXプラットフォーム「Discoveriez」を、食品、日用品を中心に様々な規模・業種の企業に提供する、東証グロース上場企業です。

代表取締役社長の解職

直近ではENEOSHDの事例を書きましたが、同社の場合は解任でした。解任とは代表取締役の取締役としての地位を失わせることで、代表取締役は取締役ではなくなり、代表権もなくなります。つまり全ての会社との委任関係は終了します。

一方、ジーネクストの場合は「解職」。解職とは代表取締役から代表権のみを失わせ、平取締役とすることです。この場合、代表取締役は引き続き取締役としての権限を有し、取締役会に出席することもできます。同社の場合は代表権を有さない取締役会長に就任するそう。

開示によると解職の理由は、「代表取締役であった社長の取締役会における不合理な議事運営、業務執行に混乱をきたす等、会社の意思決定に支障が出ていたこと」とされており、これ以上の詳細情報はありません。実態はどうだったんでしょうね。解職された新会長、35%を保有する筆頭株主であり、ここら辺りも非常に気になるところです。

ラックランド この後二代目社長はどうするんだろう 辞任?

社長の不正な経費精算や売掛金の不正な回収などで激震が走ったラックランドですが、創業家出身で大株主でもある二代目社長はこの後どうするんでしょうね。これだけのことが起きたら普通に考えると辞任するんでしょうが・・・。

全額弁済する

特別調査委員会の調査報告書の中に、次のような記述が出てきます。「(調査委員会から)会社に返納すべき⾦額の確定通知を受けたのち、『14 ⽇程度の猶予を頂き、可及的速やかに、⾃主返納額全額を会社に返納します』との意思を表明した。」

これって、問題だと指摘された金額は全額返納し、そのうえで自らの立場である代表取締役社長はこの後も継続します。っていう意思表示のように見えますよね。さすがは創業家、大株主ですね。この図々しさにはビックリ。同社の従業員たちはどう感じてるでしょう。

社内におけるセクハラで一発退場(解任)となったENEOSホールディングスや、社外での不倫で社長が辞任したウエルシアホールディングス。そんな時代にあって、不正(法令違反)を働いても辞めない取締役ってねぇ。

上場廃止

こうした状況を考慮してか、調査報告書では同社の上場廃止に関しても言及。「⾮上場化という選択肢はないのか、といった点について、⼀切の聖域を設けることなく徹底的に議論し、⼤きな⽅向性を打ち出す必要がある。」としていました。

ラックランド もう一つの不正 売掛金の回収

先日公表された特別調査委員会による調査報告書から、社長の不正な経費精算について書きましたが、報告書ではもう一つの問題である「売掛金の不適切な回収」についてもかなりの紙面を割いていました。

問題となった売掛金

2018年度に約58億円を売上計上した物件において、約22億円もの長期売掛金を抱えてしまうという状況が発生。これを回収するために、同社から社長に対して不適切な資金が流れ、社長の資産管理会社を経由して債務を抱える取引先に返済原資として提供されたという事実が。

この社長に流れた資金の一部に、先日書いた不正な経費精算の一部が使用されていたということです。経費が私的に流用されるよりは、会社の売掛金回収のために使われる方がマシ、なように見えますが、会社の業績を良く見せるための行為であり、ここでも社長の公私混同は一緒です。

金融機関への虚偽報告

支払いに窮した取引先が銀行から融資を受けやすいように、ラックランドとして虚偽の報告書を提出したり、証券会社に対してラックランドの公募増資に関して虚偽の説明をしていたりということも報告書では指摘されています。これらは財務ライントップ3により行われていたと。

自社ではなく取引先についてではありますが、銀行に対して誤信させて融資をさせた行為に詐欺罪が適用される可能性。虚偽の情報により公募増資で資金調達したことが金商法に触れる可能性もありそうです。実はこの不適切な売掛金の回収の方が、今後の同社に与えるダメージは大きいのかもしれません。

ウエルシアホールディングス 社長の解任 イオンの執行役も

ウエルシアホールディングスは4/17、「代表取締役及び取締役の異動(辞任)に関するお知らせ」を公表しました。同社は、代表取締役社長へ、代表取締役社長及び取締役を辞任することを勧告し(4月16 日)、その勧告に基づき本人からの辞任届が提出されたということです。

ウエルシアホールディングス

ウエルシアホールディングスは、「ウエルシア」をはじめとするドラッグストアを関東中心に全国展開する、業界のリーディングカンパニーです。7割以上の国内ドラッグストアで調剤薬局を併設しています。イオンの連結子会社で、国内2位のツルハHDとの経営統合を予定しています。

辞任勧告

開示によると、辞任は4/17付けで、理由については、「私生活において不適正な行為があり弊社の信用を傷つけるものであると判断したため」とだけ記されています。いやいや、これじゃあまったく分かりませんね。

報道では、「社外の女性との不倫が判明した」というのがありました。最近多いセクハラ系でしょうか。不倫相手が妊娠したりとかで会社に怒鳴り込んできたのか、週刊誌に垂れ込んだのか、今のところ分かりませんが、とにかく一発レッドカードです。

ツルハとの統合を控えており、新会社の態勢決定に向け、いろんな意味でゴシップが重視される局面ってのもあるでしょうね。ちなみに、親会社のイオンも同日、取締役会で同執行役の解任を決議したと発表しています。

ラックランド 特別調査委員会の調査結果を公表

ラックランドは4/16、「特別調査委員会の調査報告書公表に関するお知らせ」を公表しました。二代目社長による不正な経費精算(国税当局による指摘で発覚)や、売掛金の不適切な回収などが問題視されていた事案です。

不正な経費精算

社⻑の交際接待費等は2019 年度から 2023 年度までの5年間で 706百万円だそうです。凄いですね。このうち国税当局指摘事項も含めて、同委員会が不適切と認定した経費申請の⾦額規模も莫⼤で、総額 334百万円となっています。

不適切な交際接待費の⽀出類型としては、「重複精算」や「同⾏者なし経費」、「家族帯同経費」、「私的物品購⼊」といったタイトルが並んでいて、その累計は全部で5種類です。特に重複精算の総額 141百万円については、報告書でも「悪質性は顕著」であると指摘しています。

ちなみに、同社⻑の経費申請について指摘を受けた(事業関連性を否定された)のは、2020年から 2021年にかけて⾏われた前回の税務調査に続いて 2回⽬なんだそう。なんとまぁ、懲りない二代目ですねぇ。

読み易くて、なかなか手厳しく

今回の報告書は非常に読み進めやすくまとめられていて、かつ、なかなか手厳しい指摘がなされています。特に社長個人に対しては、「⼀連の社⻑の⾏動から窺われるのは、会社の資産を守るという規範意識に乏しく、会社の資産を個⼈的な⽬的に費消しても構わないという『公私混同』の意識にほかならない」などとバッサリ。経費精算も関連している⻑期売掛⾦の回収事案についてはまた後日。