SMBC日興証券 副社長をコンプライアンス担当に

SMBC日興証券は9/27、「役社員の異動について」を公表しました。副社長が同日付で取締役に就任し、コンプライアンス統括役員を担うという人事です。大株主から株を買い取って投資家に転売する「ブロックオファー取引」での相場操縦を巡り、東京地検特捜部により同社役職員等が逮捕・起訴されていた件を受けての対応です。

前担当は取締役を退任

同時に発表された人事では、コンプライアンス統括担当だった取締役が取締役を退任し、常務執行役員に専念するという異動も公表されています。金融庁から行政処分が下される直前というタイミングでの役員異動ですので、事実上の解任でしょうね。

こういうタイミングで突然の公表。おそらく金融庁とのやり取りで「最低限の責任の取り方があるだろう」みたいな口頭指導があったんでしょう。SMBC日興は「相場操縦事件の再発防止の一環で、副社長クラスを統括に据えることでコンプライアンス順守の体制強化を図る」と言ってますが。

新たなコンプライアンス統括担当

コンプライアンス統括担当に新たに就任されるのは副社長執行役員だった方。今回取締役に就任し、取締役兼副社長執行役員として任に当たられます。前担当が筆頭取締役だったのでナンバー4。副社長という肩書ではありますが新任のこの方もやはりナンバー4なんですよね。取締役会での序列は一番下だと思われます。

同じ日に三井住友フィナンシャルグループも、子会社であるSMBC日興のこの人事を公表しているんですが、適時開示等はなし。本気でコンプライアンス徹底を目指した副社長人事ならもっと派手に公表しても良さそうなもんだけど。やはり、金融庁のご指示に沿っただけなんですかね。

東京五輪・パラリンピックを巡る汚職事件 KADOKAWA会長を逮捕

じわじわと拡大してきましたね、五輪汚職事件。最初はAOKIホールディングスでした。次に出てきたのがKADOKAWAです。同社会長が事件に関連して初めてメディアからのインタビューを受けていたときの受け答え。なかなかビシッとしてて良かったんだけど、直後にあっさり逮捕されてしまいました。

昭和のにおいが

この事件、正直言うとあまり詳細情報は知らないんですよね。世間もそうかもしれないけど、オリンピックも終わってしまって、今一つ興味がわかないというか。視聴率もあまり稼げてなさそうな。まだまだ統一教会の方が世間の興味を引いてる感じがしますね。

受託収賄容疑で逮捕された大会組織委元理事が79歳。贈賄容疑の側ではAOKIホールディングスの元会長が83歳だっけ。同じく贈賄のKADOKAWA会長が79歳です。いずれも昭和の時代に大活躍された爺さんたちですね。事件全体からも昭和臭がします。

今の日本を停滞させ、もしくは後退させてしまっているのは、この人たちのように昔の名前で出しゃばってくる高齢の重鎮たちなのかもしれませんね。もちろん昔は非凡な才能を発揮されてきたんだろうけど。肝心なところが時代について行けてなかったり。

反社と一緒やね

今回時代についていけなかったのは、みなし公務員への対応という新しい常識でしょうか。反社会的勢力との付き合いが御法度になったころとよく似ています。反社に関する新常識が欠けていた財界人や政治家、芸能人が叩かれまくりました。

五輪汚職事件、パーク24も名前が出てきましたが、まだまだ拡大しますでしょうか。森喜朗元首相(85歳)も参考人として任意で事情聴取だとか。いつもの流れだけど、政界へも飛び火するんだろうなぁ。

株式会社ダイイチ 第三者委員会の調査報告書を公表

ダイイチは6/24、「第三者委員会の調査報告書受領に関するお知らせ」を公表しました。社外からの指摘により、一部不適切な会計処理が行われていたことについて調査してきた結果ですね。「社外からの指摘」というのは札幌国税局による税務調査だったようです。

通常とは逆の会計不正

ダイイチは北海道帯広市や、旭川市、札幌市などにおいて、食料品主体のスーパーマーケット事業を21店舗展開している企業でした。

よくある会計不正ってのは、今期業績が芳しくなく、翌期以降の売上等を先行計上することで儲かってるように見せるというパターン。同社では真逆で、売上原価や経費の先行計上など、今期の利益を抑えて次の期の利益を大きく見せる(確保する)という会計不正なんですね。

