株式会社IBJ 独禁法違反の疑いで公取委が立ち入り検査

株式会社IBJは3/23、「公正取引委員会の立入検査について」を公表しました。「当社が運営する日本結婚相談所連盟の提供内容に関し、独占禁止法違反の疑いがあるとして、本日、公正取引委員会の立入検査を受けました。」という内容です。

株式会社IBJ

IBJは、直営結婚相談所の運営や加盟結婚相談所の開業・運営支援、婚活パーティーや婚活アプリなど、婚活サービスを総合的に提供する企業です。直営店74店と加盟店3,653社を合わせたお見合い会員数は9.1万人と業界最大級(22年末)なんだそうです。東証プライム上場企業ですね。

事案の概要

IBJからは冒頭に書いたこと以外開示されていません。開示された文章も「当社が運営する日本結婚相談所連盟の提供内容」という意味不明なモノ。報道によると、IBJは2016年ごろから加盟各社について、ほかの連盟にも加盟する結婚相談所に対し、会員を紹介しないようにして、他社の取引を妨害した疑いがあるということです。

結婚相談所の連盟というのは全国に12団体あって、結婚相談所が「連盟」を結んだ他の相談所と会員情報を共有して、お互いに紹介できるようになってるんだそうです。IBJはそのうちの一つの日本結婚相談所連盟を運営しているということなんですね。

少子化対策の一環で目を付けられたんでしょうか。たしかに、いかにも旧態依然とした行為が横行してそうな業界ですね。公取委が立ち入り検査という報道は朝日新聞らしく、この報道を受けての同社の開示となっています。報道が取引時間中だったため同社株は急落。723円の97円安で、12%近く下げました。

株式会社 きょくとう 雇用調整助成金の不正受給?

株式会社 きょくとうは3/17、「雇用調整助成金の受給に関する特別調査委員会組成のお知らせ」を公表しました。、同社の受給した雇用調整助成金について、支給申請の一部に精査が必要となる疑義が発生したといいます。

きょくとう

きょくとうは、福岡県を地盤に中国地方などでホームクリーニング店をチェーン展開する企業です。殺菌・消臭・分解力が高いとされるオゾンをドライクリーニングに使用しているのが特徴だそうな。福岡市博多区に本社を置く、従業員200名以下の東証スタンダード上場企業です。

不正の概要

同社が受給した雇用調整助成金の支給申請において、福岡労働局から不適切な申請の疑義があるということで、現在、調査を受けているとのこと。これを受けて、事実関係の把握のため、特別調査委員会を3月1日付で立ち上げ、本件事案の調査を進めているところだそう。

ちなみに、同社が受領した雇用調整助成金の額は、2020年4月分から 2022年9月分までの累計で388,021千円だそうです。開示された情報は以上です。

なに?この株価の変動

ちょっと気になることが、、、。同社の株価が2/27に大きく売られてるんですよね。その前日には出来高増えてたりもします。福岡労働局の調査が入って、3/1付けで特別調査委員会が立ち上がっているということは、この株価が急変動するあたりで調査が入ったんでしょうかね。

しかし、その事実は開示されていません。不正が発覚した直後に急落。開示の前にインサイダー(内部者の売り抜け)なんてことはないですよね。

パスコ H3ロケットの打ち上げ失敗で先進光学衛星失う

少し前の話になりますが、パスコは3/7、「先進光学衛星の打上げに関するお知らせ」を公表しました。2月の発射は延期となり、迎えた3/7の発射が打上げ失敗に。あのH3ロケットにパスコが運用する予定だった先進光学衛星「だいち3号」が搭載されていたんですね。

悪いことは重なるもので

前回当ブログで取り上げたのは、同社における従業員の不正行為でした。利益を先送りする不適切な会計処理が行われていたことが発覚し、今も特別調査委員会を設置して調査を続けているところです。これにより、四半期報告書も提出できず、当局から承認された延長後の提出期限4/7に向けて、頑張っているところかと思われます。

そこへ、今度は同社の先進光学衛星を搭載したH3ロケットの打ち上げ失敗。自爆処理されたということですから、この衛星も消えてなくなってしまいました。先進光学衛星「だいち3号」の開発費は379億円だそうです。

