COTA(コタ:4923) 監査役の不正行為

コタ株式会社は1/26、同社監査役が複数年度にわたり、会社の資金約5,670千円を私的に流用していたことが社内調査において発覚したと公表しました。発覚を受け同監査役に確認したところ、事実である旨を認め2021年1月25日付で監査役を辞任したとのこと。

監査役の不正行為って?

金額自体はそれほど大きなものではありませんが、監査役の不正行為というのは珍しいですね。もちろん、結果的に監査役の不法行為が問われるケースは少なくありません。いわゆる善管注意義務違反などですね。まず取締役の責任が問われ、それを看過したことに対する監査役の責任を問う、というのが定番じゃないでしょうか。

行為の概要

2011年6月から2021年1月の約9年半にわたり、会社の資金約567万円を監査役が不正に支出し、監査役が私的な旅費等に当該資金を流用していたということです。なるほど、そういうことなんですね。

この監査役、2010年6月に常勤監査役に就任していますから、就任2年目から不正を行っていたようです。現地に足を運ばない「カラ出張」を繰り返し、旅費交通費名目で会社の資金を詐取していたということですね。

新型コロナウイルスが感染拡大している状況下にもかかわらず、「セミナー名目」の出張申請が多いことに関係者が疑問を持ち発覚したそうです。

会社法第388条

会社法第388条は、監査役がその職務の執行について監査役設置会社に対して必要な費用を請求をしたときは、会社は、当該請求に係る費用又は債務が当該監査役の職務の執行に必要でないことを証明した場合を除き、これを拒むことができない。。。と定めています。

これを悪用したんですね。9年半で567万円。年間60万円ほどですから、会社も気付かなかったんでしょう。第3四半期決算の業績に、監査役に関係する旅費交通費及び退職慰労引当金繰入額等を合算した約3442万円の戻し入れを行うそうで、、、思わぬところでコロナ効果ですか。それにしても監査役が、、、情けない。

国税職員の不正・不祥事 人間関係の希薄化が原因

1/18付け日本経済新聞に「国税職員の不祥事相次ぐ」という記事がありました。昨年は確かに国税や税務署職員の不祥事をよく見たような気がします。それでも記事によると件数自体は例年と大差ないらしいです。ただ、不祥事の内容が酷すぎるということのようですね。

2つの事例

記事で紹介されていたのは、甲府税務署の20代職員の事例。大学生と共謀して持続化給付金をだまし取った疑いで逮捕されています。250件の虚偽申請に関与しているとか。さらに、愛知県警の家宅捜索で乾燥大麻まで出てきたというあの事件です。

もう一件は、不動産取引で消費税の還付を不正に受けたとして、札幌国税局の職員が逮捕された事例。こちらは45歳の職員ですね。この職員も昨年夏に大麻を栽培、密売したとして逮捕、起訴されています。どちらも国税職員としての専門性を悪用しています。

発生の原因

この記事の中ではある現場職員の話として、「人間関係の希薄化」をあげていました。この意見にはkuniも賛成です。新型コロナの影響で人と人との距離感が大きく変化しました。組織で働く者は、組織の中で上司や同僚から受ける「牽制」を意識するものです。

この牽制がうまく機能していることで、一人一人のルール遵守が担保されてきたのは事実だと思います。その牽制が有効に機能するための人と人との距離感が変化してしまいました。リモートワークしかり、職場でのウェブ会議しかり。職場で飲み会がなくなってしまったことも。

こうした状況はまさに不正を働く機会が増加したということであり、さらに、発見しにくい環境も出来てしまっているということだと思います。不正・不祥事がより発生しやすくなっていますし、より発見しにくくなっているのです。管理職の方はまずこの現実を直視する必要があると思います。

東洋紡に続いて 京セラ 安全認証不正取得 DICも続くか

京セラは1/8、「当社ケミカル製品における第三者機関の認証に関する不適切対応について」を公表しました。ケミカル製品6製品の難燃性および絶縁性について、認証試験に実際の製品とは異なるサンプルを提出して認証を受けていたといいます。ん?東洋紡と一緒?

