旅工房 解決したはずの Go To トラベル事業給付金の不正受給が

旅工房は1/11、「2022年3月2日に受領した Go To トラベル事業給付金の受給申請に関する調査報告書の調査結果に関する一部再検証に係る検証委員会設置のお知らせ」を公表しました。なんと、解決したはずの不正受給。またケチが付いたようで。

おさらい

Go To トラベル事業給付金の受給を申請していた取引の一部に、宿泊等の実態がないなどの理由で、給付金の受給対象とならない取引が多数見つかったという事件でしたね。返還を求められる可能性のある地域共通クーポンの総額は、9,362 万円と公表されていました。

ちなみに同社の不正事案はこれが初めてではなく、2020年には法人営業部門の従業員による3億円を超える売り上げの架空計上等(本人が利得していたのは約3,900万円とされていました)が発覚しています。

その後、コロナの影響やこれらの不正を受け同社はボロボロの状態。債務超過に陥り、昨年は希望退職者を募集するような状況に追い込まれています。

そして今回は

外部機関より、「前回調査結果のうち一部の事項について、前回調査の対象となった取引のうち売上計上に関する事実関係(資金循環の有無やその内容、当社の役員の関与又は認識等)より深度のある調査をすべき」との指摘がなされたといいます。ちょっと日本語おかしいんですが、原文のままです。

「売上計上に関する事実関係」、「資金循環」、「役員の関与」など、かなり物騒な言葉が並び、開示文章もいかにもバタバタでこしらえた感じ。またまた新たなる不正が出てきたりすると、マジで止めを刺されるかもしれません。

SMBC日興証券 罰金10億円求刑

SMBC日興証券の相場操縦事件に関して、12/26、東京地裁で金融商品取引法違反(相場操縦)罪に問われた法人としての同社と、元執行役員の杉野輝也被告(57)の論告求刑公判が行われました。「ブロックオファー取引」で株価操作していたという事案でしたね。

罰金10億円求刑

検察側は「高度で専門的な知識を悪用し、市場をほしいままに操作した。類を見ないほど悪質だ」、として同社に罰金10億円、追徴金約44億4,090万円、杉野被告に懲役1年6月をそれぞれ求刑しました。

検察側はさらに論告で、法人としての同社について、社内のコンプライアンス部門が「複数回の取引を明白な犯罪行為と認識していたが、是正措置を講じなかった」と指摘。「監視・審査機能が形骸化し不全な状態にあり、監督過失の程度は重大だ」としています。

対してSMBC日興は

法人を代表して出廷した近藤雄一郎社長は最終意見陳述で、「今後、二度とこのようなことを起こさないと誓い、再発防止策・改善策を着実に実行し、信頼回復に全力で努める」と述べたそうです。いやぁ、このセリフ何回聞きましたっけ。このところほぼ毎年聞いてるような気がするんだけど。

ホントに懲りない会社です。証券会社はみな昔はこういう感じだったけど、各社ともに着実に良い方向に変わってきてますよ。この会社だけは断トツで何も変わっていないし、これからも変わりそうな気がしません。

関西電力 調査結果(その2)

昨日に続き関西電力のお話です。施工管理技士の資格を合計180名が不正に取得していた(既に退職している者では17名)という件。すべての資格取得者4,000名ほどのうち180名ですから、同じ不正を行っていた他社との比較で、それほど突出した数字ではないんですが・・・。

開示の姿勢

昨日も書いたように、調査結果の公表時に同社は、「施工管理技術検定の実務経験要件の不備」と表現していました。「不正」を「不適切」と言い換えることで、少しでも世間の批判をかわそうとする姑息な手段。kuniとしては違和感しかなく、他社の事例で以前からよく指摘してきました。

それと一緒で、今回の関西電力は、「不正」を「不備」と言い換えています。国家資格が要求する実務経験年数に対して、不足していたり、まったくなかったりしているのに、受験の申込書類には「あり(満たしている)」と書いて申請して受験し、資格を取得する。

