曙ブレーキ工業 検査不正(その3)

曙ブレーキ工業は4/9、検査データの改ざん問題で品質管理の国際認証の一部が取り消されたと発表しました。国内の6工場のうち4工場が品質管理の再発防止策が不十分と判断されたとのこと。取り消されたのは、ロイド レジスター クオリティ アシュアランス リミテッド社による「IATF16949」と呼ばれる認証です。

おさらい

ブレーキの世界大手、曙ブレーキ工業は2/16、ブレーキやその部品で検査データの改ざんなど、約11万4000件の不正があったことを公表しました。日常検査とは別に、顧客から指定された検査項目に関して行う定期的な検査で不正が起きていました。

この不正は2001年1月から行われていて、定期報告データ総件数19万件に対して、11万件が不正なデータとなっていました。曙ブレーキ山形製造における不正を新経営陣が認識して以降、1年以上公表を避けており、同社の開示に対する姿勢も問題でした。

認証取り消し

ロイド レジスター社による認証取り消しは、曙ブレーキ山形製造(株)、曙ブレーキ福島製造、曙ブレーキ岩槻製造(株)、曙ブレーキ山陽製造(株) の4拠点ということです。これら拠点でのIATF16949の認証が取り消されたという事実だけを開示したわけです。

適時開示というのは、株主や投資家が投資に関して参考となる情報を得るためのものです。この認証がどういうもので、取り消されたことで同社の事業にどういうことが起きる可能性があるのか。投資家の目線で説明する必要があるのでは?と思います。

日経が取り上げた記事では、「自動車メーカーと『新たに』取引する際、部品の受注ができなくなる恐れがある。」と書かれていました。対して曙ブレーキは、「一部の認証が取り消されても部品の品質に問題はなく、自動車メーカーとの『既存の』契約が打ち切られることはない」とも。開示ではこういうことを説明せずに、メディアの取材に対しては回答するという姿勢。どうなんでしょう。

ダイキョーニシカワ(4246) 連結子会社エイエフティーの工場火災

ダイキョーニシカワは4/8、「当社関係会社火災に係る業績への影響額及び業績予想の修正に関するお知らせ」を公表しました。昨年11/16に発生した同社連結子会社エイエフティー株式会社(滋賀県蒲生郡竜王町)における火災の、今期決算に与える影響についての開示です。

決算への影響

結論からいうと、火災事故に起因する特別損失は受取保険金でほぼ相殺できるようで、その他の原価低減、固定費低減活動などにより、営業利益、経常利益ともに、前回予想を大きく上回る見込みになったようです。

エイエフティーの火災

ダイキョーニシカワの開示ではエイエフティーを関連会社と呼んでいるんですが、出資比率は65%。有価証券報告書では連結子会社という整理になっています。これはちょっと謎。

火災は、第1工場 第1塗装ラインで発生し、人的被害はなかったものの、塗装ライン(約1,400㎡)が焼失したそうです。出火原因については継続調査中としています。この火災により、35%出資しているダイハツの2工場が、部品欠品のため11/16~11/29まで生産停止となりました。

樹脂部品を提供

エイエフティーが製造した樹脂部品をダイキョーニシカワがダイハツ等の完成車メーカーに納入しているようです。ホームページで見ると、「高熱と振動に絶えずさらされるエンジンルーム。従来樹脂化が難しかった部品にも、厳しいテストをクリアした私たちの製品が採用されています。」なんて書かれてました。

東洋紡が安全認証不正取得していた樹脂製品も耐熱性に関する認証を取り消されてましたね。上記のような用途で使われていて、耐熱性に問題あり、みたいなことになると困った話です。話が脱線してしまいましたが、、、。

ソウルドアウト(6553) 略式起訴(罰金)

昨年7月、福岡営業所の従業員2名が医薬品医療機器法違反(未承認医薬品の広告禁止)の疑いで逮捕されたソウルドアウト。3/31、同従業員1名と同社が薬機法違反として略式起訴(罰金)とされたことを公表しました。もう一人の従業員は不起訴処分です。

事件の概要

医薬品ではない健康食品(ステラ漢方社のサプリメント「肝パワーEプラス」)について、記事形式のインターネット広告で効能効果を宣伝したという事件。第三者の体験談を装った記事風の広告で、「肝臓疾患に対する予防効果がある」などと医薬品的効果を表示していました。

