ジーネクスト 代表取締役の解職(その4) 一応会社側の勝ち

少し前の話になりますがジーネクストは9/11、「当社株主開催による臨時株主総会の決議結果に関するお知らせ」、9/13には、「会社開催による臨時株主総会の決議結果に関するお知らせ」を公表しました。創業者である株主(元社長)と現経営陣との間での経営権争いが起きていた件ですね。

二つの臨時株主総会

まず9/11に開催された元社長が開催した臨時株主総会で、取締役等の専任に関するすべての議案が否決され、9/13の会社側が開催した臨時株主総会ではすべての議案が可決されました。これにより、会社側が経営権を維持する見通しとなりました。ん~、ま、想定通りですね。

両陣営がそれぞれ取締役候補者と監査役候補者の選任議案を諮ったわけですが、総会後に関東財務局に提出された臨時報告書によると、株主(元社長)側議案の賛成率は46〜49%台で、賛否が拮抗する結果だったとのこと。

総会に先立ち、同社は第三者割当増資を行っており、それにより創業者である元社長の株式保有割合は低下しました。が、それでもまだ約30%程度の株式を保有しており、今後どうなっていくのか。

ちなみに、日経の取材によると創業者である元社長は、「臨時総会の結果には納得している。当面はジーネクストの経営に関わらない」と話しているとのこと。このあたりの発言が真意かどうかわかりません。当面は紆余曲折ありそうな気がしますね。

株式会社サンウェルズ 特別調査委員会を設置

サンウェルズは9/20、「特別調査委員会設置に関するお知らせ」を公表しました。先日当ブログでも取り上げた、パーキンソン病専門の有料老人ホームで、入居者への訪問について実際とは異なる記録を作り、不正に診療報酬を請求していたという事案に関するもの。共同通信の報道でした。

特別調査委員会

報道において指摘された内容の事実関係及び問題の有無を明確にするため、徹底した業務実態の調査を実施すること、また、当調査を通じて改善点が確認された場合には、速やかに対処することが必要であると判断し、同社より独立した社外の専門家を委員とする特別調査委員会を設置して調査するということです。

かなりトーンダウン

前回9/3の開示では、「共同通信が報道した不正請求に関する記事を否定するとともに、記事の内容が同社の信用を毀損しているとして、訴訟を含めて法的措置を検討している」という強気の対応でしたが、今回はかなりトーンダウンした感じ。「訴訟を含めた法的措置」といった文言はありません。

おそらく、社内で調査してみたら報道の内容が事実であるとか、事実かもしれないといった従業員等の声なんかが出てきたんでしょうね。ちょっとカッコ悪いけど、そういう事実があるならしっかりと調査して謝罪する、返金に応じるという対応は適切なものだと思います。同業者でも同様の不正が出始めていますし、早期に結果を公表して膿を出し切りましょう。

株式会社バルカー 執行役員および従業員による不正行為が発覚

株式会社バルカーは9/25、「当社執行役員および従業員による不正行為の発覚ならびに特別調査委員会の設置に関するお知らせ」を公表しました。執行役員と従業員による不正行為、というか、着服ですからもはや犯罪行為です。

株式会社バルカー

バルカーは、工業用パッキンやガスケットなどのシール材料、配管材料、電気・電子材料、フッ素樹脂・エラストマー材料などを幅広く手掛ける企業です。顧客も石油化学業界や半導体業界など多岐にわたっています。以前は日本バルカー工業と名乗ってました。東証プライム上場企業です。

不正の概要

執行役員らが特定の取引先と示し合わせるなどして、取引先に対し代金の水増し発注を行い、捻出した資金の一部を執行役員らが着服していたことが、外部からの通報により判明したといいます。よくある架空発注によるキックバックですね。この不正行為による現時点で判明している損害見込み額は約2億円だそうです。

独立社外役員を中心に構成される特別調査委員会を設置し、当該不正行為に関する事実関係、類似する事象の有無等を明らかにしていくということです。執行役員が絡んでるキックバックはヤバすぎですね。

ダイハツ工業 15車種、171万台リコール ボルトの締め付け不足で衝突時に座席が動く?

衝突試験や排出ガス、燃費に関する不正が発覚したダイハツ工業。今度は9/20、15車種、171万台のリコールを公表しました。タント、タフト、ミラ イース、ムーヴ キャンバス、ムーヴ、ロッキー、キャスト、ミラ トコットなどなど。トヨタ自動車とSUBARUにOEMで供給する車種も含まれています。

リコールの内容

不具合の内容は、「前部座席において、取付けボルトの締付けが不適切であったため、走行中の振動等により当該ボルトが緩むものがあります。そのため、取付け部から異音が発生し、そのまま使用を続けるとボルトが脱落し、最悪の場合、衝突時に座席が動き、本来の乗員保護性能を発揮できないおそれがある」というもの。

対象の車は171万台。2019年10月~23年10月製造されたもので、これまでに449件の不具合が確認されましたが、実際に事故が起きたという報告はないとのこと。持ち込まれた対象車両は、全車両当該ボルトを指示トルクで適切に締付ける対処をするそう。

リコールだけで済むの?

しかしまぁ、乗員のみならずシートまで外れて一緒に飛んで来たら、エアバッグもたまらんでしょうね。ちなみに、同社で最も多かった2022年の年間販売台数が約170万台(その後不正で生産は激減)といいますから、4年間で販売してきた車両の約1/4以上が不具合抱えてるってことになります。

これまでも数々の不正が発覚してきたダイハツ。そこへさらにこの大規模リコールの発生。リコールだけで済むものなんでしょうか。

巴川コーポレーション 静岡工場における火災事故

巴川コーポレーションは9/20、「当社静岡工場における火災発生について(第 1 報)」を公表しました。同社の静岡市駿河区所在の静岡工場にて、9/17の19 時 15 分頃出火し、約5時間後の深夜 0 時 21 分 に鎮火を確認したということです。

巴川コーポレーション

巴川コーポレーションは、トナーや半導体材料などの高機能性材料の製造販売を主力に、機能性シートなどを展開する企業。リードフレーム固定用テープやトナーなどの世界シェアの高い製品を有し、海外売上高比率が4割を占める東証スタンダード上場企業です。昔の巴川製紙ですね。

事故の概要

火災が起きたのは、株式会社巴川コーポレーション 静岡事業所の、ファイバーマテリアル事業部 機能性不織布の小型製造設備付近。鎮火までに約5時間を要しましたが、人的被害はなく、物的被害は上記設備の付帯設備である排気用ダクト及び建屋天井の一部が被災したとのこと。

この火災、ちゃんと適時開示されているんですが、17日(火)発生で18日(水)未明に鎮火しているのに、開示は20日(金)の12時というのはどうしたんでしょう。この第1報では詳細なことは公表していないので、この空白の2日間はちょっと気になります。

まぁ、関係ないだろうけど、昨年辺り、静岡市消防局では職員の殉職や放火などの不祥事が続いてるっていうニュースもあったね。