新制度下で初のスピンオフ上場 カーブスHD コシダカHD

親会社と資本関係のない独立した会社にする、スピンオフという仕組みを使った初の新規上場が行われました。親会社はコシダカHD。独立して上場にこぎつけたのがカーブスHDです。2017年に税制改正が行われ、スピンオフ税制が導入されましたが、カーブスHDはこの新税制で誕生した第1号案件です。

初値は公開価格割れ

残念ながら初値は670円。公開価格を80円下回りました。新規公開株の初値割れは12銘柄ぶりとのこと。しかし、上場日の環境が悪すぎましたね。マーケット全体がどこまで下げるやら、、、という環境に加え、新型コロナウィルスの感染がスポーツクラブ経由で、なんて話題もあるくらいですし。あっ、カーブスHDはフィットネス事業を手掛ける会社です。

日経ではスピンオフ前のコシダカHDの時価総額が1173億円、スピンオフ後の両社の時価総額が、コシダカHDが454億円、カーブスHDが576億円と伝えています。143億円目減りしてますね。ただ、時価総額の比較時点で日経平均は1000円下落してますから、、まだなんとも。

さらに翌日にはカーブスHDは100円高となっており、時価総額は660億円を回復してきています。コシダカHDの方は少し下げてますが。とにかく相場が荒れていますので、目先の動きは気にせず、もう少し様子を見てみましょう。

スピンオフのすすめ

スピンオフは子会社や特定の事業を本体と資本関係のない独立した会社にする会社分割の手法。経営判断が早くなるでしょうし、経営資源を自社に集中できるのも魅力です。ソフトバンクがよく言われる、コングロマリットディスカウントの解消にも効果あり。

多角化を進めてきた日本企業は様々な事業を抱え、このことが各事業の競争力を阻害してきたという一面があります。日立や東芝が今まさに取り組んでいるように、政府としても事業再編を促しているという背景があるんですね。今回のカーブスHDの事例が成功すると、スピンオフによる事業再編が脚光を浴びる可能性がある。。。ということで注目です。

前田道路 NIPPOと資本提携 前田建設のTOB

前田建設工業から敵対的TOB(株式公開買い付け)を仕掛けられている前田道路。従来の2020年3月期計画の6倍に相当する535億円の特別配当実施のニュースが今月21日。さらに、今度は27日、同業のNIPPOと資本・業務提携の協議を始めると発表しました。

NIPPOとの提携

最初にこのニュースを見た時、「またずいぶんふざけたことやるもんだなぁ」というのが第一印象でした。当ブログでも過去に取り上げました、道路舗装用アスファルト合材カルテルの仲間同士です。

アスファルト合材の価格を不正に引き上げるカルテルを結んでいた9社。公正取引委員会は、独占禁止法違反(不当な取引制限)で、過去最高となる総額399億円の課徴金納付を命じましたが、その道路舗装大手9社のうちの1社が前田道路。そしてもう1社がNIPPOです。NIPPOはカルテルには加わっていましたが、違反を自己申告したようで、処分は免除されています。

業界1位のNIPPOと2位の前田道路の提携ですので、独占禁止法に抵触する可能性に言及しているメディアが多いようですが、公正取引委員会はどう判断するんでしょうか。わずか半年ほど前に処分したばかりですからね。この「カルテル組んでた2社が」という感情的なものもあるでしょうし。

前田道路の言い分

とまぁ、良いイメージのない前田道路だったんですが、同社のTOBに対する反対意見表明のお知らせや、特別配当のお知らせの中での主張は、至極真っ当なものですね。

前田建設は前田道路が抱える内部留保を狙って子会社化を企んでいるが、内部留保は株主全員の利益であり、前田建設だけに提供されるものではない。よって当該内部留保を特別配当と言いう形で株主全員に還元する。そんな感じです。

特別配当は前田建設にも支払われるわけですから、これはこれで前田建設にとっても良い話かもしれません。ということですが、このまま手打ちになるかというと、、、まだ続きがありそうです。

楽天に緊急停止命令 公正取引委員会

「楽天市場」で一定額以上の購入代金を「送料込み」と表示する方針、出店者に不利益を与える恐れがあるとして、公正取引委員会は28日、楽天に対し緊急停止命令を出すよう東京地裁に申し立てました。「送料込み」であっても、やはり独占禁止法に抵触するとの判断です。

適切な判断

公取委による緊急停止命令の申し立ては2004年以来だそうです。緊急停止命令は独占禁止法で規定されていて、同法違反が疑われる行為を一時的に取りやめさせる措置です。排除措置命令よりも緊急性が高く、公取委の申し立てに対し裁判所が命令を出すかどうか決めることになります。

全てはアマゾンとの競合なんですね。送料無料がアマゾンの強みだといわれています。アマゾンは長い間自前の物流網を整備してきました。そのため長期間赤字を垂れ流してきたんですね。一方の楽天は物流に関しては出店者に委ねることで事業の立ち上がりのスピードを重視してきたんだと思います。

