イートアンドホールディングス(大阪王将)ナメクジ事件に工場火災

イートアンドホールディングス(大阪王将)は1/10、「当社グループ関東第一工場における出火に関するお知らせ(第二報)および業績予想の修正に関するお知らせ」を公表しました。工場火災の影響で、2024年2月期の業績を下方修正するという内容です。

下方修正

関東第一工場の設備および関連費用等について、1,400 百万円の特別損失を計上する見込みとのこと。そのため、450百万円を予想していた純利益が700百万円の損失となるということです。もちろん、保険が適用されて2025年2月期には特別利益を計上するわけですが。

偶然じゃない事案の連鎖

大阪王将では1年半前にナメクジ事件(仙台のお店)が話題になり、保健所が調査した結果、「湿気の多い季節に外部からの侵入があった」と認める結果を出していました。他にも無断でネコを店舗の屋外で飼育していたなんて話も。これらを含め保健所は全12項目の改善点を指摘したとのこと。

そして今回の工場火災。現場に対するガバナンスが効いていないことが、次々と目に見える形となって発生してしまっている感じです。工場火災についてはこれまで第一報と第二報が公表されているんですが、いずれも発生原因が記載されていません。

消防当局や機械類の専門家の調査によりやっと原因が特定できるものでしょうから、発生から一か月経っても調査中というのはよくあること。しかし同社の開示では「発生原因」という項目すらありません。原因があるからこそ結果があるわけで、その原因こそが経営が対処するべき課題。こんなところにもガバナンスに関する同社の無関心さを感じますね。

SBI証券 金融庁が一部業務停止命令と業務改善命令

金融庁は1/12、「株式会社SBI証券に対する行政処分について」を公表しました。日経は同日の朝刊でフライング記事を掲載していましたね。いつものリーク記事です。行政処分の内容は、一定期間の一部業務停止命令と業務改善命令の二つです。

業務停止命令

執行役員兼機関投資家営業部長及びIFAビジネス部管掌執行役員らが、エクイティ・キャピタル・マーケット部管掌常務取締役や執行役員と相談し、香港現地法人の社員(機関投資家営業部員が兼務)及びIFAビジネス部員等に対し、顧客に新規公開時に公募価格と同価格の指値で当該株式の買付けを行うことを勧誘させていたというもの。

こうしたいわゆる初値買付の勧誘や実行について金融庁は、金融商品取引法で禁止する「作為的相場形成」にあたると認定したということです。役員が株価操作を主導するなど悪質性が高いと判断し、一定期間の新規上場銘柄の勧誘・受託業務を停止させます。ん~、これってちょと甘すぎないか?

いつか来た道

大手証券会社も以前は盛んにこの初値形成に積極的に関与する行為を行ってきました。いや、今でもやってるところあるかもしれませんね。要は「マーケットで自然に形成される株価を人為的に操作等しちゃだめよ」って法律。ブロックオファー対象銘柄の終値を買い支えていた日興証券と根っこはまったく一緒です。

前にも書いたけど、この事件を受けたIFAに対する世の中の評価ってどうなってるんでしょうね。

株式会社グッドスピード 金融庁の公益通報窓口が使われたこと

先日取り上げたグッドスピード。売上の先行計上の不正を行っているという内部通報が発覚の端緒となっていました。多くの企業では社内の通報窓口や外部に自社が契約する弁護士事務所等の窓口への通報が一般的なんですが、なぜかこのケースは金融庁の公益通報窓口が使われました。

金融庁の公益通報窓口

金融庁の通報窓口ってホームページのトップにはリンクがなくて、結構分かりにくいんですよね。こんな通報窓口よく知ってたなぁ、って感じです。一方で証券取引等監視委員会の通報窓口はトップページですぐ分かります。同社の従業員が通報したのは監視委員会だったかもしれません。

監視委員会は金融庁の下部組織ですし、通報内容が精査された後に金融庁に連絡。そこから同じ下部組織である公認会計士・監査審査会を通じて、同社の監査法人へ情報提供したという流れだったかもしれません。

かなり専門家でないと

社内やお抱え弁護士事務所の窓口を選ばなかったのは、よほど会社の経営陣のことを信用してなかったからでしょう。通報先が金融庁だったか、監視委員会だったかはともかく、一般の社員が通報先に選ぶところではなさそうです。会計やら監査に関して十分な知識を持っていることがうかがわれます。

当然経営陣もそのことに気付くでしょう。通報者が社内で魔女狩りに遭わなければいいのですが。

回転寿司のスシロー 中央労働基準監督署が是正勧告

回転寿司最大手のスシローを運営する「あきんどスシロー」が、東京都内の店で働く男性アルバイトの5分未満の労働時間を切り捨て、賃金を支払っていないとして、中央労働基準監督署から是正勧告を受けたようです。

FOOD & LIFE COMPANIES

スシローは回転寿司業界で売上、店舗数ともに第1位です。運営する企業はあきんどスシローで、その持株会社として上場しているのが FOOD & LIFE COMPANIES という東証プライム上場企業です。まぁ、いろいろな業態へ展開してるからこういう上場企業名にするんでしょうが、ややこしいですね。

是正勧告

労働基準法では労働時間は1分単位で計算するのが原則と解釈されているところ、アルバイトの5分未満の労働時間を切り捨て賃金を支払っていなかったというもの。今回是正勧告を受けた店舗以外でも同様のことが発生しているようで、労基署の判断を待っている状況だそう。

同社の従業員は正社員が1,731人、一方でパート・アルバイトは4万6,138人いるとされており、過去の切り捨て分が全員に支払われるとなると、相当な金額になりそうです。ちなみに2022年9月以降は1分単位の労働時間計算に切り替わっているといいます。

ほぼ定期的にといっていいくらい不正行為が出てくる回転寿司業界。アルバイト等への残業代未払い、業界トップでこんな話が出てきただけに、じゃぁ、他の回転寿司はどうなの?ってなりますよね。

三菱電機株式会社による株式会社北弘電社の完全子会社化

北弘電社は1/9、「三菱電機株式会社による株式会社北弘電社の完全子会社化に関する株式交換契約締結(簡易株式交換)のお知らせ」を公表しました。三菱電機は、北弘電社の発行済み株式の約27%を保有する筆頭株主です。経営破綻を回避するための対応ですね。

不正の影響は避けられず

北弘電社は電気設備工事や産業設備機器の仕入れ販売などが主な事業。太陽光発電所の建設工事を巡る不正会計処理や、小型風力発電事業からの撤退などで財務状況が悪化し、2023年3月期に債務超過に陥っていました。不正の概要等は当ブログでも何度も取り上げてきましたので、バックナンバーをご覧ください。

完全子会社化

開示の内容は、北弘電社株1株に対し、三菱電株0.26株を割り当てることで、持ち分法適用会社の北弘電社を株式交換により完全子会社化するというもの。三菱電機の1/9終値(1株2026円)をもとに計算すると、北弘電社株は約530円の評価ということになります。

に、対して、北弘電社の1/9の株価は1,317円。大幅なディスカウントとなる株式交換の公表により1/10にはもちろんストップ安に。以前から会社の状況から考えて信じられないほど高い株価と指摘してきました。しかし、札幌市場の価格形成、おかしいんじゃないの?北弘電社は4月11日付で上場廃止となる予定です。