五洋インテックス 調査報告書を受領

調査委員会設置の1月に一度取り上げましたジャスダック上場の五洋インテックス、3/4に調査報告書を受領したようです。まぁ、グダグダな調査報告書です。というか、事実関係を報告する場面での同社と監査法人とのやりとりが要領を得ない、グダグダなんですけどね。

社長交代してたんですね

この会社2月に社長交代してたんですね。宮原社長から梅野社長に。宮原氏も梅野氏(元専務)も昨年株主総会で決議し、乗っ取り側が送り込んだ取締役です(乗っ取りだとすればですが)。一応、昨年11月の四半期報告書の訂正報告の件の責任を取っての退任のようです。

乗っ取り側から送り込まれたのは3人。残りの一人が社外監査役なんですが、なぜかこの社外監査役が今回の調査委員会の委員に名を連ねていたり、委員会のヒアリング対象者からは新社長(当時は専務取締役)は外れていたりします。新経営陣に配慮した格好には見えますね。

発生の原因

監査法人側にも落ち度はあったようです。45日ルール(期末から45日目までに四半期報告しなければならない)が迫っているのに、同社に対して急がせるとか、守れなかった場合にどうなるのかといった適切な助言が行われていなかったようです。プロといえる対応ではありません。

とはいうものの、最後まで監査法人からバックデートでレビュー報告書がもらえると思っていたようで、五洋インテックスの経営陣にコンプライアンスの意識が薄すぎたわけです。IR関係の業務に通じた管理部長が退職し、実質的に開示に関する知識のある人間がいなかったのも原因の一つとされてました。ガバナンスも効いてません。

2017年には子会社株の株価操作、2018年には不適切な会計処理、2019年には乗っ取り騒ぎに開示違反、、、こうやってハコ企業が出来上がっていくんでしょうね。

最後に、社長交代を開示した際の「代表取締役の異動に関するお知らせ」、、、今年の2月13日なんですが、右肩に書かれている日付は2019年2月13日になってます。こんなところもテキトーです。

スピンオフ普及の条件 コシダカHD カーブスHD

昨日はコシダカHDからスピンオフしたカーブスHDのお話を書きました。ダラダラと長くなってしまい、本題に入る前に終わってしまいました。今日は、期待されるスピンオフが普及するために必要なものについて考えてみます。簡単に答えが出るとも思えないのですが、、。

スピンオフ後の株価

コシダカHDとカーブスHDの例で考えてみましょう。コシダカHDはカーブスHD株式を自社の株主に割り当てます(分配します)。つまりカーブスHD株式というIPO(新規公開株)を株主は手に入れるわけですね。そしてその株式が公開後、値上がりすれば株主は万々歳。

ということですが、株主が喜ぶだけではスピンオフが普及するとは思えません。一方のコシダカHDの株価はどうでしょう。カーブスHDを切り出してしまいました。で、切り出されたカーブスHDが株価を上げていくとなると、コシダカHDの株価は低迷する可能性もあります。こんなことではそもそもコシダカHDの経営者はカーブスHDを手放さないでしょう。

とまぁ、こう考えてくると、スピンオフ後のコシダカHDの株価も上昇しなければ経営判断としてスピンオフはなさそうです。スピンオフ実施後の残した本業に資源を集中し、再度成長を加速させられるという戦略が必要ということですね。

子会社・事業の売却

ここで気になるのが、日立等がスピンオフではなく事業や子会社の売却に動いていることです。売却ですから現金が入ってきます。スピンオフの方は現金は入ってきません。普通に考えると現金が入ってくる「売却」を選択しそうなものです。

これを株主の視点で考えると、売却はその時点での価値を現金化して会社のもの(株主のもの)にする行為ですし、スピンオフはその時点での価値を株式として株主に渡し、その後の果実は株主の判断に委ねる行為でしょうか。よほど株主の方を向いているというか、受託者責任を意識する会社の選択でしょうね。

前田道路が株主に対して特別配当を実施したのに通じるような考え方かもしれません。こういう株主を強く意識するガバナンスが、日本にも芽生え始めてきたのでしょうか。コングロマリットディスカウントの解消にしても、株主利益の最大化に通じるわけで、同じ感覚だと思われます。株主利益を最優先に考える経営こそが、スピンオフ普及の条件なのかもしれません。

新制度下で初のスピンオフ上場 カーブスHD コシダカHD

親会社と資本関係のない独立した会社にする、スピンオフという仕組みを使った初の新規上場が行われました。親会社はコシダカHD。独立して上場にこぎつけたのがカーブスHDです。2017年に税制改正が行われ、スピンオフ税制が導入されましたが、カーブスHDはこの新税制で誕生した第1号案件です。

初値は公開価格割れ

残念ながら初値は670円。公開価格を80円下回りました。新規公開株の初値割れは12銘柄ぶりとのこと。しかし、上場日の環境が悪すぎましたね。マーケット全体がどこまで下げるやら、、、という環境に加え、新型コロナウィルスの感染がスポーツクラブ経由で、なんて話題もあるくらいですし。あっ、カーブスHDはフィットネス事業を手掛ける会社です。

