株式会社アサヒペン 社内調査委員会の調査結果

株式会社アサヒペンは7/25、「社内調査委員会の調査結果及び特別損失の計上に関するお知らせ」を公表しました。連結子会社であるアサヒロジストにおける同社元従業員による業務上横領に関し、調査してきた結果ですね。

調査結果

5/29の第1報では、「総額で約1億9900万円の現金を私的流用していた」としていましたが、調査の結果、その金額は約2億830万円まで膨らみました。インターネットバンキングを利用した不正送金の金額が約1億3972万円。同社預金口座から不正に現金を引き出した金額が約6858万円という内訳です。

行為は2023年1月から2024年5月にかけて行われていますが、不正送金において、自己名義等の口座に送金する際に、送金先を同子会社の取引先であるように見せかけるため送金先名称を書き換えるなど、長期にわたる不正を隠蔽するために様々な手口を使っていました。

発生原因等

あくまで単独犯であり、類似事案もなかったことが確認されているようです。私的流用したお金の使途については、警察の捜査に委ねるとしています。

そして、この事例についても最大の発生原因は、資金管理を含む経理業務に関する権限が当該行為者に集中していたこと。他社の事例でも数多くみられる不正発生の原因ですが、まだまだこういう会社が存在するんですね。読者の皆さんの会社は大丈夫ですか?

セーラー広告株式会社 社内調査委員会の調査結果

セーラー広告株式会社は7/24、「社内調査委員会の調査報告書の公表並びに再発防止策に関するお知らせ」を公表しました。2か月前の5/22、発注額の一部を発注者である同社従業員に還流する仕入取引が行われていた可能性を認識し、社内調査を始めていました。

社内調査の結果

この不正を働いていたのは徳島支社の支社長で、不正に協力していたのは1事業者(個人事業主)のみというのが結論のようです。当該事業者に対し下請け取引業者として発注代金を支払い、必要の都度、支社長がキックバックを要求し、私的費用(飲食費、遊興費等)に流用していたとのこと。

発生原因等

この不正行為に関しては、支社長自らが発注業務を行い、起票しているため、発注内容の承認行為が自己承認となっていたというのが最大の発生原因。よくあるパターンですね。調査の結果、当該キックバックによる同社の被害額は、4,173 千円だそうです。

認定された不正取引は、同社グループを含め、上記不正行為のみであったと結論付けています。社内調査の進め方等、少々雑な感じもするんですが、調査結果等を受けて会計監査人による追加的な監査手続等も全て終了しているといいます、、、良しとしましょうか。

株式会社クロップス 海外連結子会社で従業員の不正行為

株式会社クロップスは7/18、「当社連結子会社(孫会社)のベトナム社会主義共和国での社会保険料未納及び同社社員による不正行為に関するお知らせ」を公表しました。連結子会社(孫会社)というのは JOB LINKS CORPORATIONという会社です。

株式会社クロップス

クロップスは愛知県を中心に東海・首都圏エリアでKDDI専売の携帯電話販売代理店を展開するほか、東海・首都圏での人材派遣事業、ビルメンテナンス事業、飲食店舗の転貸借事業、文具・生活用品や自然派化粧品の卸売などを手掛ける東証スタンダード上場企業です。

不正行為

現地メディアの報道で発覚した子会社の社会保険料が未納であった事実(日本円換算額は約178百万円)。これを契機に同社で調査した結果、この事象に関連して同社社員による不正行為が行われていた可能性が高いことが判明したとのこと。

2024年1月から同年6月にかけて、同社社員が、複数の外部者と共謀の上、虚偽の申請を繰り返すなどして、複数回にわたり同社の預金を引き出し、総額約260百万円の現金を私的流用していたといいます。当該資金の私的流用が背景となって、社会保険料の支払が適切に行われず、本事象が生じていたということです。

一時期、中国の子会社での不正がやたらと発生していましたが、最近あまり聞かなくなりました。経済の勢いが中国から他のアジア圏に移っていったように、これからの不正はベトナム等中国以外のアジア圏に移っていくんでしょうかね。

小林製薬株式会社 代表取締役会長、代表取締役社長が辞任

小林製薬は7/23、「代表取締役の異動及び役員報酬の一部自主返上に関するお知らせ」を公表しました。紅麹(こうじ)原料を含むサプリメントについて健康被害の拡大や情報開示が遅れたことなどの責任を取るという形の異動です。

異動の概要

代表取締役会長が代表取締役および取締役の地位を辞任し、特別顧問へ。また、代表取締役社長が代表取締役社長を辞任し、取締役補償担当へ。創業家出身の社長が引き続き取締役に残り、補償対応に専念するということです。また、代表取締役社長として受領済みの月額報酬の50%相当額の6ヶ月分を自主的に返上するとのこと。

なんかスッキリしない

小林製薬としての今回の対応は評価できるんですが、個人的には何やらスッキリしません。ここ最近の同社のCM。「小林製薬よりお詫びとお願いです。この度は弊社、紅麹製品にてご迷惑をおかけし、深くお詫び申し上げます」ってやつですね。もの凄い頻度で流れていて、真摯に向き合う姿勢が感じられます。こういう姿勢の同社にそれほどまでの問題があったのかどうか。

どうしても、まるで一部の勢力による小林製薬叩きではなかったのかという感覚も残るんですよね。ネットに溢れる陰謀論を支持するわけではないんですが、、、。創業約140年の歴史で初めて創業家以外からトップが就任、これを機に再生を急いでほしいものです。

ジェイフロンティア株式会社 (その2) 特別調査委員会の設置

ジェイフロンティアは7/18、「特別調査委員会の設置に関するお知らせ」を公表しました。先日行った開示はあまりにも具体性を欠くものだったため、特別調査委員会を設置して調査するという第2報を発信してきたという格好です。

新たな情報

第1報では、「一部の広告売上取引について、取引内容の精査が必要になることが判明したため」という理由だけで、何が起きているのか全く分かりませんでした。

今回の開示では、「会計監査人から一部の広告売上取引における売上高及び原価の計上について、不適切な会計処理がある旨の疑義が生じているとの指摘を受けている」と、やや踏み込んだ情報が開示されています。

さらに、「社内調査及び会計監査人による追加的監査手続の結果、上記事案が経営陣の関与によるものであることが発覚した」とも説明されており、一気に経営陣が関与する不正ということになってきました。これを受けて同社株価はストップ安売り気配というインパクト。

特別調査委員会

会計監査人から、上記事案の事実関係のさらなる調査、上記事案に類似する事象の存否などについて、実態把握をする必要がある旨指摘されたことから、中立かつ公正な外部専門家による網羅的な調査を行うことが望ましいと考え、特別調査委員会を設置することを決議したということです。