東亜道路工業 元取締役が株主代表訴訟を提起される 損害賠償約21億円

少し前になりますが、東亜道路工業は3/1、「株主代表訴訟に関するお知らせ」を公表しました。同社株主1名が同社代表取締役等 10 名に対して、損害賠償を請求する株主代表訴訟を提起した旨の訴訟告知書を受領したということです。

東亜道路工業

東亜道路工業は、道路舗装や土木などの施工とアスファルトをはじめとする舗装材料を製造販売する企業。主に舗装工事会社向けに販売するアスファルト乳剤では、国内トップクラスのシェアを有する東証プライム上場企業です。

訴えの概要

アスファルト合材の販売価格決定に係る独占禁止法違反行為に関し、同社に生じた損害(2019 年7月 30 日に公正取引委員会から課徴金納付命令を受けた 21 億 7,070 万円)について、当時、同社の代表取締役および取締役であった者に善管注意義務違反があったという訴え。

2012年から 2015年までの間に取締役等であった被告 10 名に対して、連帯して、最大 21 億 7,070 万円およびこれに対する損害遅延金を同社に賠償するよう求めています。訴訟を提起したのは 株式会社ストラテジックキャピタルです。10名で21億円、こりゃ、たまらんね。取締役にはこういうリスクがあるんです。

ちょっと分かりにくいかもしれないので平たく言うと、「善管注意義務違反があった元取締役10名が、個人のお金で東亜道路の損害を埋め合わせろ」、という訴訟。そのため、現在の法人としての東亜道路はこの訴訟の当事者ではありません。

ダイハツ工業 新社長就任 それでもトヨタから

車の安全性を確認する試験で25の試験項目に及ぶ不正をしていたダイハツ工業。どうやら新しい社長が決まったようです。やはりというか、それでもというか、トヨタの人ですね。トヨタ自動車中南米本部の本部長をしていた方とのこと。

会見で新社長は

人事を発表した記者会見で新社長は、「就任後に最初に取り組みたいのは社員と直接会話をすることだ。販売の第一線の人たちとコミュニケーションをとり、元の体制に戻しながら新しいダイハツへの再生を進めたい」と述べていました。

現場の人間と直接会話する。非常に大事なことです。しかし、実際に現場のダイハツプロパーの従業員がどこまで本音で語ってくれるのか。まずはそこで躓くものなんですね。毎度毎度トヨタから社長がやってきて、無理難題を押し付けてきました。従業員たちはイエスマンになるしかなかったわけです。

今回の新社長にしても同様。従業員の心を開かせて真剣に語り合えるなんてのは、まぁ言ってみれば幻想です。新社長はトヨタの方を向いている人なのか、本当にダイハツに向き合ってくれそうな人なのか。従業員たちはそこを注視しながら、新社長との距離を測っていくでしょう。

しかし、ダイハツプロパーの新社長って線はなかったんですかね。あれだけ長期間トヨタからの天下り組に蹂躙されてきましたからねぇ。骨のある経営層や管理職層ってのはもういなくなってたかもしれません。

今回のトヨタによる記者会見、いつもどおり素晴らしい会見になってますが、こういうのを聞きながら日野や豊田自動織機、ダイハツと不正発覚が続いてきましたからね。新社長就任でダイハツが生まれ変われると思ってる人、どれくらいいるんでしょう。

株式会社テクノフレックス 連結子会社で不正(キックバック)が発覚

株式会社テクノフレックスは2/6、「特別調査委員会の設置及び 2023 年 12 月期決算発表の延期に関するお知らせ」を公表しました。同社連結子会社にて不正が発覚したとのこと。特別調査委員会を設置して調査を開始、決算発表も延期です。

株式会社テクノフレックス

株式会社テクノフレックスは金属加工技術を活用し、管継手(かんつぎて)と呼ばれる、配管同士の接続部分を製造する継手事業が中核です。アジアでの生産で価格競争力を強化し、管継手ではシェアトップ。この技術を応用して防災・工事事業など多角的に展開する東証スタンダード上場企業です。

不正の概要

同社連結子会社において、複数の相手に対し、複数年に渡って架空の取引代金を支払い、その一部を私的に受け取っていた可能性があることが判明したといいます。いわゆるキックバックのようですが、「だれが」の部分の主語がありません。従業員なのか、複数名なのか、役員だったりするのか、、、まったく分かりません。

さらに連結子会社についても社名は伏せられており、分からないことづくし。せめて発覚の端緒くらいは書いてほしかったですね。特別調査委員会でまずは調査してからということですかね。この開示を受け、テクノフレックス株は一時11%安まで売られました。

雇用調整助成金等の不正受給 水戸京成百貨店元社長を詐取容疑で逮捕

茨城県警は1/18、新型コロナウイルス対策の国の雇用調整助成金計約1億3,300万円を不正受給したとして、詐欺容疑で、水戸京成百貨店の元社長を逮捕しました。同社は昨年1月、当時の総務部長の指示で雇調金など計3億円余を不正受給していたと発表しています。

水戸京成百貨店

水戸京成百貨店は茨城県水戸市にある資本金5,000万円の百貨店です。名前の通り京成電鉄の子会社(発行済み株式の95%を保有)です。鉄道会社が運営する百貨店ということで、それなりのステイタスもあるはず。京成電鉄との関係を見ても、役員の兼務もあれば、資金援助もあります。

逮捕容疑

逮捕容疑は、社長として在職中、同社社員と共謀し、百貨店従業員約400人について2020年4〜5月の休業日数を水増しした虚偽の申請書を、同8月に茨城労働局に提出。同9月と10月に雇調金を同社名義の口座に振り込ませてだまし取った疑いだそうです。

水戸京成百貨店のホームページでは不正の発覚時、元社長の逮捕時、最低限の事実の公表がなされているんですが、京成電鉄はそうした開示を行ってない様子。もの凄い数の子会社持ってるのでいちいち対応できません、、ってことかもしれないけど。しかし、この事案、社長自身も京成電鉄出身者だし、顧客の信頼を失いかねないかなりマズい事件だと思うよ。

(追記)その後の報道によると、約1億3,300万円のうち、水増し分は約3,800万円だったみたい。

グンゼ株式会社 下水道使用料で不正が発覚

グンゼ株式会社は1/24、「温浴施設取水量過少申告に関するお知らせ」を公表しました。100%子会社であるグンゼ開発株式会社が運営する温浴施設において、取水量過少申告の事実が判明しました。これにより、下水道使用料も過少な金額を納付していたということのようです。

グンゼ株式会社

グンゼ株式会社は、インナーウエアやレッグウエアを製造・販売会社。主力ブランドに男性向けインナーウエアの「BODY WILD」や「快適工房」、ストッキングの「SABRINA」等があります。繊維以外の分野へも事業領域を拡大する東証プライム上場企業です。

不正の概要

不正の舞台となったのは、グンゼ開発株式会社が運営する「つかしん天然温泉 湯の華廊」です。当該施設の保守点検のために温泉水タンクの内部を確認した際に異常を発見し、配管状況を調査する目的で現場を掘削したところ、迂回配管が地中に埋設されていることを発見したといいます。

この迂回配管により取水量を過少に申告し、下水道使用料を偽ってきたということのようです。未払い期間は2004 年~2023 年。伊丹市や尼崎市に下水道使用料未納額として552 百万円を支払うことになったとのこと。

聞いたことのないような事案ですが、「迂回配管が地中に埋設されていた」ってのは明確に悪意ある行為ですよね。誰が指示してこんなことを?しっかり調査しないと。