2014年9月期にはこうした会計不正が行われており、2021年9月期まで毎年継続して行われていました。これらは経営陣(取締役レベル)が主導して行っており、その指示に基づき全社的に行ってきたもののようです。調査委員会が調査している最中に電子データを削除し、これを復元不能にするよう工作までしていたと。

不正の動機

会計不正を行ってきた動機というのも珍しいです。報告書では、「株主に対して右肩上がりの業績の推移を示すことにより、経営の自由度を高める」ためということです。つまり、株主からの経営に対する干渉を排除したいという自己保身的な動機だったということなんですね。

最近、四半期開示について議論が盛んになっていますが、ダイイチにおいても似たような弊害が出ていたということかもしれません。毎期毎期利益をあげなきゃ株主が黙ってない。そもそも企業経営なんて長期で語るべきものでしょうにね。

ソフィアホールディングス 独立調査委員会を設置

ソフィアホールディングスは6/17、「独立調査委員会の設置及び第47期定時株主総会の継続会の開催方針のお知らせ」を公表しました。以前取り上げたアルテリア・ネットワークスの件。ドコモにアクセスチャージを不正に支払わせた事件で、ソフィアホールディングスの子会社でも逮捕者が出ています。

逮捕者

アルテリア・ネットワークスの従業員と共謀して、ドコモにアクセスチャージを不正に支払わせたということで、ソフィアホールディングスの連結子会社ソフィアデジタルの役員2名が逮捕されています。アルテリアに比べると判断が遅れてしまいましたが、同社としても事件の事実関係の調査を開始します。

同事件に類似する事象の存否などについても公正かつ適正な調査を行うことを目的として、外部の有識者で構成する独立調査委員会の設置を決めたということです。少なくとも今月中に事件の詳細や決算への影響を見極めることは困難であるとしています。

そのため、6/28に開催予定の定時株主総会では、決算に関する計算書類報告(決算報告)に関しては行わず、後に開催する継続会にて報告するということになりました。

事件のその後

通信事業者の間で通話時間に応じて接続料金が支払われる「アクセスチャージ」の仕組みを悪用して、意図的な機械発信を生成し、NTTドコモから当該着信にかかる接続料金を不正に取得していたこの事件。通信事業者や通信機器販売会社の役職員等、計14人が逮捕されていました。

その後、6/17には、ドコモの「かけ放題」プラン84回線を利用して、長時間の発信を繰り返しNTTドコモから、約1億円をだまし取った疑いで北海道札幌市の会社員が新たに逮捕されています(15人目)。なんだかこの事件、まだまだ拡がりを見せそうな気配ですね。

アイ・アールジャパン 調査委員会における調査の対象

アイ・アールジャパンは6/14、「(開示事項の経過)調査委員会における調査の対象、範囲及び調査結果の開示時期に関するお知らせ」を公表しました。証券取引等監視委員会による同社元役員を対象とする調査が行われたことを受けて設置した調査委員会でしたね。

調査委員会における調査の対象

今回の開示では、「調査の対象及び範囲」について、以前よりは詳細に定義しています。全5項目あるうちで気になるのは、3番目に出てくる、「当社役職員の情報管理上の不適切行為その他の問題の有無」というところ。

元役員以外でも同社の他の役員や従業員が妙なことをしていないかを調査するというわけです。通常こういう横展開に関しては、「類似行為の有無」みたいな表現をすることが多いんですが、ここでは、既に役職員の不適切行為が別に見つかっているかのような表現になっています。考えすぎですかね。

株価の方も

先日も書いたように、今回のインサイダー事件を受けて同社株はめちゃくちゃ売られました。4,270円だった株価はとうとう2,000円を割り込んでしまっています。この売られ方を見ても、「当社役職員の情報管理上の不適切行為その他の問題の有無」の部分を心配しているように見えます。

つまり、同社が扱う他の上場会社のIR情報等が、役職員により何らかの方法・経路で漏えいしていた、みたいな事案が出てくること嫌っているように。それほど情報管理ができていなくて、ガバナンスも効いていない企業だとすれば、同社株の急落をめぐって役職員が事前に売り抜ける、なんてこともあるかも。

と、業態が業態だけに、アイ・アールジャパンのインサイダーについてはいろいろと考えてしまうわけですが、、、今日は少々妄想が過ぎましたでしょうか。