インサイダー取引 スクウェア・エニックス元社員ら再逮捕

スマートフォン向け人気ゲーム「ドラゴンクエストタクト」開発を巡るインサイダー取引事件で、東京地検特捜部は12/7、「ファイナルファンタジー(FF)」シリーズのスマホ向けゲーム開発でも未公表情報をもとに開発会社の株を取引したとして、スクウェア・エニックス元従業員ら2人を金融商品取引法違反(インサイダー取引)容疑で再逮捕しました。

スクエニ大丈夫か?

前回当ブログでも取り上げた事件、「ドラゴンクエストタクト」開発を巡るインサイダー取引が行われたのが2019年12月上旬~20年2月上旬のことでした。この事件を捜査している過程で新たなインサイダー取引が発覚したということのようです。

今回再逮捕となったのは、スクウェア・エニックスとエイチームによる「ファイナルファンタジー7 ザ ファーストソルジャー」の開発に関するもの。未公表の情報などを入手し、公表前の2021年1月~2月に、エイチーム株を大量に買い付けたということです。

インサイダー取引の対象となったエイチーム株の終値は、ゲームの共同開発を公表する前の21年2月下旬までは1,200円台で推移していましたが、公表後に上昇し、同年3月には一時、1,800円台まで値上がりしています。

ドラクエ開発のインサイダーで大儲けして、その一年後に起きた事件。今度はファイナルファンタジーに関する情報で、またしても濡れ手に粟の大儲けです。再逮捕された元従業員のほかに、もう一人のスクウェア・エニックスの従業員も逮捕されています。水面下で調査が進み、ひょっとしたら2回目のインサイダー取引は泳がされているところだったかも。

スクウェア・エニックス元従業員の2人が行ったインサイダー取引はいずれも投資金額1億円超。これだけの資産を持っているということは、それなりにこの業界での能力も地位もあった人たちだと思われます。なんでまたこんなアホなことをやってしまったんでしょうね。インサイダー取引は必ずバレます。

なぜ インサイダー取引はバレてしまうのか

当ブログでもちょくちょく取り上げるインサイダー取引。そしてインサイダー取引は必ずバレてしまいますよ、という警告もしてきました。本日はインサイダー取引がバレてしまう理由というか、どんなふうに調査されているのかについて、ザックリと書いてみます。

インサイダー取引

インサイダー取引(内部者取引と表現されることもあります)とは、上場企業の未公開情報を不法に共有・利用して証券取引を行い、未公開情報を持たない投資家に損害を与える(同取引を行ったものだけが得をする)犯罪的行為のことです。金融商品取引法により規制されています。

どうやって見つけるか

インサイダー取引には様々な態様がありますが、共通しているのは未公開情報が公表された直後に株価が急騰(もしくは急落)するということです。そしてもう一つが公表された情報が重要事実に該当するかどうか。この重要事実についても法律にその条件が定められています。

ではどうやってインサイダー取引を発見するのか。重要事実に該当すると思われる情報が公表された銘柄は簡単に絞り込めます。その情報の公表を受けて株価が急騰(もしくは急落)したかどうかも簡単に発見できます。ここまで絞り込めれば、あとは公表の直前に当該銘柄を買った人(もしくは売った人)を探せばいいわけですね。

こうした一連の作業は証券取引所の売買審査部が行っています。急騰した銘柄の場合、買った人の一覧を証券会社に提出させ、その中から怪しい人物の顧客情報まで手に入れます。怪しい取引一覧ができると、証券取引等監視委員会へバトンタッチ。同委員会がより深度のある調査を進めていく、という流れです。

どうでしょう。かなりザックリとした説明ですが、イメージ湧きましたでしょうか?

