東亜石油株式会社 製品試験に関する不適切行為 調査委員会を設置

東亜石油は5/6、「当社 京浜製油所における製品試験に関する不適切行為について」 を公表しました。親会社である出光興産も同日の同じ17時に、「当社子会社における製品試験に関する不適切行為についてのお知らせ」を公表しています。

東亜石油

東亜石油は、出光興産グループの石油精製会社です。受入れた原油を、ガソリン、灯油、軽油、重質油などに精製し、グループの東日本地区に供給する役割を担っています。高い重質油分解装置能力が強みだそうです。2005年に出光興産の子会社となった、東証スタンダード市場上場企業です。

行為の概要

最近毎月のように発覚している認証不正と同様ですね。①定められた測定頻度又は試験方法を遵守していない。②実際には測定していないにも関わらず、試験成績表に記載している。といった不正が行われていました。

対象となる製品は
・1号ガソリン・2号ガソリン・3号軽油・ノルマルヘキサン・ノルマルへプタン
・ベンゼン・プロピレン・ブタン・ライトサイクルオイル
・溶剤(3 品目) の12品目と説明されています。

例によってですが、出荷した対象となる製品の品質については、様々な関連項目において品質を全て確認し、安全上問題ないことを確認できているとのこと。安全性の問題なしとのことですが、性能面の問題はどうなんでしょうね。いつからいつまで生産された製品がその対象なのか、についても言及されていません。

同社は本件を重大に受け止め、外部有識者を含む調査委員会を設置し、事実関係の調査と原因究明に全力を挙げていくとしています。調査結果を待ちましょう。しかし、日本の歴史のある企業における製品検査に関する不正、止まりませんね。

知床半島沖の観光船沈没事故にみるリスク管理

北海道・知床半島沖で観光船沈没事故が起きてしまいました。現時点で14人が死亡、12人が行方不明となった海難事故。今さら多くの説明は不要と思われます。この事故から見えてくるリスク管理の問題は、昨今の企業の不祥事にも関連する要因がたくさんありそうな気がします。

コスト削減とリスク管理

まず最初に、運航会社が直前に多くの熟練従業員を解雇していたという話。コロナの影響で事業が振るわず、コスト削減のため、運航に必要な様々な場面で、多くの経験やスキルを持った従業員が解雇されていたということです。

通常通り運営されている組織というのは、一定の人員さえ確保していれば問題なく運営されるものです。ただし、そこへ通常とは異なる状況が発生した際に、頼りになるのは長年にわたり業務を見てきた熟練従業員の経験やスキルなわけです。

いざという場面に備えた(平時は不要かもしれない)装備。このような状況では出航させるべきではないという判断。航海中の異常に対する最善の対応。どれをとっても熟練従業員の知見と、トップに対する進言などがあれば、このような事態は避けられていたと思われます。

企業経営でも同じ

こんなふうに考えていくと、システム障害を繰り返して社会的な批判を浴び続けた銀行と、非常によく似た構図が生まれていたことが分かります。観光船の運航もシステムの運用も、経営が考えるより多くのコストがかかるもの。しかし、そのコストに見える部分は将来のリスク回避の保険でもあるわけですね。

システム障害に限った話ではありません。当ブログで取り上げる企業の不祥事の数々。コスト削減のために従業員を切り捨ててきたことが、事故や不祥事の原因となった事例はいくらでもあります。企業の経営陣には「他人事ではない事故」としてとらえる必要がありそうです。

ルーデン・ホールディングス株式会社 外部調査委員会を設置

ルーデン・ホールディングスは5/2、「外部調査委員会設置に関するお知らせ」を公表しました。同社子会社が行った初ICO時に調達したと認識していた BTC(ビットコイン) が手元に確認できず、また、BTC の調達方法は、投資家からの借入(消費貸借)だったことが判明したため、外部調査委員会を設置して事実関係を調査することに。

ルーデン・ホールディングス

ルーデン・ホールディングスは、住宅の壁・天井に抗菌性の高いコーティングを施すサービスと、ビルやマンションの管理・メンテナンスを中心に不動産開発などの事業を展開していた企業。もともとの事業が悪化し、あれやこれやと事業を多角化しています。東証グロース市場上場企業です。