Underwriters Laboratories

米国の第三者安全科学機関だそうです。やはり、先日取り上げた東洋紡と同じ認証機関でした。なぜこの時期にパタパタと過去の認証不正が表面化し始めたんでしょうね。この京セラの不正は、社内の意見交流の場で若手社員が報告して発覚したといいます。

この認証不正、35年前のことだそうです。で、京セラのケミカル事業部は20年ほど前に東芝ケミカルを買収して作られたようですから、東芝ケミカル時代に不正が行われていたということになりますね。特別調査委員会を設置して原因を究明するようです。

東洋紡の件(再調査)

東洋紡の安全認証不正のケースも他社から譲受けた事業で発生していました。気になって調べてみましたが、2010年2月9日に事業譲渡について開示していました。東洋紡にプラナックの事業を譲渡したのはDICですね。以前の社名は大日本インキ化学工業です。

京セラは東芝ケミカルを買収しました(東芝ケミカルはもう存在しません)から、類似事案が出てくるとしたら京セラ社内で見付かることになります。一方の東洋紡は事業譲渡を受けただけですので、安全認証不正の類似事案はDICの方から出てくるはずですね。

東洋紡の開示(第一報は昨年10月)を機に、DIC社内では調査等を進めているのでしょうか。今のところDICからは何の情報も発信されていません。ちなみに、泡消火薬剤に関して、消防法に基づく形式試験において不正が行われたという事件は開示されています。認証機関は違いますが、やはり偽のサンプルで認証を受ける手口。まだまだ出てきそうです。

わらべや日洋ホールディングス 子会社ソシアリンクが入管法違反で起訴

わらべや日洋は1/5、連結子会社 株式会社ソシアリンクが、2020年12月28日に、出入国管理及び難民認定法(入管法)違反の容疑で、千葉地方検察庁により起訴されたことを公表しました。同社千葉営業所の社員4名も12/8に同じく入管法違反の容疑で起訴されています。

どういう開示?

開示されたのはこれだけです。子会社ソシアリンクの会社概要が添えられていただけ。もう少し株主に対してしっかり事実を伝えるべきではないでしょうかね。

調べてみるとこの事件、人材派遣会社ソシアリンクが在留資格のないベトナム人の元技能実習生らを、千葉県市川市の食品工場に違法に派遣したとして、警察が同社の営業所長ら4人を不法就労を助長した疑いで逮捕したというもの。

所長らが在留期限が切れていたことを把握したうえで工場に派遣していた疑いがあるということでした。捜査が進むと、ソシアリンクとしては80人ほどを違法に派遣していることについて、千葉営業所から報告を受けていたことがわかったそうです。

開示も報道も不思議

警察による逮捕・書類送検は11月~12月に報道されていましたが、なぜか「わらべや日洋」の社名は出てきません。ソシアリンクはわらべや日洋ホールディングスの100%子会社なのに。わらべやはセブンイレブンにおにぎりや弁当、お惣菜を納めている会社です。同社の筆頭株主もセブンイレブンです。

だから報道も広告宣伝費たくさん使ってくれる親会社に触れにくい?セブンイレブンに申し訳ないから、わらべや日洋も余計な開示はしない?  って、おかしいでしょ。日本を代表する企業なんだから、セブンがわらべや日洋へ開示の在り方をしっかり指導するんじゃないの?、、、と思いますけどね。

(おまけ)このわらべや日洋って会社。2011年にも前代未聞の給与未払い事件を起こしています。グループ会社の社員とパート合わせて約1万2千人に対し、約2年5カ月分の賃金の未払いがあったとして約13億8千万円を支払っています。ゆるい会社です。

天馬 前取締役に対する損害賠償請求訴訟の提起

同社の監査等委員会は12/28、第三者委員会の調査報告書において認定された事実等を踏まえ、当時の取締役6名の職務執行に関して善管注意義務違反があったと判断し、東京地方裁判所に損害賠償請求訴訟を提起しました。海外子会社での不適切な金銭交付でしたね。

いろいろありました

ベトナム子会社の贈賄事件という不祥事で当ブログでも取り上げた同社でしたが、会社と元名誉会長、監査等委員会、投資会社入り乱れての取締役選任争いに発展しました。この損害賠償請求訴訟も避けて通れないですわな。

お知らせでは前取締役6名に対し、一人ずつ損害賠償請求額が示されていますが、訴状記載の請求額がすべて認められた場合に同社が前取締役6名から支払いを受けられる合計金額は3億7648万8988円だそうです。

問合せ先

今回のお知らせ、問合せ先は総務部付 部長となっています。これまでこういうお知らせでの問い合わせ先は常務執行役員総務部長だったんですが、この常務が今回訴えられている6名のうちの一人なんですね。他にも現執行役員が含まれてるようです。いずれも取締役を降りたものの執行役員で残った人たちです。

取締役を解任されて、損害賠償請求訴訟を提起することになるのに、その間執行役員としての給料等を支払ってるのもよく分かりません。

さらに、この提訴のお知らせ、TDnetで見付けたんですが、同社のホームページではなぜか見当たりません。この会社どうも一貫性がないというか、、、ホームページで隠す理由も分かりません。