インサイダー取引 スクウェア・エニックス元社員ら逮捕

オンラインゲーム「ドラゴンクエストタクト」に関する未公開情報を入手してインサイダー取引をしたとして、東京地検特捜部は11/17、「スクウェア・エニックス」の元社員とその知人の両容疑者を金融商品取引法違反の疑いで逮捕したと発表しました。

逮捕の容疑

スクウェア・エニックスは、「Aiming」と共同でスマートフォン向けのオンラインゲームを制作。Aimingは2020年2月に「ドラゴンクエストタクト」の共同開発を発表し、7月に配信を開始していました。

共同開発の公表前だった2019年11月下旬、ゲーム開発が配信できる段階まで進んでいたことや、Aimingがスクウェア・エニックスとの業務提携を決定したという重要事実を把握したスクエニ元従業員。2019年12月上旬~20年2月上旬(共同開発公表の直前)までに、2,000万円以上Aiming株式を買い付けたということです。さらに、この元従業員から情報を伝えられた知人も2,600万円程度買付け。

株価の方は

彼らが買い付けた当時のAimingの株価をみてみると、2019年12月~20年1月末まで、200円台後半から300円台前半の往来相場って感じ。2/5に共同開発が公表されたんでしょうね、翌日の2/6から4日間連続のストップ高で、最高値730円まで買われています。

公表直前の株価が290円ですから、4日で2.5倍。二人とも約2,000万円が約5,000万円になった計算です。まさに濡れ手に粟の大儲け。しかし、このてのインサイダー取引は必ず見つかります。読者の皆さんは決してこういう取引を真似なさらないように。

三井住友 SMBC日興証券、合計22人を一斉処分

日本経済新聞は11/5、「三井住友とSMBC日興、トップら22人一斉処分」と報じました。金融庁から相場操縦と銀証の情報共有規制違反で一部業務停止命令などを受けたSMBC日興証券でしたが、グループ全体で合計22人を一斉処分するということになりました。

相場操縦

以前、当ブログでも取り上げましたが、最も大きな法令違反は相場操縦でした。SMBC日興、当初は違反性を巡って当局と全面的に戦うかのような姿勢でしたが、とうとう全面降伏となりました。「誰が見てもこれおかしいよね」っていう感じでしたけどね。

銀証の情報共有規制違反

さらに、銀行から証券に顧客を紹介する際に遵守しなければならない法も守っていませんでした。顧客の同意を得ることなく、銀証間で顧客に関する情報を共有していたというもの。これもまたちょっと信じられないような法令違反です。銀行系証券では最も重視すべき法令ですからね。

そして証券、銀行、持ち株会社すべてで

そのため、グループすべての会社から処分者が出るという事態になってしまいました。証券には銀行から沢山人がやってくる。経営に近いポストほど銀行員が増え続け、証券の業務が分からない。しょうがないので外資系証券などからあぶれた、実務に明るく、馬力のある人をどんどん採用する。

こんなふうに組織が壊れていき、コンプラお構いなしの会社ができるんですね。銀行系証券会社では、どこも似たような現象、起きてるだろうなぁ。

東京証券取引所 194社に対して投資単位の引下げに係る検討を要請

日本取引所グループ(JPX)傘下の東京証券取引所は10/27、上場株の投資単位を50万円未満に引き下げるよう、194社に要請したと発表しました。投資単位が高額となる企業を減らして個人による取引機会を広げようという施策ですね。

投資単位の引き下げ

取引所としては1990年から、個人投資者が投資しやすい環境を整備すべく、上場会社に対して投資単位の引下げの要請を開始しています。2001年には上場規則の努力義務として、「50万円未満」の水準が望まれる旨を明示し、50万円以上の会社に対して、投資単位の引下げに係る考え方及び方針等の開示を義務化しています。

しかしながら、現在95%の会社が50万円未満の水準を維持している一方、依然として投資単位が高い水準に留まっている会社も一定数あり、50万円以上が5%(197社)、100万円以上の企業が1%(39社)存在しているということです(10/26時点)。

主な企業

直近では、任天堂が1:10、テクノクオーツが1:5の株式分割を10月1日に実施するなど、投資単位の引き下げを実施する企業が出ていますが、それでもまだ200社近い企業が取引所の要請に応じていません。

投資単位上位を見てみると、1位がファーストリテイリング、続いてSMC、キーエンス、東京エレクトロン、エスケー化研といった企業があり、それぞれ最低投資必要金額は8,319,000円、5,838,000円、 5,122,000円、3,918,000円、3,725,000円となっています。

最低でも800万円用意しないと投資できない、なんてのは個人には負担デカすぎですよね。雑魚投資家が株主になると費用負担や株主対策が大変だとか、いろいろ理由はあるかもしれませんが、早急に対応してほしいものです。取引所にしてももう少し強気の要請というか、強制するくらいの姿勢があっていいと思います。