淺沼組 公共解体工事で建設業法に基づく営業停止処分

淺沼組は7/25、「建設業法に基づく営業停止処分について」を公表しました。千葉県市川市発注の工事の入札に関し、公契約関係競売入札妨害罪で同社従業員が有罪判決を受け、刑が確定したことにより、同日付で、建設業法第28条第3項の規定に基づく営業停止処分を受けたということです。

淺沼組

淺沼組は、大阪に本社を置き、民間建築工事を主力とする中堅ゼネコンです。全国主要都市に拠点を展開し、建設工事の企画から設計、施工、地域開発、都市開発、環境整備に関する事業などを行う東証プライム上場企業です。

処分の概要・背景

茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県及び長野県の区域内における解体工事業に関する営業のうち、公共工事に係るものに対する営業を、120日間禁止するという内容です。同社もそうですし、日経も処分の事実だけしか伝えておらず、背景や経緯が不明。

調べてみるとこの事案、2020年4月に行われた市川市立塩浜学園の解体工事の入札をめぐり、予定価格などを当時の同社千葉営業所長が知り、4社が競合するなか落札に成功したという事件でした。なんと予定価格は当時の市川市長周辺から漏れており、この所長のほか3人が起訴されています。

そもそも情報を持ち出した市長は起訴には至っていないようです。ちょうどこの入札が行われたころ、この市長は2期目を目指す選挙で大敗しており、敗因となったのが、「テスラの高級車を公用車に導入」とか、「市長室のトイレの中にシャワー室を内緒で設置」しちゃったこと。はいはい、思い出しました。あの件に絡んだ事件だったのね。

ねんきん定期便談合 光ビジネスフォーム 日本年金機構から損害賠償請求

光ビジネスフォームは2/22、「日本年金機構からの「不正行為に係る損害賠償請求の方針」に係る文書の受領に関するお知らせ」を公表しました。昨年公正取引委員会が課徴金を科したねんきん定期便談合でしたが、その損害賠償請求が日本年金機構から届きました、という開示です。

おさらい

当時公表された、ねんきん定期便データプリントサービスの入札談合に加わっていた業者は全部で26社。光ビジネスフォームもその中の一社で、5,772万円の課徴金を喰らってました。金額の大きさでは8番目くらいだったでしょうか。他に、東洋紙業、ナカバヤシ、共同印刷、トッパン・フォームズ、北越パッケージなんかが並んでましたね。

その光ビジネスフォームが唯一、この損害賠償請求の件を開示しています(2/22、17時現在)。年金機構は同社に対し、排除措置命令等の対象とされた各契約に関して機構が被った損害のうち、支払済みの不正行為違約金を超える額について、追加して損害賠償請求を行うということです。

損害賠償請求金額

既に支払われていると思われる不正行為違約金というのがよく分からないのですが、今回の損害賠償請求金額は約196百万円。遅延損害金まで含めると軽く2億円越えです。悪事は高くつくのです。この金額に関し光ビジネスフォーム側に異論があるというなら、訴訟の提起を行うという殺し文句も。

今のところ光ビジネスフォームだけですが、おそらく談合に加わっていたその他の企業も相次ぎ開示。ということになりそうですね。こっそりカネだけ払って開示はせず、、、っていう企業もあるでしょう。いずれにせよ、悪さしたんだからしょうがないです。

公正取引委員会 ニチイ学館に 排除措置命令

公正取引委員会は10/17、「愛知県又は岐阜県に所在する病院が発注する医事業務の入札等の参加業者に対する排除措置命令及び課徴金納付命令について」を公表しました。愛知県と岐阜県にある病院の医療事務の入札で談合を繰り返していたということです。

ニチイ学館

命令を受けたのは業界大手のニチイ学館。再発防止に向けた排除措置命令と1億2,134万円の課徴金納付命令を受けています。2015年3月以降、両県の公立など20病院が発注する診療報酬請求や、窓口会計業務といった医療事務の受託について、同社とソラストのいずれかが受注できるようにしたり、入札価格を事前に決めたりしていました。計40件の発注で談合し、受注総額は約87億円とのこと。

結託したソラストは公正取引委員会の立ち入り検査を受け、同委員会の調査に全面的に協力し、再発防止に向けた取り組み及び課徴金減免制度の適用が認められており、課徴金はゼロということになっています。

