日医工(4541) 業務停止命令?

日医工は2/25、「本日の一部報道について」を公表しました。「一部の業界紙において、富山県が当社に対して業務停止命令を出す方向で調整に入ったとの報道がありましたが、当社が発表したものではございません。」という、いつものパターンです。

度重なる製品の自主回収

同社はジェネリック医薬品(後発医薬品)を主力とし、シェアでは沢井製薬に次いで日本国内第2位です。医薬品の話題は専門的過ぎてこれまで記事にしたことはありませんでしたが、福井県あわら市の製薬会社、小林化工の爪水虫薬の事件があっただけに、、、。

睡眠導入剤成分が混入していた問題で、やはり自主回収から始まりました。これも、厚生労働省の承認を得ていない工程での製造が判明したということでしたが、死亡者まで出ましたからね。医薬品の製造過程における不正は影響大きすぎです。

富山県の日医工では、昨年だけで35医薬品の自主回収が相次いで発出されてました。その原因は、安定性モニタリングの純度試験、定量試験などで承認規格を満たしていなかったことや、承認書に記載のない製造工程を行っていたことが判明したため、だそうです。

今年に入っても、その他の医薬品で自主回収は続いていて、中には小林化工に製造や販売を委託しているものまで。同じ穴の狢でしたか。報道については否定しているものの、謝罪会見は時間の問題って感じですね。

報道の内容

報道というのは日刊薬業という業界紙のようで、その内容は、「日医工がGMP違反などに由来する後発医薬品の自主回収を繰り返した問題を受け、富山県と厚生労働省は医薬品医療機器等法に基づき、3月上旬に行政処分として同社へ業務停止命令を出す方向で調整に入った。」というもの。

「業務停止期間は1カ月前後を想定している。」とのこと。小林化工に次ぐジェネリック業界の不祥事。業界全体への影響もデカそう。

※ GMP:医薬品の製造管理及び品質管理の基準・・・だそうです。

フジオフードグループ本社 関連会社における不適切な会計処理(その2)

持分法適用関連会社「博多ふくいち」における不適切な会計処理を公表し、決算発表が危ぶまれたフジオフードグループ本社。博多ふくいちが債務超過だったとして、投資した金額と契約上の債務保証額5億円等を投資損失として営業外費用に計上しました。

持分法適用関連会社

当ブログで取り上げてきた会計不正等は、その多くが連結子会社で発生しています。親会社が50%以上出資している子会社ですね。当然親会社にしてみれば子会社管理の実効性が問われるため、親会社が主導して不正の実態を解明し、適切に処理。子会社の改善に向けた取り組みを管理していきます。

一方、今回の不正は持分法適用関連会社という位置付け。20%以上50%以下の議決権を保有しているという関係です。フジオフードグループ本社の直近の有価証券報告書で確認すると、同社は博多ふくいちの議決権の40%を所有しています。

まぁ、簡単に言うと連結子会社ほどに親会社の支配が及ぶわけではないので、持分法適用関連会社については、親会社の責任は問われないだろう。みたいな感覚があるのかもしれません。で、今回の不正はバッサリ切り落としてお終い。不正の実態も公表しないという感じに。

買いたたき?

しかし、40%の議決権を所有し、役員の兼務も行っていたようですし、上場企業としてそれなりに責任果たすべきではないかと、kuniは思うわけです。あるM&A関連サイトで、フジオフードグループ本社の役員がインタビューに答えてる内容も少し気になりました。

同社の資本業務提携で最も成功したのが博多ふくいちだと。40%の資本業務提携によって、モンドセレクション最高金賞13年連続の明太子を安い値段で仕入れることが可能となり、天婦羅「えびのや」で、それを食べ放題につけて大成功したんだそうです。

これって、同社の買いたたき行為で博多ふくいちを債務超過に追い込んだ、ってなふうにも見えてしまうのです。

フジオフードグループ本社 持分法適用関連会社における不適切な会計処理

株式会社フジオフードグループ本社は2/5、持分法適用関連会社における不適切な会計処理の疑いがあることを公表しました。併せて、2020年12月期の決算発表を延期することも発表しています。少々古くなってしまった情報ですが、ここらでチェックしておきます。

株式会社フジオフードグループ本社

同社はフジオフードシステムを中核子会社とする持ち株会社で、大阪市に本社を置く外食企業です。ホームページで確認すると、現在の同グループの店舗は現在840店舗。メインとなるのは「まいどおおきに食堂」だそうですが、kuniは一度も見たことも入ったこともありません。