この行為を指して「不備」と言ってるわけです。これって正しい日本語なんでしょうか。自社が起こした事件(不正)の重大性をあきらかに矮小化しようとしてますよね。本当は重大な事なのに、責任逃れや世間の人たちの関心をそらすために、あえて小さなこととして扱おうという意図を感じます。

もうこの時点で、この事件を重大な事案として取り上げ、二度とこのようなことが起きないように、自社のカルチャーから改革いていくという勢いを失ってしまっているような気がします。社会に対してこういう姿勢を取りつつ、社内的には徹底して変革を行う、なんてのは無理なんですよ。特に会社組織では。

関西電力 施工管理技士の不正取得 調査結果

関西電力は12/20、「施工管理技術検定の実務経験要件の不備に関する調査結果について」を公表しました。昨年7月に公表した、グループ会社内で国家資格である施工管理技士資格を不正取得していた件。これに関する第三者委員会による調査結果です。1年半に及ぶ調査期間となりました。

おさらい

施工管理技士の不正取得。そのほとんどが、必要とされる実務経験を虚偽申告して合格してしまうというものでした。2020年から2021年の間に、大和ハウス、東レ子会社の水道機工、西武ホールディングス、パナソニックなどで次々と発覚しました。

これらの企業が2021年中に調査結果を開示し、再発防止に取り組んだわけですが、関西電力は2022年の暮れも押し詰まってからの調査結果公表となってしまいました。高浜原子力発電所に絡む金品授受問題や、電力料金の過大請求事件など、相次ぐ不正に振り回されてしまっていたから、、、ってことでしょうかね。

調査結果の概要

調査の結果、関西電力本体で32名、ほかグループ会社10社を含めると合計180名の不正取得が見つかったということです。既に退職していた社員でも17名が不正取得しています。例によってこれらの不正取得者が管理していた案件でも、施工の品質に問題は無かったとしています。

先日も書いたように、足もとで同社では電力カルテルを主導したことが発覚(課徴金は減免されましたが)しています。もうここ数年、過去の不正に振り回されている同社。そろそろまともに本業に取り組んでもらいたいものです。

電力カルテル 電力各社に課徴金案 関西電力は課徴金なし

以前当ブログでも取り上げました。企業向けの電力供給を巡り、大手電力3社に独占禁止法違反(不当な取引制限)を認定し、課徴金を科すというお話。合計約1000億円の課徴金案が各社に通知されたようです。関西電力が課徴金を免除されたという話が話題になっているよう。

カルテル

そもそもこのカルテル、「お互いに(テリトリーを)荒らさずやりましょう」と声掛けしたのが関西電力の役員だったようです。中国電、中部電力、九州電力の3社がこれに呼応する形でカルテルが始まっています。なので、一番悪いのは関西電力だったんじゃないの?ということですね。

ところが課徴金については、中国電力が707億円、中部電力が275億円で、九州電力が27億円となっていて、関西電力に関してはお咎めなし。いわゆるリーニエンシー(違反を自主申告し、当局の捜査に協力することで課徴金の減免を受けられる)のおかげです。

各電力会社は気に入らないでしょうね。そもそもカルテルを持ち掛けてきたのが関西電力で、本来なら一社で1,000億円以上の課徴金のはずだったのに無罪放免。代わりに自分たちが高額の課徴金です。気持ちはよく分かりますが、、、これがリーニエンシー制度ですからね。

必要な状況判断

当局から調査依頼が来た時点で、あのときのあの取り決めは法的に問題なかったのか。問題があると判断したなら、今すぐとれる最善の方法は何なのか。この状況判断が早かった企業が難を逃れるわけです。これがルールであって、ルールを熟知し、過去のルール適用実態等をもとにどう判断するか。

関西電力はそれができたということですね。原発汚職の問題等もあり、襟を正さねばという状況だっただけに、不正に対する感度が高かったからということかもしれません。