パスコではこの衛星のプロジェクトのために自社で開発した地上システム等に1,660百万円を投資しているそう。すべてが無駄になるのかどうか分かりませんが、打ち上げ失敗による損失は少なからず発生するようです。もちろん、打ち上げ失敗に係る損失には保険が掛けてあるようですが。

株価の方も

株価の方も影響を受けていて、不正発覚の第一報で1,400円台の同社株価は120円ほど下落。その後下落分をほとんど回復した矢先に打ち上げ失敗でまた同じくらいまで売られてしまいました。株価収益率で見ても、株価純資産倍率でみても割安な株なんですけどね。さすがに3度目の悲劇は避けたいものです。

株式会社ベクター 特別調査委員会の調査報告書(中間)を公表

ベクターは3/10、「特別調査委員会の調査報告書(中間)公表に関するお知らせ」を公表しました。2/16から決算発表を延期して、トーマツが指摘する問題を調査してきたわけですが、四半期報告の期限(=上場維持の期限)である3/14目前に中間公表という形になりました。

調査報告書の概要

監査法人であったトーマツから指摘されていた「疑義」として、調査委員会が調査してきたのは6件の疑義。メインは、不正な資金流出及び資金還流の疑義であり、これらが3件。加えてその他取引に関する疑義としてもう3件です。

メインの疑義に関する調査の結果はそれぞれ、「この支払が不正な資金流出であった事実は認められない」、「蓄電池保証金が還流したものとは認められない」、「本件支払いについて、不正な資金流出を疑う余地はなく、不適切な利益計上を疑う余地はない」とされています。

ようするに、特別調査委員会による調査の結果は問題なし。新しい監査人が粛々と四半期報告書の提出に向けて作業して、3/14(明日)の期日に間に合わせます。という結果です。

上場廃止は免れたけど

トーマツから不正等の疑義の指摘を受け、特別調査委員会を設置。翌日にはうるさい監査人(トーマツ)を変更。3週間ほどの調査で調査結果は問題なし。四半期報告書提出も間に合って上場廃止は免れました、、、と。ん~、あるある、な展開になりましたが・・・。

開示文にもあるように、最終報告書では原因分析と改善策が追加されるだけでしょう。しかし、トーマツが指摘していた疑義の数々、これですべて問題なく解決した、とは思えませんね。この後どういう展開になっていくのか。投資家の皆さんは「君子危うきに近寄らず」ということで。

アイ・アールジャパン 第三者委員会の調査結果を公表

アイ・アールジャパンは3/7、「第三者委員会の調査報告書受領に関するお知らせ」を公表しました。IRジャパンの副社長が投資会社に対して東京機械買収の提案を行い、その後に東京機械の買収防衛のアドバイザーを請け負っていたという事案でした。この時のフィーは5億円だったとか。

調査結果

報告書では、IRジャパンの経営陣にはこの利益相反(マッチポンプ)の意図は認められなかったとしています。副社長の暴走を把握できていなかったとの結論です。この方特別な存在だったようですが、まぁ、副社長の行動を把握、管理できていなかった時点でもうアウトですね。

報告書でも、「会社を代表する肩書きを与えておきながら、監査監督を適切にすることなく、単独での営業活動を許容していた」とし、「IRJの利益相反管理体制の問題点もあってこのような事態を招いたものであり、まさに起きるべくして起きた事案である」と指摘しています。

とんでもない事件

利益相反の意図はともかく、客観的にはIRジャパンの一連の行為により、マッチポンプと見られる外形が作られたわけで、間違いなく顧客の期待を完璧に裏切ってきたわけです。利益相反というと法律が定めることに違反したというドライな見え方ですが、このケースはもっと重大なことと考えるべきだと思います。

この事案のような敵対的な買収においては、当事者間の利害が激しく対立します。たとえは悪いかもしれませんが、セキュリティ会社が泥棒に、顧客宅のセキュリティの甘いドアを教えるようなもんです。この事件は単なる利益相反取引ではなく、とんでもない事件なんです。と、kuniは考えますが、みなさんはどう?