ホンダ 販売店で不正車検 ホンダカーズ東京中央

日本経済新聞は5/31、「ホンダ販売店で不正車検 国交省が1店舗の指定取り消し」と報じました。国土交通省関東運輸局が、車検業務で不正行為をしていたとして、ホンダ販売店であるホンダカーズ東京中央(東京・世田谷)の1店舗について指定自動車整備事業の指定を取り消したということです。

不正車検

車検業務をめぐっては、トヨタ自動車が昨年9月、系列の販売会社計15社16店で不正があったことが発覚しました。対象となる台数は6659台。国交省は、不正が発覚したトヨタモビリティ東京(東京・港)の販売店「レクサス高輪」について、7月に指定自動車整備事業を取り消す処分をしていました。

トヨタがやってりゃ他の会社でも・・・、などと感じたものでしたが、やはりホンダでも出てきました。トヨタの時も最初は一つの販社で見付かり、他社への調査(横展開)でヅルヅルと同様の不正が発覚したんでしたね。ってことで、ホンダにおける不正車検についてもこの後拡がっていくんでしょうか。

不正の概要

2020年8月~21年12月に不正行為があったといいます。不正の概要は、車が直進するかどうかを確かめるための検査では装置を正しく使用せず、あらかじめ車が横ずれしないように操作していたとのこと。またブレーキなどの検査では必要な点検や整備を実施していませんでした。操舵性と制動力、これって車の一番大事なところでしょうに。

ホンダはホンダカーズ東京中央の従業員からの申告を受けて、内部調査を実施したということです。内部通報ということのようですね。1月に不正の事実が認められたため、ホンダカーズ東京中央が国交省に報告し、今回の行政処分に至りました。

他の販売店についても総点検を実施しているみたいで、現時点では新たな不正は見つかっていないということですが、、、。6/2にはN-BOXなど軽8車種、21万台でリコール届出、なんてニュースも。

グレイステクノロジー 不正会計で上場廃止 株主が集団訴訟を提訴

日本経済新聞は6/2、「不正会計で上場廃止のグレイス社、株主176人が提訴 5億4000万円賠償求め」と報じました。当ブログでも何度も取り上げてきた不正会計でしたが、同社は今年2月末で上場廃止となりました。そしてとうとう最終段階に入っていきます。

おさらい

グレイステクノロジーは製品のマニュアル作成を手掛ける企業。東証1部に上場していた2021年11月、不適切な会計処理の疑いがあると公表し、そこから株価は大幅に下落しました。22年1月には売上高の架空計上などの不正会計も発表し、四半期報告書を期限までに提出できず、上場廃止となりました。

集団訴訟

集団証券訴訟を提起したのは山崎・丸の内法律事務所というところ。裁判所は東京地方裁判所です。原告:176名、訴額:539,170,387円、被告:グレイステクノロジーおよび同社の元役員等。ということです。グレイステクノロジーの不正会計により株価下落の損失を被った複数の株主を代理して、同社に対して、損害賠償請求訴訟を提起したということですね。

同事務所によると、原告人数については、2012年以降に提起された日本における証券訴訟の中で最大となるとのこと。さらに同事務所では、グレイステクノロジーに対する第2次訴訟の提起も検討しているということですから、原告の数はまだまだ増えるんでしょう。

山崎・丸の内法律事務所ホームページで第2次訴訟の案内が出ていますので、グレイステクノロジー株を2021年11月9日時点で保有されていた株主の方はアクセスしてみてください。

ちなみに、この山崎・丸の内法律事務所さん、5/13付で、「Edulab社に対する証券訴訟の募集開始」ってのも公表されています。こちらも同じく不正会計よる株価下落について、株主の損失回復のための証券訴訟です。

元気寿司 不適切な支出で特別調査委員会を設置

元気寿司は5/27、「特別調査委員会の設置に関するお知らせ」を公表しました。同社の新店舗の建設工事に関連して、不適切な支出が行われていた可能性があることが判明したということです。公正で適正な調査を行うため、外部の有識者で構成する特別調査委員会を設置しました。

元気寿司

元気寿司は国内外で展開する寿司レストランチェーン。「元気寿司」、「魚べい」、「千両」といったブランドで、国内は165店舗、海外は192店舗(2021年3月末)を出店しています。要するに全国展開する回転寿司チェーンなわけですが、餃子の街宇都宮が発祥だそうです。