事案の概要

子会社のRuden Singapore が ICO における新規発行トークン「ルーデンコイン」の販売により US$400,000 をその対価として取得すると共に、1,700 BITCOINを調達した。はずだったのに、その調達したはずのBITCOINが行方不明。調べてみたらBITCOINは借りてきたもので、既に返却済みになっていたとのこと。

なんじゃ、こりゃ。って事案です。で、この調達に関与していた同社の元取締役(他に事情を知っている人がいないとか)が、難病により契約の詳細等を聞くことが出来ず、調査が難航。外部調査委員会を設置することになったということのようです。

まぁ、どこまでが本当なのかもよく分かりませんが、美味しいファイナンスを実施したけど、調達したはずの金がドロンしちゃって、事情を知る元取締役が難病で入院。結末はだいたい想像できますね。この会社、株主無視とも取れる資本政策を繰り返して来たようですね。この先、相当ヤバいことになりそうです。ちなみに、同社の株価はわずか124円です。

吉野家ホールディングス 常務取締役を解任(その2)

吉野家ホールディングスは常務取締役解任の公表後、代表取締役社長の役員報酬減額を公表しました。固定報酬 30%を3カ月間減額するという内容です。その後も吉野家に関しては様々な方がいろいろな意見を発信されてますね。まだまだ炎上は続きそうな気配です。

生娘をシャブ漬け戦略

男に高い飯を奢って貰えるようになれば、牛丼なんて絶対に食べないから、田舎から出てきた右も左も分からない若い女の子を無垢・生娘な内に牛丼中毒にする。という意味のようですが、自社の看板商品をそんなふうに見ていたんですかね。

高級フレンチにも牛丼にも同様に魅力はあると思うのですが。自社の商品をそんなふうに見てきたからこそ、吉野家は過去に一度倒産しています。安さがウリと言わんばかりに商品の質を下げてしまったから。今回も同じカルチャーが起こした事件ですよね。

男性でも一緒

今回は女性蔑視という意味で炎上した面もあるようですが、彼らのカルチャーは女性にとどまらないみたい。当の吉野家の元常務は、男に対しても「家に居場所のない奴が来る」とか言ってたそうな。男性、女性に関係なく、自社の商品を貧乏人や世間知らずの人間に食わせる商品のように考えてきたようです。

このカルチャーが変わらない限り、この会社の再生は難しそうです。こんな状況でお店で働いている人たちはどう感じてることでしょう。吉野家で働けている人たちは、すぐにでもすき家や松屋で働けそうだし、従業員やバイトの人達の離散も増えそうです。

これ、マジで2回目の倒産とかあるかもしれない。などと感じている次第ですが、同社株価の方は意外に落ち着いています。

吉野家ホールディングス 不適切発言の常務取締役を解任

吉野家HDは4/19、「当社役員の解任に関するお知らせ」を公表しました。株式会社吉野家常務取締役の伊東氏が、外部の講座で不適切な発言をしたとして、公式サイトに謝罪文を掲載していた件。その当日に解任を決定しました。

不適切発言

外部の社会人向け講座に登壇した際に言ったとされる、若い女性を対象にしたマーケティング手法を、「生娘をシャブ漬けにする戦略」などという表現。いやぁ、なんともビックリ発言でしたね。「生娘」も「シャブ漬け」も一般的な社会人が使う言葉じゃないですよね。

ましてやそれを社会人向けの講座(講義料はかなりお高いみたい)で壇上から発するとは。これを聞いた人たちはみんなそれこそ、「この人カタギの人じゃないんじゃないの」なんて感じたことでしょう。いやこの役員だけでなく、会社そのものにもそういう目が向けられたかも。

解任

そんな状況だったはずで、当日に臨時取締役会を開催して解任を決議。翌日のお昼になりましたが解任したことを公表。この対処は企業としては正解だったと思います。役員報酬の減額や降格辺りで済ませたりしたら、メチャ会社叩かれるだろうなと思ってました。

しかし、当の取締役を解任したからといって、上場企業として今後の吉野家が世間から認めてもらえたかどうかはビミョーですね。女性の目線からはもっと見え方は悪いはずです。彼ら自身も「人権やジェンダー問題」という言葉を使っていましたが、これらにどう本気で向き合っていくのか。世の中の評価が決まっていくのはここからですよ、吉野家さん。