ワイエスフーズ 代表取締役がヨシムラ・フード・ホールディングス株式でインサイダー取引

株式会社ワイエスフーズ(上場しているワイエスフードとは別の会社)の代表取締役が、2023年に行ったヨシムラ・フード・ホールディングス株式の買い付けに対して、証券取引等監視委員会はインサイダー取引であるとして、札幌地方検察庁に告発しました。

インサイダー取引の概要

ワイエスフーズは北海道でホタテの加工を行う非上場企業でした。2023年にこの会社を上場企業のヨシムラ・フード・ホールディングスが買収(株式を譲り受ける)するという事実を知りながら、当該事実が公表される前にヨシムラ・フード・ホールディングス株式を買い付けたというもの。

つまり、自身が経営する会社を買収しようとする上場企業の株で儲けたって話ですね。普通は買収される側の株式でインサイダーが起きるものですが、このケースは反対です。ヨシムラ・フード・ホールディングス株式は800円くらいの株価が事実公表後に1500円近くまで上昇しています。

いわゆるホタテ長者が、中国が日本からの輸入の全面停止に踏み切る直前に身売りし、ついでにインサイダー取引でも儲けていたという事案。そしてさらに、この代表取締役、知人3名にもこの情報を伝えて儲けさせています。

地検への告発

通常のインサイダー取引では、金融庁長官等に対して課徴金納付命令を発出するよう勧告しますが、当事案は金融商品取引等の公正を害する悪質な行為であるとして、地検への告発となっています。

鴻池運輸株式会社 元社員2人が特別背任容疑で逮捕

報道によると、鴻池運輸の元社員2人が特別背任容疑で大阪府警に逮捕されたようです。当ブログでも過去に取り上げたことのある、従業員による架空取引とキックバックという事案。昨年4月には調査委員会の調査結果が公表されていました。

おさらい

同社の取引業者であった協力取引先7社の協力を得て、実態の伴わない架空の業務を発注したこととし、同社から協力取引先 7社に対して448百万円を不正に流出させ、これに伴い、協力取引先7社から現金にてキックバックを受けるなどして、私的に着服していたという事件でした。

新たな事実も

最終報告書で犯行に及んだのはある支店の課長とその部下だったことが明かされましたが、今回の報道で、二人が茨城県の鹿島支店の元課長(38歳)と、その部下の女性(34歳)ということが判明しました。普通この手の悪巧みに部下の女性が協力なんてなかなかないですよね。男と女の関係みたいなモノもあったんでしょうか(kuniの妄想です)。

逮捕容疑は取引先4社に架空業務の請求書を計70回提出させ、鴻池運輸に計約1億8000万円の損害を与えた疑い(特別背任)とされています。同社の調査結果では実際には7社のはずなので、今後の捜査で損害金額は増えると思われます。

大阪国税局の税務調査がきっかけで23年11月に発覚したこの事案。二人は24年3月に懲戒解雇、そして逮捕まで1年2か月を要しました。

公正取引委員会 下請法違反の摘発に力を入れているわけ

先日も取り上げたように、公正取引委員会による下請法違反としての勧告が増加しています。昨年からだけでも12の企業が勧告を受けているという状況。ではなぜ公取委が下請法違反を重視してきているのか、、、という考察です。

下請け企業の現状

下請け企業は中小企業であることが多いですよね。中小企業は現在、「賃上げ」や「金利上昇による債務負担」、「価格転嫁」という“三重苦”の状況だと言われています。賃上げしないと人が獲れない → 賃上げするためには納品先に商品の価格引き上げを認めてもらわないと無理。という構図があります。

大企業は為替の円安などで潤っているのに、中小企業では人件費は上るし、原材料費も上るけど、納品先(大企業)に値上げを認めてもらえない。ほかにも理不尽に金型の保管などを強いられていて、不要なコストを負担せざるを得ない。みたいなことが起きているわけですね。

要するに下請法違反に取り組む公取委としては、大企業が下請け先に不当な条件を押し付けている状況を解消しないと、中小企業が今後生き残れないという現実を解消しようとしているということなんですね。

大企業では新卒初任給を〇%引き上げ、みたいな景気のいい話が連日報道されていますが、下請け企業への対応・ガバナンスは大丈夫ですか?が問われているということです。

株式会社プロレド・パートナーズ 子会社の代表取締役を解任

株式会社プロレド・パートナーズは1/24、「当社子会社代表取締役の解任に関するお知らせ」を公表しました。第一報がいきなり社長の解任という唐突感のある開示です。

プロレド・パートナーズ

プロレド・パートナーズは、主に成果報酬型の経営コンサルティングを展開し、各種コスト削減を支援している企業。関連して投資運用事業を手掛け、収益確保に努めています。初めて聞いた企業ですが、東証プライム上場企業です。

子会社 ブルパス・キャピタル

ブルパス・キャピタルはプライベート・エクイティ・ファンドの運営や役員派遣によるハンズオン経営支援を行うプロレド・パートナーズの子会社です。グロース企業に投資して、コンサルもするみたいな企業ですかね。よく分からんけど。

で、今回の開示はこのブルパス・キャピタルの代表取締役を解任しました、という内容。その理由は、「ブルパス・キャピタル社のファンド運営に関わる背信的行為を企図するなど、同社の代表取締役として不適切な行為を行ったためであります。 」とだけ説明されています。

調査委員会を設置して・・・みたいな手続きは一切なさそうで、即解任。「背任行為を企図」って、いったい何をしでかしたんでしょう。一応東証プライム上場なわけだから、子会社の代表取締役とはいえ相応の説明が必要だと思うんだけど。

東京ラヂエーター製造 下請法違反で公正取引委員会が勧告

公正取引委員会は1/23、「東京ラヂエーター製造株式会社に対する勧告について」を公表しました。下請け企業に金型を無償で保管させていたのは下請法違反にあたるとして、熱交換器部品大手の東京ラヂエーター製造に再発防止と保管費用の支払いを勧告しました。

東京ラヂエーター製造

東京ラヂエーター製造は、トラック向けを中心とした自動車および産業・建設機械用熱交換器の専門メーカー。ラジエータなどの熱交換器を主力に、車体部品を手掛けています。いすゞ自動車向け売上が5割弱を占める東証スタンダード上場企業です。

違反の概要

同社は遅くとも2022年12月以降、長期間発注の見込みがないにもかかわらず、下請け企業30社に対し、計2389個の金型を無償で保管させていました。再発防止と保管費用の支払いを勧告されましたが、同日同社としても、「公正取引委員会からの勧告について」を公表し、全30社の対象事業者への支払いに合意しているとしています。

最近多いですよね、下請け法違反。昨年からだけでも12の企業が勧告を受けています。そのうち同社をはじめ電気興業や住友重機械ハイマテックス、SANEI、トヨタカスタマイジング&ディベロップメントの5社が、「金型を無償で保管させる」行為を問われました。

皆さんの会社は大丈夫ですか?事業者側が自発的に申し出た場合、一定の要件はあるものの、勧告の対象から外してくれますよ。