業界最大手はスシロー。次いでくら寿司、3位がかっぱ寿司で、第4位が元気寿司だそうです。ちょっと上位3社には水をあけられてますね。4位から6位までが団子状態。業界シェアはそんな感じです。

不適切な支出

今回の開示では冒頭書いたように、「新店舗の建設工事に関連して、不適切な支出が行われていた可能性があることが判明」としか説明されていません。会計監査人から、本事案の事実関係の更なる調査、本事案に類似する事象の存否などについて、実態把握をする必要がある旨指摘されたため、特別調査委員会を設置したということです。

地元の新聞報道によると、問題が発覚したのは5/10の内部通報によるものだそうです。5/15には同社を担当する監査法人にも情報提供があったそう。監査法人はトーマツですから対応はしっかりしています。不正が発覚したのは事実ですが、内部通報など(ヘルプライン)は機能していたということですね。

今のところ見えてきてるのは以上です。調査委員会の調査結果を待ちましょう。ちなみにこの元気寿司の社長、法師人 尚史さんという珍しいお名前。「ほうしと たかし」さんと読むんですと。

三菱電機 増え続ける品質不正

三菱電機は5/25、「当社における品質不適切行為に関する調査結果について(第3報)」および「当社における品質不適切行為に関する原因究明及び再発防止等について(第3報)」を公表しました。昨年7月に設置された調査委員会による3回目となる中間調査結果報告です。

調査委員会

いやぁ、もうこれまで何度取り上げてきたんでしょう。2021年6月に長崎製作所で鉄道車両向け機器の検査不正が判明し、調査委員会が調査を進めてきました。調査委員会は、同委員会に寄せられた品質に関わる問題の申告等を基に抽出した要調査事項 2,303件のうち、約8割に当たる 1,933件の調査を終了したということです。

なので、現時点でも、約2割に相当する370件に関してはこれから調査ということになります。今年秋まで調査を継続するらしいです。っていうか、ここでいう「要調査事項」というのが、そもそもすべてを網羅できていない可能性もありますけどね。

結果の概要

報告書では新たに15製作所(工場)で101件の不正行為が明らかになりました。納期やコストを守るため、顧客との契約や規格などを軽視して不正行為に手を染めるケースが目立ったといいます。多くは現場担当者レベルにとどまっていましたが、管理職が関与しているケースもあったということです。

長い歴史を持ち、主力事業の一つである社会システム本部など、インフラ向けの製品を手がける部署が多くを占めたということですが、中には5G関連事業で電波法違反なんてのも出てきているそうです。納期やコストを守るため、製品の品質が犠牲になる。こうしたケースでは同時に従業員も壊れていってるはずです。品質不正の調査はまだまだ続きます。

東亜石油株式会社 検査不正は出光興産の別子会社でも同様に

出光興産は5/20、「昭和四日市石油株式会社における製品試験に関する不適切行為についてのお知らせ」を公表しました。今月上旬に東亜石油での検査不正が発覚したばかりの出光興産でしたが、別の子会社でも同様に検査不正が行われていました。

出光興産

先日は東亜石油を中心に書きましたが、今日は親会社の出光興産を中心に書きます。出光興産は大手石油元売りの一角です。石油製品・石油化学製品を精製販売しているほか、原油・石炭生産なども手掛けています。2019年に昭和シェル石油と経営統合してできた東証プライム市場上場企業です。

昭和四日市石油株式会社

昭和四日市石油は未上場企業で、出光興産が75%の株式を保有する出光興産の連結子会社です。資本金は40億円で、従業員580名の会社ですね。出光興産が輸入した原油を受託精製し、石油製造及び石油化学の原料を安定供給することを目的とする会社だそうです。

同社のホームページでは、「安全を優先し、環境に優しい製品づくりを行っています」などと書かれていますが、いきなり怪しくなってきますね。さらに、同社が掲げる企業倫理には、「事業のあらゆる面において誠実と公正を本旨として行動する」とも書かれてます。

出光興産の問題

行われていた不正、基本的に東亜石油と同じ感じですね。「規定の試験方法を遵守していない」、「実際には測定していないにも関わらず、試験成績表に記載している」といった不正の類型が示されています。いつ頃から不正行われていたのか、などの詳細については今のところ開示されていません。

東亜石油に続いて昭和四日市石油。出光興産としての子会社管理が本格的に問われることになりそうです。