電通グループ 再発防止に向けた取り組み

電通グループは6/9、「調査検証委員会からの調査報告書の受領、および再発防止に向けた取り組み」を公表しました。東京オリンピック・パラリンピック関連事案に関して、従業員が独占禁止法違反の疑いで公正取引委員会から刑事告発され、東京地方検察庁により起訴。法人としても起訴された件に関してですね。

調査検証委員会による「調査報告書」の報告内容および提言

調査検証委員会が指摘した問題点は次の3点。
 ① 過剰なまでに“クライアント・ファースト”を偏重する組織風土
 ② コンプライアンスリスクに対する感度の鈍さ
 ③ 手続の公正性・透明性への配慮を著しく欠いていたこと

②と③に関してはまぁ、ごもっともというか、当然指摘されるべき点だと思われますが、①については、どうにも違和感があります。指摘の内容として、「仕事に対する積極的な姿勢は、dentsu の競争力の源泉となってきた一方で、ともすると、結果が全てを正当化するような思考に陥りがちであり、仕事に携わる者の視野を狭め、あるいは近視眼的になってしまうリスクを内包している。」

指摘の内容については理解できるけど、こういこととクライアント・ファーストが紐づくんだろうか。顧客と自身の利益を比較してクライアント・ファーストであって、コンプライアンスやルール厳守と比較するものではないとkuniは思います。

「クライアント・ファースト」という美しい言葉を持ち出して、彼らが犯した不正の言い訳にしているような感じ。もちろんこれは電通ではなく、調査検証委員会が使った表現ですけどね。委員会はちゃんと機能したんでしょうか。

株式会社レイ 従業員による着服行為 調査結果

株式会社レイは6/9、「第三者調査委員会の調査報告書受領に関するお知らせ」を公表しました。4/14付けで第三者調査委員会を設置していましたから、調査期間は約2ヶ月でしたね。受領に伴い、有価証券報告書等を6/30をめどに提出する予定だそうです。

おさらい

株式会社レイは、SP(セールスプロモーション)、TVCM(テレビコマーシャル)などの企画制作と、デジタル映像インフラを駆使した実制作を行う、テレビ朝日ホールディングスの持分法適用関連会社でした。第一報では同社従業員による着服行為が過去数年にわたって行われていた事実が確認されたとしていました。

調査結果の概要

調査の結果、同社において、①仮想取引による会社資金の詐取、②不適切なキックバック、③背任行為による会社資金の詐取という不正が行われていたことが判明しています。行為に関与したのは3名といっていいと思いますが、実際に儲けていたのは2名で、詐取した金額のほとんどは1名の懐にって感じです。

仮想取引による資金の詐取は約2億2,000万円。不適切なキックバックは約4,300万円。背任行為による会社資金の詐取は約1億6,000万円だそうです。いずれも不正を働いた従業員が設立していた法人口座への入金という形。かなり壮大な金額になりましたね。

売上高が100億円程度で、経常利益が10億円に届くことが珍しい、という規模の会社で、上記のような不正がどうやって隠れ続けてきたのか。2020年3月期から行われてきた不正とはいえ、億円単位で収益や費用がブレることに、普通は誰か気が付きそうなものだけど。

株式会社ラックランド さらなる不正が発覚

株式会社ラックランドは6/6、「特別調査委員会の構成の一部変更に関するお知らせ」を公表しました。PwC 京都監査法人が発見した不正でしたね。5/12付けで調査を開始した特別調査委員会でしたが、当初事案とは別の案件を見付けたようです。

新事案の概要

同社から協力会社に対して、ある案件に係る施工代金の請求額の一部を他の案件に係る施工代金の一部として計上して請求する方法。ある案件に係る施工代金の請求額の一部の減額を要請し、将来の他の案件において減額分を支払うことを約束する等の方法により、原価の付け替えに係る不適切な要請が行われた可能性が指摘されているということです。

