ブックオフグループホールディングス 従業員の不正行為(その4)

ブックオフグループホールディングスは10/15、「特別調査委員会の調査報告書(公表版)公表に関するお知らせ」を公表しました。複数の店舗で架空買い取りや不適切な在庫計上の可能性が発覚し、外部の弁護士らで構成する特別調査委員会で調査してきた結果の公表です。

調査結果

国内の26店舗と子会社の商品管理を行う1つの部署で買い取り金額を水増して現金を横領するなど、従業員による不正が29件確認されたということです。架空の買い取りなど不正による影響額は合わせて8,100万円にのぼるとのこと。

不正があった店舗数は8月の途中報告の24店から2店舗増え、不正による影響額も約1,000万円増加しています。

同社は直営店舗数が387 店。連結ベースの従業員が、社員1,572名、パート・アルバイトが12,966名を抱える大所帯。に対して、同社の内部監査部(年間を通じて監査を行い、業務及びその内部統制の適切性・有効性を検証・評価する)は、社員 4 名だけなんだそう。この数では現場に足を運ぶ監査など出来っこありません。まず、ここが一番の問題点でしょう。

貧弱な監査態勢

発生原因の筆頭に定番の「従業員におけるコンプライアンス意識の欠如又は不足」が挙げられていますが、会社執行部がしっかり現場の状況を確認しているぞ、という態勢が非常に重要で不正を抑止することが可能。たった4名の内部監査部では現場へのけん制すら働きません。

株式会社 きょくとう まだ揉めている雇用調整助成金の不正受給

株式会社 きょくとうは10/15、「社内調査委員会設置のお知らせ」を公表しました。同社の受給した新型コロナに関する雇用調整助成金の申請が不正であったという事案。昨年4月に特別調査委員会の調査結果を公表していました。が、この結果にケチがついたということのようで。

株式会社きょくとう

きょくとうは、福岡県を地盤に中国地方などでホームクリーニング店をチェーン展開する企業です。殺菌・消臭・分解力が高いとされるオゾンをドライクリーニングに使用しているのが特徴だそうな。福岡市博多区に本社を置く、従業員200名以下の東証スタンダード上場企業です。

不正受給に関する経営陣の指示の有無

開示によると、「今般、外部機関からの指摘により、前回調査の対象となった雇用調整助成金の申請手続きにおいて、経営陣の指示の有無について、再調査を行うよう要請があった」、ということです。特別調査委員会の調査結果が示されて1年半近く経ったこの時期に。

ここに出てくる「外部機関」というのは福岡労働局ですかね?4億円近い不正受給に関して経営陣の関与をもう一度調べ直せってことのようです。外部機関はかなり確信を持っているようですが、前回が同社と利害関係がない外部の弁護士等による特別調査委員会だったのに、今回は社内調査委員会で調べるって不思議な感じ。

どの取締役に責任を取らせるかっていう検討なのかしら。過去記事でも何度か取り上げてますので、そちらもお読みいただければ。

株式会社エルアイイーエイチ 代表取締役の解職とその後

株式会社エルアイイーエイチは10/11、「株主による株主総会の招集許可申立てに関するお知らせ」を公表しました。代表取締役を解職された元社長が悪あがきで経営陣を刷新しようとした議案のようです。この元社長さん、今年8月に取締役会で解職された方なんですね。

エルアイイーエイチ

エルアイイーエイチは、フランチャイジーとして「業務スーパー」を運営する食品流通事業を中核とする持株会社。このほか、酒類製造事業、教育関連事業などを展開する東証スタンダード上場企業です。

代表取締役の解職

今年8/23に、「代表取締役の異動(解職)及び社長交代に関するお知らせ」が公表されており、社長の高額な役員報酬の要求や、法外な出張経費の受領など、赤字が続く同社にはどう考えても不適切な行為が示されています。

さらに取締役会の承認を経ずに、12億円を同社名義の銀行口座から出金し、うち2億円を社長の個人名義の口座に送金したとか、暴言などパワーハラスメントととられる言動についても言及し、解職されていたんですね。ただ、それでも元社長は筆頭株主。なんだかどこかの会社(ジーネクスト)でも同じような構図がありましたね。

株主総会で自身の返り咲きを目指してるんでしょうが、これはさすがに無理っぽい。同社の株価は33円。どっちに転んでももうこの会社は・・・って感じの株価ではありますが。

OATアグリオ 徳島県鳴門市の工場で爆発事故

10/7、OATアグリオ株式会社の鳴門工場で爆発・火災事故が発生しました。この爆発で同社従業員2人が負傷しており、うち1人は重傷だとのこと。

OATアグリオ

OATアグリオは、環境問題や食糧増産問題に直面する農業従事者を対象として、農薬、肥料を製造・販売する企業で、全農(全国農業協同組合連合会)、商社、メーカー向けに販売しています。大塚製薬の一事業部門が分離独立したという経緯を持つ東証スタンダード上場企業。鳴門工場では液体の農薬や肥料を製造しているそう。

事故の概要

爆発当時、現場では52歳の男性が液剤を入れるタンクを1人で洗浄しており、その際に何らかの原因で爆発が発生、出火して男性に燃え移ったとみられるとのこと。この男性が全身にやけどなどを負い重体となったほか、43歳の男性作業員は、この男性を助けようと消火活動をしていて、軽傷を負ったということです。爆発で起きた火災は約1時間半後に消し止められました。

タンク自体は破裂しておらず、周囲への延焼はないといい、警察は爆発の詳しい原因を調べています。この事故に関しては、OATアグリオのホームページで公表されていますが、非常にあっさりとした内容。詳細は全く分かりません。

国土交通省 舶用エンジンにおける不正行為の実態調査結果を公表

国土交通省は9/30、「舶用エンジンのNOx放出量確認試験における不正行為の有無等に係る実態調査の結果について」を公表しました。IHI原動機、日立造船マリンエンジン及びアイメックスによる、舶用エンジンのNOx放出量確認試験におけるデータ改ざん事案を踏まえ、他のメーカー19社に対し調査報告を求めていた件です。

実態調査の結果

結果は、川崎重工業から燃料消費率等に関するデータ改ざんが行われていたという報告があったのみ(9月までに公表済み)で、その他の事業者においては不正行為は無かったということに。つまり、不正を行っていたのは、IHI原動機、日立造船マリンエンジン及びアイメックス、川崎重工業の4社だけでした、ということです。

ただ、ちょっと気になるのは、「不正行為は無かったと報告した18社のうち、8社からは、試験記録の転記誤り等が確認された旨の報告があったほか、機器の校正等、確認が必要なものがあった」という記述。なんだこれ?

「試験記録のデータ改ざん」と「試験記録の転記誤り」。この違い、なんともビミョーですね。試験記録は合格値だったけど、転記だけ間違ってましたってこと?このあたりの説明はありません。輪軸不正に関する調査と違って、今一つ国交省もやっつけ仕事になってる感じ。