東光高岳 検査不正が発覚 三菱電機も?

株式会社東光高岳は8/27、「品質管理に係る不適切事案についてのお知らせ」を公表しました。キュービクル形ガス絶縁開閉装置およびガス絶縁開閉装置において、規格と異なる要領で試験を実施し、試験成績書へ不適切な記載を行っていたということです。

東光高岳

株式会社東光高岳は、電力流通システムを一貫してカバーする製品とサービスを提供する企業。電力網が集中する関東地方の電力インフラの大半を支える、東京電力ホールディングスの持分法適用関連会社です。

2012年、高岳製作所(1918年設立)と東光電気(1928年設立)が一緒になって誕生した会社ですね。実はkuniの知り合いが同社のボードメンバーでもあるので、ちょっとショックなニュースでした。

不正の概要

同社小山事業所で製造するキュービクル形ガス絶縁開閉装置(C-GIS)およびガス絶縁開閉装置(GIS)において、準拠規格であるJEC規格に基づく受入試験(お客様への出荷に際して行う試験)の一つである部分放電試験について、規格と異なる要領で実施し、試験成績書へ不適切な記載を行っていたことが8月23日に判明しました。

ん~、専門的過ぎて何のことやらさっぱり分かりませんな。まぁ、とにかく決められた手順での検査を怠っていたことは事実のようです。ちなみにこの製品の検査不正、どこかで見たような気がしてたんですが・・・。

ありました、8/17付け三菱電機の開示。「当社 72/84kV キュービクル形ガス絶縁開閉装置の不適切検査に関する件」です。三菱電機の件が報道されたことにより、同種の製品を製造する東光高岳でも不正が見つかったということかもしれませんね。

他社の事例に基づき自社内を点検、不正が発覚、、、ということであれば、同社のガバナンスは一定の実効性を維持していたということかもしれません。

建設技術研究所 従業員の不正行為 調査報告書を公表

建設技術研究所における従業員の不正行為。特別調査委員会の調査報告書が8/12、公表されていました。kuniが見事に見逃しておりました。すみません。「特別調査委員会調査報告書の受領と当社の対応について」という開示です。

不正の概要

同社社員が同社の外注システムを利用して架空発注を行い、自らが実質的に経営する会社に還流させ、当該会社から当社に転籍した者への給与補填と当該会社の運転資金等に充当していたもので、その架空発注金額は36件、128百万円だったそうです。

この社員をXとすると、Xは自身の父親を代表者とする派遣会社A社を設立。設立の目的は、建設技術研究所で働く派遣社員たちの処遇を改善するためだったようです。彼らをA社に移したものの、派遣業の許可が取れなかったため、結果的に建設技術研究所の契約社員やアルバイトとして転籍させています。

で、彼らの処遇を改善するために架空発注で資金を確保。当該資金が彼らの給与補填に使用されていたとのこと。なにこれ?従業員X氏は不正に手に入れた資金を同僚の給与補填に使っており、なんだか人助けになっているように、、、報告書では書いています。

関与した人物

なんとも驚きの展開になっていますが、驚かされることがもう一つ。従業員Xの上司である技術部次長と技術部部長が、不正な外注が上記補填の原資になっていることを承知で認めていたということです。途中から認めないとしたようですが、その後の不正外注の内容を積極的に確認しようともしていません。

他の業者からきて、建設技術研究所に常駐で働く同僚たちの処遇が酷過ぎて、これを改善しようとX、次長、部長が行った不正行為ですかぁ。まったくもって予想できなかった展開となりました。しかし、これはこれで同社の根深い問題を晒してしまうことになりましたね。

エフオン(9514) 売電価格の不正操作?(その2)

売電価格の不正操作が報道されたエフオン。昨日書ききれなかった点をいくつか追記しておきます。なんだかこの会社、上場企業らしくないというか、ホームページとかを覗いてみても、あちらこちらに違和感を感じるんですよね。

同社の沿革

エフオンは1997年設立で、2005年には東証マザーズに上場を果たしています。2016年には東証一部へ指定替え。大株主は発行済み株式の32%を保有する日本テクノという会社です。同社は取引先としても大手のようです。

社長の略歴

まず最初に違和感を覚えたのが社長の略歴です。2005年にエフオンに入社されているんですが、その前が「三菱証券株式会社 部長代理」となっています。皆さんの会社でもそうだと思いますが、部長代理って名刺上の肩書きで、部に何人かいらっしゃるような感じですよね。マネジメントをする役割ではないケースがほとんどだと思います。