「同社の複数の部署の職員が本追加事案への関与が窺われるメールデータ・チャットデータが複数発見された」などという書きぶりもあり、当初発見された不正が一気に拡大している様子です。

このことを受け、本追加事案に関しても徹底した調査を実施すべく、本調査委員会の委嘱事項に本追加事案の調査を含めるとともに、より客観的かつ高い独立性を担保した実効性のある調査を実施するため、外部専門家の追加選任を行い、かつ、本調査委員会の委員長を外部専門家としたうえで、当社から独立した中立・公正な外部専門家のみを委員とする構成に変更する。というのが今回開示の趣旨です。

取引先を巻き込んでの原価の付け替え。これまでにも多くのケースで見てきたように、原価の付け替えにとどまらず、取引先にプールした資金の還流(キックバック)などへ発展していくのかもしれません。

ナトコ株式会社 本社工場で火災事故

ナトコ株式会社は6/5、「本社工場における火災発生について(第一報)」を公表しました。6/5、13:10頃、同社本社工場において火災が発生したとのこと。同日の17:45には火災発生の適時開示もなされています。

ナトコ株式会社

ナトコは、合成樹脂塗料の製造販売を中核に、高機能性樹脂、純品シンナーなどを手掛ける化学メーカー。ポリマー材料技術を根幹に、分散・コーティング・色彩の技術をもとにした製品開発を進めています。本社は愛知県みよし市。設立時の会社名は名古屋塗料、東証スタンダード上場企業です。

火災の概要

愛知県みよし市の本社工場から出火。しかし、出火から25分で鎮火したようです。人的被害はなく、物的被害も、「樹脂工場の一部が火災の被害を受けている」という程度の書きぶりとなっています。大事に至らなくて良かったですね。製品の生産への影響や、出火原因については現在調査中としています。

火災発生も大火には至らず、同社の企業活動への影響も最小限で抑えられそうです。しかしながら、事故を発生させてしまった事実は隠しようがありません。発生原因の追及など、ここでのしっかりとした対応が、次の惨事を防止するうえでの重要なカギになります。

小さな事故でしたが、同社にとって大きな収穫に結び付けることができるか。後々のことを考えると、ここでの対応は非常に重要だと思いますよ。

ビジョナリーホールディングス (メガネスーパー) 責任調査委員会?

ビジョナリーホールディングスは6/5、「責任調査委員会の設置に関するお知らせ」を公表しました。5/31付で、「第三者委員会の調査報告書の受領に関するお知らせ」を公表しており、一連の調査は完了したかのような状況でしたが、責任調査委員会の設置。新たな展開です。

おさらい

前代表取締役社長による同社企業価値を毀損する行為(同社長と懇意な関係にある業務委託先企業2社に対して不当な利益供与がされているなど)に関して調査を行い、同社長にとどまらず、その他取締役等についても、そうした疑念が深まっていました。

第三者委員会の報告

5/31、調査結果は一応報告されましたが、かなり調査の限界があったようで、次のような一節がありました。「調査対象となっているメンバーの一切の協力を得られなかったため、更なる調査及び検討を行うためには、裁判所、検察庁若しくは警察等の捜査機関、または金融庁若しくは公正取引委員会その他の行政機関による強制権限に基づく調査及び資料収集を待たざるを得ない」。なかなか見られない指摘です。

責任調査委員会

「責任調査対象者の職務執行に関して任務懈怠責任があったか否か等につき、当社として適切かつ公正に判断することを目的として、責任調査対象者と利害関係を有しない中立・公正な外部の法律家で構成される責任調査委員会を設置する」、とのこと。

責任調査対象者の範囲は、前社長が代表取締役に就任して以降の取締役(監査等委員を含む。)、監査役及び委任型の執行役員、雇用型の執行役員、及び責任調査対象者とすることが合理的と判断された当社及び当社グループの従業員だそうです。

ザックリいえば、責任調査対象者は全役職員なわけですね。いやぁ、壮大な魔女狩りが始まりました。