戸田建設 洋上風力発電で浮体構造部に不具合

戸田建設は9/22、「五島市沖洋上風力発電事業の運転開始時期の延期について」を公表しました。地上で製作中の2基に不具合が発見されたことを5月に公表していましたが、この影響で浮体式の洋上風力発電所の運転開始時期が大幅に後ずれするということです。

戸田建設

戸田建設は建設事業および不動産事業などを手掛ける総合建設業(ゼネコン)の準大手。東証プライム上場企業です。長崎県五島市崎山漁港の沖合において、2016年3月に国内初となる浮体式洋上風力発電設備を実用化し、商用運転を継続しています。

運転開始時期

現在建設中の風力発電所において、海上設置前の2機の浮体構造部に不具合が見つかりました(公表は5/9)。その後原因究明および対策工法の検討を実施し、地上にて2基の不具合の是正措置および建設工事の再開を実施しているといいます。

しかしながら、今回の開示によると、当初2024年1月を予定していた運転開始時期が、2026年1月へと延期することになりました。不具合の改善について4ヶ月ほどでめどを立ててる割に、運転開始時期が2年も遅れてしまうんですね。

2023年中に完成の予定が、不具合を受け工期延長。2024年問題の影響をもろに受けることになるため大幅な遅延となる、、、みたいな事情でもあるんでしょうか。建設業界ここんとこおかしなことが続いてるだけに、、、そこんとこ気になります。

株式会社エージェント 決算延期 従業員の不正行為

株式会社エージェントは9/14、「2024 年1月期中間決算発表の延期および調査委員会設置のお知らせ」を公表しました。で、早速同社がどういう会社か調べようとしたんですが、株探やらなんやらいろいろ調べてみても該当銘柄なし。はっ?なにこれ。

株式会社エージェント

株式会社エージェントは、社会の「困った」を解決する「次世代のエージェントになる」ことをヴィジョンとして掲げ、世の中に存在する様々なマンパワーをネットワークして企業の課題解決に繋げていく「総合人材サービス事業」を展開する企業だそう。なんと、TOKYO PRO Market上場企業でした。株主は2法人だけ。流通株式はゼロという会社です。当然取引所での取引も成立しません。

不正行為

開示では2024年1月期中間決算発表を行うべく、準備を進めていましたが、その過程の中で、同社社員による不適切な取引の疑いおよび不正行為の疑いを認識したとのこと。社内で調査を進めてきましたが、より独立性の高い調査が必要であると考えられるため、調査委員会を設置することにしたということです。

適時開示された情報は以上なんですが、そもそも一般株主はいないし、一般投資家にとって投資対象にもならないわけですが、しっかり適時開示し社外調査委員会も。ルール通り開示して隠しごとをしない、不正は徹底的に調査する。一般株主を多数抱える企業には見習ってほしいね。

日本ゼオン 子会社元社長が贈賄容疑で逮捕

日本ゼオンは9/21、「当社グループ企業の前社長の逮捕について」を公表しました。国立がん研究センター東病院で使用する医療機器を巡り、業者側に便宜を図る見返りに現金約170万円を受け取ったとして、元医長が収賄容疑で逮捕された件です。適時開示はされていません。

ゼオンメディカル

同事件で贈賄の容疑で逮捕されたのが、日本ゼオンの子会社で、医療機器を製造・販売するゼオンメディカルの元社長。同社は、合成ゴムの大手メーカーで、特殊ゴムでは世界トップシェアを持つ東証プライム上場企業、日本ゼオンの子会社です。

事件の概要

同病院で使用する胆管用の医療機器を巡り、2020年度中にゼオンメディカルが販売する製品を他社より優先して使用するなどし、謝礼などとして21年5月ごろに現金約170万円を受け取った疑いだそう。

発覚の経緯

日本ゼオンのホームページでのお知らせによると、「ゼオンメディカル株式会社では、医療機関等に対する不適切な金銭の提供の疑いを内部で把握した後、外部の法律事務所の支援を得た社内調査を実施し、その結果を踏まえ、医療機器業公正取引協議会に報告するとともに、警察にも相談し全面的に捜査に協力してまいりました。」ということらしいです。自主申告ってこと?

とまぁ、ここまでは良かったんだけど、その後、「自社製品の調査協力への謝礼として医師に金銭を支払うスキームは、贈賄側のゼオンメディカルが発案しており、会社ぐるみで賄賂の提供が行われていたとみられる」、、、なんて報道も出てきています。

ビジョナリー(メガネスーパー) 再び監理銘柄(確認中)に指定

少し前になりますが、ビジョナリーホールディングスは9/13、「2024 年4月期第1四半期報告書の提出遅延並びに当社株式の監理銘柄(確認中)指定の見込みに関するお知らせ」を公表しました。実際に同日、東証は同社を監理銘柄(確認中)に指定しています。

上場廃止までの猶予期間

先日も取り上げたように、同社は取締役の不正への対応でバタバタし、8/30にやっと、遅れていた2023年4月期有価証券報告書の提出を完了。監理銘柄(確認中)の指定が解除され、特設注意市場銘柄の指定を受けて、上場廃止までの猶予期間が今後1年間に伸びたところでした。

ところがホッとしたのも束の間、今度は2024年4月期第1四半期報告書の提出が、期限の9/14までに提出できないことになりました。そのため、再び監理銘柄(確認中)に指定されたということです。10/16までに四半期報告書が提出できなければ、上場廃止となります。つまり、1年後とされていた上場廃止までの猶予期間が再度1ヶ月になってしまったということ。

遅延の理由

四半期報告書提出の遅延の理由は、「9月に入ってから実施されている監査法人間の引継ぎ及び2024年4月期第1四半期レビューにも相応の時間を要することが見込まれるため」としています。同社は監査法人が交代したんですね。しかし、大丈夫。新しい監査法人は不可能を可能に変える監査法人なので。

アマナ(amana) 事業再生ADRを申請・受理

広告制作などを手掛けるアマナは9/20、私的整理の一種である事業再生ADR(裁判以外の紛争解決)の利用を事業再生実務家協会に申請し、受理されたと発表しました。不適切会計が行われていた事や内部管理態勢などが不十分として、東証から特設注意市場銘柄の指定を受けていました。

事業再生ADR

事業再生ADRとは、経営が傾いて資金繰りに行き詰まった企業が、公平な第三者機関を挟んで債権者と協議し、事業再生を目指す方法のこと。当該機関への申請が受理されました、という開示ですね。

受理したのは第三者機関ですから、このあと第三者機関を挟んで、債権者に「返済を一時停止・免除して貰えないか」をお願いすることになります。開示では取引金融機関との第1回債権者会議を9/29に開催する予定としています。ここが第一関門。

上場廃止

事業再生ADRを申請し、そのもとで事業再生することになったからといって、即上場廃止となるわけではありません。しかし、そもそも東証からは期限を切って上場廃止の猶予期間を宣告されてますし、株価の時価総額が10億円以下になった場合などでも上場廃止となってしまいます。

高い技術力や生産設備などを持っている企業であれば、強力なスポンサーが現れて、一気に再生へってケースもありますが、この会社の場合はどうなんでしょう。今回の開示、上場廃止へのカウントダウンが止まったわけではありません。