メインブランドとしては他にも、「串家物語」、「つるまる」、「手作り居酒屋かっぽうぎ」などがあるようですが、これらについてもやっぱり見たことない。他にサブブランドとして20を超えるブランドがあり、この中に「博多ふくいち」という辛子明太子屋さんも入っています。

博多ふくいち

この辛子明太子の製造・販売を行っている博多ふくいちが、今回の不適切会計処理の舞台となりました。同社は2015年に資本・業務提携し、フジオフード社の持ち分法適用関連会社(35%出資:当時の投資金額は68百万円)になっています。

同社の対応と決算発表

2/5時点では、「当該会社における原材料の過大計上による不適切な会計処理」としか説明されていません。また、特別調査委員会等の設置についても触れてないですね。2/12に予定していた決算発表は、延期して2/19へと。

その期日が来て、再度延長となるかと思いきや、2/19、決算発表しましたね。どのような会計処理がされていたのかについては言及することなく、博多ふくいちは2019年9月末時点で債務超過になっていたと。

で、フジオフード社が投資した金額と契約上の債務保証額5億円等を投資損失として営業外費用に計上して、過年度決算を訂正しています。再発防止策も3行だけ。なんだこれ。

五洋インテックス 外部調査委員会の調査報告書を公表

同社元従業員が連結子会社である五洋亜細亜株式会社に対して3500万円を貸し付けたと主張していることを受け、外部調査委員会で調査を進めていた五洋インテックス。2/12、同委員会の調査報告書を公表しました。少し遅くなりましたが・・・。

従業員を解雇

前回の開示では、当該元従業員より、1/27付で五洋亜細亜に対する貸金等返還請求訴訟が提起されたことを公表していました。どうやらお金を貸したこの従業員、やはり解雇されていたようです。で、今回の調査は同社が債務を負うことになるのかどうか、が目的になっていたようです。

調査結果(報告書から引用)

代表取締役ないし実質的に会社代表者として振る舞うものが貸金契約書に会社の実印を押印して契約を締結した場合といえども、他の取締役、監査役や監査法人に秘して、会計帳簿にいっさい現れないように融資を受けることはできない。

そして、元従業員は本件貸付によって、前社長が自らの要求に従って、簿外口座を利用し、他の取締役、監査役や監査法人に秘して、会計帳簿にいっさい現れないという前提で本件契約書を準備したことを認識していたと認められる。

したがって、当委員会が調査の過程において収集した証拠関係に基づいて認定した事実を前提にすれば、元従業員の五洋亜細亜に対する貸金返還請求権の存在は認められず、本件貸付は存在しない。

要するに・・・

他の取締役や監査役、監査法人が同意等しておらず、簿外口座へ3500万円を送金しているため、五洋亜細亜株式会社としての債務はないという結論ですね。ということになると、この3500万円は前社長個人の債務という整理になるんでしょう。報告書はその辺りまでは踏み込んでいませんが、、、。

これにて五洋インテックスとしては予定通りの結論、一件落着。ということなんでしょうが、この元従業員さんは収まりませんわな。世の中も納得しないんじゃないかな。

曙ブレーキ工業 検査不正(その2)

検査不正の内容自体は2016年~2018年あたりで流行った他社の検査不正と似たレベルですが、なぜここまで公表しなかったのか。。。の考察、その2です。

検査不正発覚時

2019年11月に不正行為の第一報が代表取締役に入れられています。実はその1年前にも旧経営陣にその情報は伝わっていましたが、不正行為は放置されていたそうです。

曙ブレーキは2019年9月、私的整理の一種である事業再生ADRの再建計画が銀行団に承認され、経営再建に取り組み始めました。外部から招聘した新社長が10月に就任したところ、その翌月に新社長の耳に不正の話が飛び込んだということですね。

旧経営陣が放置してきた不正行為です。まさに新社長が最初に取り組む課題として世間に公表し、正面から取り組むべきでした。残念ながら、新体制スタートから不正の公表など出来ない。銀行団に何と言われるか、、、。てな具合で思い切れなかったんでしょうね。

ディスクロージャーポリシー

「当社では、会社説明会での発表内容等、適時開示規則に該当しない情報についても、投資家の需要に応えるべく、できるだけ積極的かつ的確に開示する方針を持っております。」

これは同社が掲げるディスクロージャーポリシーの中で紹介されているディスクロージャーの基準に関する一節です。他にも良いことたくさん書いてます。規則に該当しなくとも幅広に情報を開示するということですが、今回の不正行為に関してはそうなっていませんよね。

監督する国土交通省、経済産業省、株式を上場する東京証券取引所は、今回の曙ブレーキの開示の姿勢、どう評価しているんでしょうか。あっ、そうそう、証券取引等監視委員会も。