そして、ここにきて自前の物流網で送料をアマゾンが負担するビジネスモデルのメリットである送料無料を打ち出そうとしたわけです。しかし、楽天の取った手段は、自ら赤字を垂れ流しても、、、ではなく、出店者側に負担をかけるという発想です。これはやはり違うんじゃないかな。公取委の判断は適切だと思います。

オリジナリティが

公取委の申し立てを受けてもなお、楽天は、「法令上の問題はないと考えている。公取委には理解を得るべく全面的に協力する」とコメントを出していますが。アマゾンと同様に送料無料に、、、という発想。何より一番気になるのは、楽天のオリジナリティがなくなってしまったことではないでしょうか。

もう一度原点に返った方が良いのでは?アマゾンの顧客は商品の購入者ですが、楽天の顧客は出店者です。そもそもビジネスモデルが違うわけですから、そのオリジナリティを強みに変える変革が必要なはず。

積水ハウス 元会長が株主提案(その2)

積水ハウスの元会長が、4月の株主総会で株主提案という形で現経営陣との戦いに挑むことになった件、当ブログでも以前取り上げました(この記事、先に読んでいただいた方が良いかも)。その時は五反田の地面師事件のおさらいが中心になってしまいましたので、今日はもう少し深掘りしておきます。

Save Sekisui House

という名前のサイトがあります。このとおりにググってもらうとすぐに出てきます。「本ウェブサイトの目的」には、次のように書かれています。

本ウェブサイトでは、積水ハウスの一部取締役に対する地面師事件及びその後の情報隠蔽の責任を追及する株主代表訴訟に関して、情報を随時更新しておりますので、頻繁に本ウェブサイトを確認されることを推奨致します。

引用した上記文章の手前には、情報提供も歓迎すると書いてあり、元会長が情報収集するために設置したサイトではないかとの見方もあるようです。

和田元会長の追放劇

2018年1月の積水ハウス取締役会。和田会長(当時)は取締役会前夜に賛同する取締役たちと、地面師事件で取引を承認した阿部社長(当時)解任動議に賛成する打ち合わせまでしていたといいます。社長解任は決定的と言っていい状況でしたが、翌日の取締役会では、和田派の取締役2名が阿部社長側に寝返ってしまいます。で、5対5の賛否同数で社長解任動議は否決されます。

その直後、逆に阿部社長が議長を稲垣副社長に交代させる動議を出し、6対5で可決(一人増えてるのは、退席していた阿部社長が戻ってきたため)。続いて和田会長の解任動議が出され、、、この時点で議長が和田会長に自発的な退任を促し、辞任に追い込まれたそうです。(以上、週刊東洋経済2019年10月19日号から引用させていただきました。)

どうでしょう、この展開。後に映画にでもなればかなり面白そうです。このような追放劇で葬られた元会長が、4月下旬に予定される株主総会に挑むわけです。しかし恐ろしい展開ですね。こんな取締役会出たくありません。

顧客本位の業務運営と金融商品販売ルールの規制緩和(その2)

昨日はここ最近行われてきた金融商品取引業者に対する2つの規制、「契約締結前交付書面」と「高齢顧客への勧誘による販売に係るガイドライン」について書きました。そして今日は3つ目の規制である「顧客本位の業務運営」です。この原則は非常にインパクト大でした。

顧客本位の業務運営

最も大きな変化をもたらした規制(と呼ぶべきではないかもしれませんが)が「顧客本位の業務運営」です。当初は「フィデューシャリー・デューティー(FD)」という言葉で導入され、業界としてうまく消化できずに、かなり混乱しました。

行為規制(ルール)として細かく明文化されるのではなく、あるべき姿、考え方だけが示されて、それを実現するための勧誘や販売、アフターフォローなどの具体的な対応方法は自分たちで考えなさい、、、って感じですから。

フィデューシャリー・デューティーは、後に顧客本位の業務運営と呼ばれるようになります。業界全体で顧客本位の業務運営を考え、対応していく過程で、最も大きな変化が現れたのが投資信託の保有期間の長期化でしょう。短期の売却・乗換が顧客のためにならない。顧客にとっての運用コストが当たり前に意識されるようになりました。やっとのことですが。

次に起きた同様の変化が、投資信託の各種手数料の低下です。当初買い付け時の手数料もそうですし、毎年ファンドから差し引かれる信託報酬にも低下の波が及んできています。そして、さらに今では株式売買における委託手数料にまで、無料化が進み始めています。

すべては資産運用を拡大するため

こうして振り返ってみると、顧客本位の業務運営という根本的な考え方(プリンシプル)が業界に浸透してきたおかげで、ルールベースの「契約締結前交付書面」や「高齢者ルール」という過去の2つの規制を緩和できる余地が生まれてきたように思われます。

どの規制も資産運用を日本で定着させることが、最終目的だったわけですから、業界として正しい方向へ進んでいく限り、過去に作られた細かな行為規制は次第に緩和されていくんでしょう。