NTP名古屋トヨペット 車の架空取引で元従業員が逮捕

NTP名古屋トヨペットは8/20、「当社 元従業員の詐欺容疑での逮捕について」を公表しました。元従業員は、付き合いのあった自動車販売会社社長に、架空の取引を持ちかけ現金をだまし取った可能性があるとして詐欺の容疑にて逮捕されました。

NTP名古屋トヨペット

NTP名古屋トヨペットは、愛知県を主な販売エリアとする、トヨタ自動車の正規ディーラーです。2020年からはトヨタ車全車種を取り扱っています。同社は上場企業ではありませんが、トヨタグループということで取り上げました。

不正の概要

当該元従業員(当時は課長)は、業者やその代表者個人に対して、取引に介在することで利益が得られるとして、実体のない取引について送金額や送金先を提案するなどして業者間の金銭の振込行為に関わっていたといいます。

名古屋市緑区にある自動車販売会社に対し、自動車売買の仲介を持ちかけ、車の仕入れ代金を立て替えれば約1割上乗せした額が口座に振り込まれるなどとうそを言って、約9900万円をだまし取ったというのが逮捕容疑。

このような手口で約2年間で十数社と約500回の架空取引を繰り返し、これらの取引による被害総額は14億5千万円になるということです。容疑者はだまし取った金の一部を自身の口座に振り込み、正規営業で出した損失を補てんするなどしていたとみられるとのこと。この動機、考えようによってはかなり怖い。

川崎重工業 今度は船舶用エンジンで検査データ改ざん

川崎重工は8/21、「舶用エンジンにおける検査不正について」を公表しました。またまた川崎重工です。先日、「不正のデパート化」という表現でこの会社の状況を書きましたが、間髪入れずに今度は、船舶用エンジンの検査でデータを書き換える不正が出てきました。

船舶用エンジンの検査不正

船舶用エンジンの検査不正は、今年4月に IHI 連結子会社のIHI原動機で燃料消費率の測定データを改ざんしていたという事案が発覚。続いて7月には日立造船子会社でも同様に、船舶用エンジンの燃費データ改ざんという事案が発生していました。

これを受け、国土交通省は船舶用エンジンを対象とした「NOx 放出量確認試験における不正行為の有無等に係る実態調査」という要請を行いました。その要請を受けた調査で、川重でもNOx 放出量確認試験を含む工場試運転における検査不正が確認されたという経緯です。

2000年以降に建造され、船舶に採用された同社製のNOx規制対象エンジン674台を社内調査したところ、商船向け2 ストロークエンジン673台でデータの書き換えが確認されたということです。2 ストロークエンジンに関しては100%改ざんしていたというありさま(問題なかった1件は4 ストロークエンジン)。

(再掲)川崎重工の不正一覧

・ 2017年 川崎重工製の新幹線台車が規格に沿わない製造により亀裂が発生
・ 2022年 子会社の川重冷熱工業の空調システムに使う機械で検査成績の虚偽報告
・ 2024年 取引先との架空取引で裏金を捻出し海上自衛隊の潜水艦乗組員への金品供与
・ 2024年 船舶用2 ストロークエンジンで検査データ改ざん(←今ここ)

国土交通省は22日午前、神戸市にある同社工場への立ち入り調査を始めました。

西川ゴム工業 海外連結子会社における棚卸資産の不適切計上

西川ゴム工業は8/16、「当社連結子会社における棚卸資産の計算等に関する調査結果及び再発防止策の策定に関するお知らせ」を公表しました。メキシコの連結子会社において、棚卸資産の計算等に関して疑義のある事象が存することが判明したことを受け、社内調査を行っていました。

西川ゴム工業

西川ゴムは自動車のドア周りに装着する部品(ウェザーストリップ)を中核とするシール材メーカー。国内すべての自動車メーカーと取引実績を有し高いシェアを誇っています。海外売上高比率が5割を占める東証スタンダード上場企業です。ウェザーストリップとは、自動車の車内に侵入する風雨やホコリ、騒音を防ぐための部材です。

棚卸資産の過大計上

メキシコ子会社の 2021年 12 月期以降の棚卸資産について、1,352 百万円の残高の過大計上(2023 年 12 月末時点)があったことが判明したとのこと。ただ、調査の過程で不正の兆候は検出されておらず、誤謬による過大計上であると結論付けています。

原因は大きく4つ挙げられてるんですが、その中の一つに、「試算表と在庫明細の差異に係る手入力仕訳の査閲・承認が適切に行われていなかった」というのがあります。つまり、不適切に処理されていたということなんですが、総論としては「誤謬による過大計上」なんですね。

やはり、上場企業が開示等で「不適切」と表現する際は、実は「不正(行為)」を意味するということなんですね。「不正」は「不適切」に、「不適切」は「誤謬」に化けちゃいます。

ジーネクスト 代表取締役の解職(その3) 経営権をめぐる攻防

ジーネクストは8/16、「前代表による善管注意義務違反の疑いに関する調査・検討開始のお知らせ」を公表しました。 代表取締役社長が解職されるという事態となりましたが、その後前代表が巻き返しを図り、経営権を巡る攻防が続いているようです。

双方が臨時株主総会を開催

6月の定時株主総会はすったもんだで結局何も決まらず流会ということに。その後は会社側が支配権維持を目的としたとみられる第三者割当増資を決定。割当を受ける第三者が保有株式数を増やすことにより、前代表の持ち分が減少します。そのため前代表は不当な増資であるとして反発していましたが、裁判所でこれは認められず。

さらに元代表が9月に臨時株主総会を招集(取締役4名と監査役3名選任という株主提案:取締役として前代表も含む)することが決まると、今度は会社側も別途臨時株主総会を開催(取締役5名と監査役3名の選任という議案)することになりました。

会社側の反撃

そして8/16、会社側は、「当社株主開催による臨時株主総会に係る株主提案に対する当社取締役会の反対意見に関するお知らせ」と、「前代表による善管注意義務違反の疑いに関する調査・検討開始のお知らせ」を公表。

調査体制や方法については未定のようですが、当該調査により、前代表による「自らの利益の確保を優先する等の善管注意義務・忠実義務違反の疑い」を証明して見せ、全面対決に臨むという構図になってきました。いやぁ、どうなっていくんでしょう。

日立製作所 茨城県日立市の国分工場で火災事故

8月17日午後0時57分ごろ、茨城県日立市国分町の日立製作所国分工場にて火災が発生。変圧器組み立て建屋から出火し、鉄骨スレート建て工場(約2万9000平方メートル)のうち、鉄筋2階建て測定室約144平方メートルと変圧器約84平方メートルを全焼しました。

日立製作所

日立製作所は多種多様な業態のグループ企業を傘下に擁する、わが国最大の産業用エレクトロニクス企業。インフラビジネス全般に強みを持ち、長年培ったOT(制御・運用技術)、IT、高品質の製品を組み合わせたソリューションを提供する東証プライム上場企業です。日本を代表する企業ですね。

火災の概要

8月17日午後0時57分ごろ、変圧器組み立て建屋から出火し、約5時間後の同日午後6時2分に鎮火しました。別の棟にいた男性従業員(37)が工場内から黒煙が上がっているのを発見し、工場責任者が119番通報したということです。けが人はありませんでした。県警日立署で出火原因を調べているそう。

まぁ、普通の工場火災なんですが、不思議なのが、同工場が9~18日は夏休みで稼働していなかったというところ。稼働していない変圧器組み立て建屋から火が出たりするものなんでしょうか。日立からは何も公表されてませんが、やはり、放火の線も捨てきれませんね。