略式起訴とは

検察が裁判官に対し「この被疑者を裁判にかけて判決を下して下さい」と申し立てることを起訴といいます。略式起訴は「この被疑者は罪を認めているので、どれほどの罰金に処せば良いのかを決めて下さい」と申し立てること。つまり裁判は行われません。略式起訴は100万円以下の罰金・科料に相当する事件であることが要件です。

まったく開示せず

ソウルドアウトは昨年7/21に第一報を開示して以降、略式起訴になった3/31の開示までの間、まったく開示をしていません。それどころか、第一報は「当社従業員に関する報道について」というタイトルで、関西テレビの報道が事実であることを認めただけ。

結局最後まで、同社従業員がどのような犯罪を犯したのか、具体的な内容にはまったく開示していないんですね。今回の開示では再発防止策を載せていますが、発生した犯罪の内容も開示せず、再発防止策を公表されてもねぇ。

なお、同社が行った調査によると、「事件に関与した従業員2名以外の当社役職員が、本件に関与した事実は認められておりません」。だそうです。

UL認証とは 東洋紡、京セラの安全認証不正取得・・・Underwriters Laboratories

東洋紡に続き京セラでも、米国の安全認証の不正取得が発覚しました。当ブログでもこれらを取り上げてきましたが、この米国のUL認証なるもの。いまいちピンときません。せっかく東洋紡、京セラの記事を書きましたので、UL認証についても素人なりに書いてみます。

Underwriters Laboratories

Underwriters Laboratoriesは米国イリノイ州を本拠とする、試験、検査、認証を行う企業です。120年間にわたり発展してきた、世界的な第三者安全科学機関。政府機関かとも思いましたが、そうではないらしいです。行政上の権限も持ちませんし、政府当局の支配も受けません。

製造者がULから試験や安全認証を自社製品に受けるのは、あくまで任意。ULの認証を受けてULマークを使用しなければならない、と明記した国としての法律もないそうです。

なぜ必要

米国では多くの自治体がその地域内で製品を販売する前に、認可されている試験所による製品の検査を求めています。多くの企業が自社製品にUL認証を取得する目的は、現地で製品が拒絶される可能性を最小限にするためだそうです。

米国最古の安全規格開発機関として対象を拡大してきており、今では自治体などから公的な認証として扱われているようです。任意の認証制度とはいうものの、米国向けに輸出される原料や製品を製造販売する企業はULの認可を不可欠のものと考えているようですね。

米国向けの輸出には不可欠となっている安全認証。これを不正に取得していたのが東洋紡、京セラです。それもかなり昔から。日本が大きく成長したのは米国への輸出を伸ばした時代でした。その当時に不正取得していたのはこの2社だけ、と考える方が無理があるように思います。

マネーフォワード Retty 債権取り立て不能の恐れ 「ジンユウ」破産で

マネーフォワードとRettyは4/2、債権の取立不能のおそれがあることを公表しました。飲食店向けスタートアップである「ジンユウ」が3/31、東京地裁に破産を申請し、同日破産開始決定を受けたことによるものです。同社に対する債権につき、取立不能の可能性が出ているということですね。

ジンユウ

2015年に設立されたスタートアップ。飲食店向け仕入サイト「KITCHEN BROTHERS」を運営する。所在地は港区虎ノ門、資本金107百万円の会社です。小規模の飲食業者を対象に、サイト上で食材発注サービスなどを展開していたようです。これ以上は分からなくて、同サイトを訪ねてみましたが、「Server Error」。サイトも閉鎖されてしまったようです。

マネーフォワード

家計簿アプリのマネーフォワードでは、同社の連結子会社がジンユウに対する債権をもっていて、金額は50百万円だそうです。が、この債権については、保証機関、保険会社との契約に基づき保険で保全されているとのこと。実質的な負担は5百万円で済むようです。

Retty

Rettyのジンユウに対する債権は約55百万円となっていますが、こちらは保険等の情報はありません。取立不能見込み額については、その全額を貸倒引当金繰入額に計上する予定としています。

Rettyは昨年末からジンユウに対する出資を検討していたようで、上記の貸付も運転資金の補填として2月~3月に行われています。その後、買収監査(デューデリジェンス)の過程で、同社の提出した業績実績に虚偽の報告があったため、出資検討を中止したという経緯があったようです。

何かとよい面ばかり取り上げられるスタートアップですが、こういうこともあるんですね。出資が実現していたら、もっと被害が大きくなっていたと思われます。虚偽が見抜けて良かったです。