で、2005年に入社されて、2006年には取締役。2008年には代表取締役社長に就任されています。もの凄い出世ですね。証券会社時代の上得意のお客さんに引き抜かれたって感じでしょうか。証券界ではよくあるパターンですが。

その他の役員

次に違和感があったのが、同社ホームページでは役員が一切紹介されていないこと。普通は取締役と監査役までは少なくとも略歴付きで紹介されてるものですが、、、ここはなぜか。実際には社長以下取締役が8名(社外取3名含む)、監査役が3名いらっしゃいます。

内部通報者は

メディアに対する内部告発がきっかけで騒ぎになったようですが、その前に同社内での内部通報もあったようです。社外に情報が拡散してしまった今、通報者はどうなっているんでしょうかね。そのあたりも気になるところです。

エフオン(9514) 売電価格の不正操作?

エフオンは8/16、「一部報道について」を公表しました。同社が「バイオマス発電所の売電価格の決定に関して、外部の検査機関に提出する燃料のサンプルを改ざんし、売電価格を不正につり上げていた」などという報道は事実と異なり、同社が発表したものではないという内容です。

エフオン(EF-ONと書いてエフオンと読むらしい)

エフオンは木質バイオマス(廃材等を選別・破砕した木質チップ)をエネルギー源とした発電所の開発、建設および運営などを行うグリーンエナジー事業と、企業等の顧客設備の省エネルギー支援サービス事業を展開する東証一部上場企業です。

事の始まりはNHKのクローズアップ現代

NHKの番組「クローズアップ現代」において、売電価格の不正操作を複数の社員が内部告発したと放送されたのが事の始まりのよう。この時は社名は伏せられていたんですが、後に別のメディアの取材により、エフオンであることが分かった、、、という展開に。

同社の開示によれば、この件に関しては既に昨年7月に調査委員会を設置して調査済みであり、10月には報道されたような不正の事実は認められなかったという結果だったとしています。ただし、この調査委員会の設置や結果の報告等は、当時まったく開示されておらず、その信憑性については何とも。

8/16の開示はざっとこんなところなんですが、同社のホームページを見ると、8/14にも別の「一部報道について」が掲載されていて、こちらの内容は少々物騒な内容になっています。

「意図的に当社への誹謗中傷行為や攻撃的行為を繰り返すものに対して、当社は毅然として法的措置への対処や司法当局への相談を検討しております。」という記述が、8/16の開示では削除されてますね。

これまでの報道等を見ている限り、非常に違和感のある表現ですし、誰に対する威嚇なのか、と考えさせられてしまいます。かなり裏の事情があるのかも。

ラサ商事 社内調査委員会の調査報告書

連結子会社である旭テック株式会社の従業員が不適切な会計処理を行っていたラサ商事は8/17、「社内調査委員会の調査報告書受領に関するお知らせ」を公表しました。4/9に委員会を設置して調査を開始しましたので、約4か月にわたる調査となりました。

調査結果の概要

同社連結子会社である旭テック株式会社の従業員が、自らの担当する特定の取引先との取引において、赤字工事の発覚を免れるために、工事番号を付け替えることにより売上及び売上原価を先送りするなど、不適切な会計処理をしていたというものです。

この不正行為、2008年から今年3月まで行われていたとのこと。同社が旭テックを子会社化する旨決定したのが2014年12月ですから、その前から行われていたということですね。

当該従業員が今年3月に突然消え、行方不明になっていましたよね。調査の結果、この従業員が一人で行った不正会計という結論でした。類似案件も1件見つかったようですが、これはそれほど大きなものではないようです。

発生原因

例によって業務の属人化や会計基準遵守の不徹底などがあげられていますが、最も大きな要因は「過度に業績と連動させた年俸制とノルマ達成の厳格化」だと思われます。

ノルマを達成した場合には、前年度の基本給から昇給するとともに粗利の3割が賞与となる一方、ノルマ未達の場合には、次年度の基本給が減額され、さらに、ノルマとの差額の3割を負債として負わせるという、極めて特殊な業績連動型の給与制度を採用していたそうです。

ラサ商事が子会社化した際に、この「3割」を「1割」に改定したそうですが、ノルマ未達で基本給が減額されるとかないでしょ。従業員は目標必達という非常に強いプレッシャーにさらされ、手段を選ばず目標を達成しようとする。恐怖経営の成れの果てですね。