ニチイ学館は2020年11月にTOBにより突然の上場廃止となっています。創業家のお家の事情などとも言われていましたが、投資ファンドがいろいろちょっかい出して話題になりましたね。ソラストとニチイ学館に公取委が調査に入ったのが2019年の5月ですから、この事案、創業家が事業を実質的に手放すきっかけの一つにもなっていたのかもしれません。

ソラスト

ソラストの開示によると、公取委の調査着手以前の2018年8月に内部通報があり、その後の社内調査で違反行為を確認しているようです。速やかに公正取引委員会に対して報告を行うとともに課徴金減免制度の適用を申請し、その後も、随時、追加報告を行ったとのこと。違反は違反ですが、社としての対応がその後の明暗を分けたわけですね。

学校PC談合 公取委が排除命令

日本経済新聞は7/7、「学校PC談合 公取委、NTT西などに排除命令へ」と報じました。広島県などが発注する学校用パソコンなどの入札を巡り受注調整をしたとして、公正取引委員会が近く、NTT西日本など11社に対して独占禁止法違反(不当な取引制限)で再発防止を求める排除措置を命じる方針を固めたということです。

11社で独占禁止法違反

今回の報道で社名が報じられているのは、NTT西日本に加え、大塚商会、ソルコム(広島の地元企業)の3社ですね。今のところどこの報道を見てもこの3社しか出てきません。公取委は各社に処分案を通知したということです。

各社は広島県や広島市が発注する公立の小中高校用のパソコンや周辺機器について、一般競争入札や見積もり合わせで、事前に受注業者を決めるなど談合を繰り返した疑いが持たれています。課徴金納付命令は総額約5,000万円になるとみられるとのこと。

2020年に始まった調査

実はこの談合事件、2020年10月には始まっていた調査なんですね。この時の調査対象企業には、上記3社に加えて富士通リースや新星工業社などの名前もあがっていました。で、調査対象となった企業は合計14社。3社は独禁法違反までは認められなかったということですね。

当時の報道では、受注調整は遅くとも2013年ごろから続いていたとされ、「内部からのリークも含め、各方面から情報が集まった」といいます。事業者間のみの談合とされ、当時も官製談合の可能性は低いとの見方がされていました。

日本の将来を背負って立つ子供たちへのGIGAスクール構想に関わる事業者たちが、自社の利益を最優先して談合です。学校現場のPC納入を巡る談合は、約20年ぶりの事件だとか。マジで許せない大人たちです。

鹿島建設 元部長に所得税法違反で強制調査 リニア談合でも罰金2億5千万円

鹿島建設は3/1、一部の報道を追認する格好でお知らせを公表しました。昨年度の税務調査の過程で、元部長の所得税法違反容疑に関する調査が行われたことを契機に、協力会社から多額の個人的な借入と、過剰な接待等を受けていた事実も判明したといいます。

所得税法違反で強制調査

東日本大震災の復興事業を巡り、東北支店の元営業部長が下請け業者から数億円を受け取ったものの、税務申告していなかったということが、仙台国税局の強制調査で明らかになったそうです。

国税局に対し、下請け業者の1人は「元部長に少なくとも現金2億円を提供した」と説明しているようです。この調査をきっかけに鹿島建設が独自に調査を行い、協力会社から多額の個人的な借入と過剰な接待等も受けていた事実を掴んだとのこと。

で、昨年12月に懲戒解雇処分としたんだそうです。しかし、この事実は「一部報道」がされる今月まで伏せられていたということですね。これらの後追いのお知らせは同社のホームページだけ。類似案件がなかったのかといった調査も行われた感じじゃないですね。

リニア談合

上記お知らせと同じ3/1、リニア中央新幹線建設工事をめぐるゼネコン大手4社による談合事件で、鹿島建設と大成建設は罰金2億5,000万円の有罪判決を受けたことを公表しています。大成は控訴を検討するとしていますが、鹿島は今後の対応を検討するとしています。

残り2社は大林組と清水建設で、独禁法の課徴金減免制度に基づき公正取引委員会に談合を自主申告。両社は法人のみ同罪で起訴され、東京地裁は大林に罰金2億円、清水に同1億8千万円を言い渡し、確定しています。

同じ日に2件の不祥事が報道されるなんて、どうなんでしょう鹿島。報道側が判決の日に合わせて元部長の事件も報じたのかもしれませんが、、、。それでなくてもオリンピック特需後のこの業界は厳しいはず。こんな自爆をしているようじゃ、この先暗そうですね。