日経ではスピンオフ前のコシダカHDの時価総額が1173億円、スピンオフ後の両社の時価総額が、コシダカHDが454億円、カーブスHDが576億円と伝えています。143億円目減りしてますね。ただ、時価総額の比較時点で日経平均は1000円下落してますから、、まだなんとも。

さらに翌日にはカーブスHDは100円高となっており、時価総額は660億円を回復してきています。コシダカHDの方は少し下げてますが。とにかく相場が荒れていますので、目先の動きは気にせず、もう少し様子を見てみましょう。

スピンオフのすすめ

スピンオフは子会社や特定の事業を本体と資本関係のない独立した会社にする会社分割の手法。経営判断が早くなるでしょうし、経営資源を自社に集中できるのも魅力です。ソフトバンクがよく言われる、コングロマリットディスカウントの解消にも効果あり。

多角化を進めてきた日本企業は様々な事業を抱え、このことが各事業の競争力を阻害してきたという一面があります。日立や東芝が今まさに取り組んでいるように、政府としても事業再編を促しているという背景があるんですね。今回のカーブスHDの事例が成功すると、スピンオフによる事業再編が脚光を浴びる可能性がある。。。ということで注目です。

前田道路 NIPPOと資本提携 前田建設のTOB

前田建設工業から敵対的TOB(株式公開買い付け)を仕掛けられている前田道路。従来の2020年3月期計画の6倍に相当する535億円の特別配当実施のニュースが今月21日。さらに、今度は27日、同業のNIPPOと資本・業務提携の協議を始めると発表しました。

NIPPOとの提携

最初にこのニュースを見た時、「またずいぶんふざけたことやるもんだなぁ」というのが第一印象でした。当ブログでも過去に取り上げました、道路舗装用アスファルト合材カルテルの仲間同士です。

アスファルト合材の価格を不正に引き上げるカルテルを結んでいた9社。公正取引委員会は、独占禁止法違反(不当な取引制限)で、過去最高となる総額399億円の課徴金納付を命じましたが、その道路舗装大手9社のうちの1社が前田道路。そしてもう1社がNIPPOです。NIPPOはカルテルには加わっていましたが、違反を自己申告したようで、処分は免除されています。

業界1位のNIPPOと2位の前田道路の提携ですので、独占禁止法に抵触する可能性に言及しているメディアが多いようですが、公正取引委員会はどう判断するんでしょうか。わずか半年ほど前に処分したばかりですからね。この「カルテル組んでた2社が」という感情的なものもあるでしょうし。

前田道路の言い分

とまぁ、良いイメージのない前田道路だったんですが、同社のTOBに対する反対意見表明のお知らせや、特別配当のお知らせの中での主張は、至極真っ当なものですね。

前田建設は前田道路が抱える内部留保を狙って子会社化を企んでいるが、内部留保は株主全員の利益であり、前田建設だけに提供されるものではない。よって当該内部留保を特別配当と言いう形で株主全員に還元する。そんな感じです。

特別配当は前田建設にも支払われるわけですから、これはこれで前田建設にとっても良い話かもしれません。ということですが、このまま手打ちになるかというと、、、まだ続きがありそうです。

楽天に緊急停止命令 公正取引委員会

「楽天市場」で一定額以上の購入代金を「送料込み」と表示する方針、出店者に不利益を与える恐れがあるとして、公正取引委員会は28日、楽天に対し緊急停止命令を出すよう東京地裁に申し立てました。「送料込み」であっても、やはり独占禁止法に抵触するとの判断です。

適切な判断

公取委による緊急停止命令の申し立ては2004年以来だそうです。緊急停止命令は独占禁止法で規定されていて、同法違反が疑われる行為を一時的に取りやめさせる措置です。排除措置命令よりも緊急性が高く、公取委の申し立てに対し裁判所が命令を出すかどうか決めることになります。

全てはアマゾンとの競合なんですね。送料無料がアマゾンの強みだといわれています。アマゾンは長い間自前の物流網を整備してきました。そのため長期間赤字を垂れ流してきたんですね。一方の楽天は物流に関しては出店者に委ねることで事業の立ち上がりのスピードを重視してきたんだと思います。

そして、ここにきて自前の物流網で送料をアマゾンが負担するビジネスモデルのメリットである送料無料を打ち出そうとしたわけです。しかし、楽天の取った手段は、自ら赤字を垂れ流しても、、、ではなく、出店者側に負担をかけるという発想です。これはやはり違うんじゃないかな。公取委の判断は適切だと思います。

オリジナリティが

公取委の申し立てを受けてもなお、楽天は、「法令上の問題はないと考えている。公取委には理解を得るべく全面的に協力する」とコメントを出していますが。アマゾンと同様に送料無料に、、、という発想。何より一番気になるのは、楽天のオリジナリティがなくなってしまったことではないでしょうか。

もう一度原点に返った方が良いのでは?アマゾンの顧客は商品の購入者ですが、楽天の顧客は出店者です。そもそもビジネスモデルが違うわけですから、そのオリジナリティを強みに変える変革が必要なはず。