三井住友 SMBC日興証券、合計22人を一斉処分

日本経済新聞は11/5、「三井住友とSMBC日興、トップら22人一斉処分」と報じました。金融庁から相場操縦と銀証の情報共有規制違反で一部業務停止命令などを受けたSMBC日興証券でしたが、グループ全体で合計22人を一斉処分するということになりました。

相場操縦

以前、当ブログでも取り上げましたが、最も大きな法令違反は相場操縦でした。SMBC日興、当初は違反性を巡って当局と全面的に戦うかのような姿勢でしたが、とうとう全面降伏となりました。「誰が見てもこれおかしいよね」っていう感じでしたけどね。

銀証の情報共有規制違反

さらに、銀行から証券に顧客を紹介する際に遵守しなければならない法も守っていませんでした。顧客の同意を得ることなく、銀証間で顧客に関する情報を共有していたというもの。これもまたちょっと信じられないような法令違反です。銀行系証券では最も重視すべき法令ですからね。

そして証券、銀行、持ち株会社すべてで

そのため、グループすべての会社から処分者が出るという事態になってしまいました。証券には銀行から沢山人がやってくる。経営に近いポストほど銀行員が増え続け、証券の業務が分からない。しょうがないので外資系証券などからあぶれた、実務に明るく、馬力のある人をどんどん採用する。

こんなふうに組織が壊れていき、コンプラお構いなしの会社ができるんですね。銀行系証券会社では、どこも似たような現象、起きてるだろうなぁ。

東京証券取引所 194社に対して投資単位の引下げに係る検討を要請

日本取引所グループ(JPX)傘下の東京証券取引所は10/27、上場株の投資単位を50万円未満に引き下げるよう、194社に要請したと発表しました。投資単位が高額となる企業を減らして個人による取引機会を広げようという施策ですね。

投資単位の引き下げ

取引所としては1990年から、個人投資者が投資しやすい環境を整備すべく、上場会社に対して投資単位の引下げの要請を開始しています。2001年には上場規則の努力義務として、「50万円未満」の水準が望まれる旨を明示し、50万円以上の会社に対して、投資単位の引下げに係る考え方及び方針等の開示を義務化しています。

しかしながら、現在95%の会社が50万円未満の水準を維持している一方、依然として投資単位が高い水準に留まっている会社も一定数あり、50万円以上が5%(197社)、100万円以上の企業が1%(39社)存在しているということです(10/26時点)。

主な企業

直近では、任天堂が1:10、テクノクオーツが1:5の株式分割を10月1日に実施するなど、投資単位の引き下げを実施する企業が出ていますが、それでもまだ200社近い企業が取引所の要請に応じていません。

投資単位上位を見てみると、1位がファーストリテイリング、続いてSMC、キーエンス、東京エレクトロン、エスケー化研といった企業があり、それぞれ最低投資必要金額は8,319,000円、5,838,000円、 5,122,000円、3,918,000円、3,725,000円となっています。

最低でも800万円用意しないと投資できない、なんてのは個人には負担デカすぎですよね。雑魚投資家が株主になると費用負担や株主対策が大変だとか、いろいろ理由はあるかもしれませんが、早急に対応してほしいものです。取引所にしてももう少し強気の要請というか、強制するくらいの姿勢があっていいと思います。

キャノン 事業構造改革に手ごたえ しかし売られる

キャノンは10/26、2022年7~9月期の四半期連結決算を公表しました。売上高は20%増の9,960億円、営業利益は39%増の814億円という好調な決算発表だったんですが、株式市場では3,100円割れ(前日比211円安)まで大きく売り込まれました。

キャノン

キャノンは事務機械、デジタルカメラなどコンシューマ、産業機器等の分野において、開発、生産から販売、サービスにわたる事業活動を営んでいる、日本を代表する企業の一つです。主力の事務機事業が振るわない中、メディカル事業(医療機器)やミラーレスカメラなど、主力事業に代わる成長事業を育ててきました。

決算の概要

そうした努力が報われ、ミラーレスカメラや監視カメラ、メディカル事業が、業績のけん引役として実を結びつつあるということです。御手洗会長兼社長最高経営責任者(CEO)も同日の電話会見で「これまで重点的に投資してきた成長事業が全て出そろった。満足できる決算となった」とご満悦の様子。

しかし株価は

事前の業績予想(期待値)が高すぎたんでしょうかね。決算発表を受けて同社株は朝から売り気配となりました。ケチが付くとしたら、急激な円安によって子会社との外貨建て借入金で為替差損が発生したことで、純利益が前期比16%増の2500億円と従来予想から120億円下方修正されたことくらい。けどこれ為替差損ですからね。

決算発表銘柄で良い業績を発表しながらも急落、なんてのは決算発表「あるある」ですけどね。主力事業が成長を終え、事業構造改革を断行。それが成功しつつあるということですから、中長期的には期待できそうだなぁ。と、kuniは感じています。

野村證券元社員 詐欺で逮捕

元本保証などをうたって違法に出資金を集めたとして、岡山県警は10/20までに、出資法違反などの容疑で、野村證券元社員の2人を逮捕しました。2人は顧客ら数十人から数億円を集めていたということです。無登録で金融商品取引業を営んでいました。

超セレブ投資家

逮捕されたうちの一人(35歳)の方は、2021年5月に全国放送されたテレビバラエティー番組で、40億円のプライベートジェットを所有する「超セレブ投資家」として紹介されていたんだそうです。さらに、有名女性アイドルグループの元メンバーと結婚して、東京都内の高級住宅街で一緒に暮らしていたんだそう。

ややこしいけど、前半部分の「超セレブ投資家」というのが真っ赤な嘘で、その嘘の力で元芸能人と出来ちゃっていたというのは本当らしい(どうでもいいか)。

顧客や知人ら少なくとも十数人に高利回りをうたう投資話を持ちかけて、数億円を不正に集めていたということです。よくある手口ですね。「あなただけ特別に高利回りの投資商品を」ってありえない話に、なんで皆こう簡単に騙されてしまうんでしょう。

N證券とN証券

元野村證券社員という報道になっていますが、同社を退職する前から(つまり社員として在籍しているときから)岡山支店で担当する複数の顧客らから不正に資金を集めていました。

そのため当然野村證券としての管理責任等も問われていくことになります。今のところ同社は、「警察に相談中の事案であり、詳細は答えられない」としています。しかしまぁ、イニシャル「N」の証券会社は両社とも、定期的に不正やら不祥事の話題を提供してくれますねぇ。昔から何も変わってません。

レオパレス21 報道に対して反論

レオパレス21は新潮の報道に対して、「当社に関する報道について」を公表しました。報道の内容についてほぼ全面的に否定する内容となっていて、これを受けた10/21の株式市場では同社株は買い気配で始まるという、前日とは対照的な動きとなっています。

レオパレス21の反論

「入居率嵩増しの手口として審査不合格者の入居、家賃滞納者の居座りを容認」
「仲介業者と結託して不正を働いた社員がいた」
「3 カ月以上の家賃滞納者には立ち退きを迫るはずなのに、2 年近く放置していた」
「部屋の退室に関し解約処理をわざと翌月にずらし、契約状態の部屋とカウントすることで入居率の上乗せを図っている」

という新潮の報道に対してそれぞれについて事実無根であるとして否定、もしくは適切な対処がされている旨訴えています。これが本当ならなぜ内部告発が・・・、ということになります。火のないところに煙は立たぬ、、、と言いますように、何か起こっているのは事実でしょう。

株価の方は

株価の方はというと、前日の終値274円に対して、買いが集中し、306円で始まりました。その後319円まで買われる場面もありましたが、そこからはじり貧という値動き。結局終値は290円の16円高となりました。

株価の動きがすべてを表していると思いますね。これまでさんざん顧客や株主を裏切ってきているだけに、たった一枚の開示(反論)だけではね。多くの投資家は同社とリスクを共にする覚悟はできなかったということでしょう。

内部告発が行われたあたり、経営陣の中での内紛とかが始まってるんでしょうか。さてさてこの後どういう展開になることやら。