中小企業庁 下請法に関する調査結果を誤通知

中小企業庁は1/18、「『令和5年度下請事業者との取引に関する調査』の結果に関する通知文書の記載の誤りについて」を公表しました。問題のなかった親事業者7,806社に対しても「下請法の違反のおそれがある」と誤った調査結果を通知していたということです。

下請法に関する調査

この調査、調査対象は大企業や中堅企業など5万5,000社で、下請け企業との取引が適正にされているか調べる目的で行われました。回答内容に基づき、下請法の対象となる取引を行う事業者において下請法違反のおそれが無いか判定を行い、違反のおそれが見受けられた事業者に対し、自主的な点検・改善等の取組を促す通知文書の交付を1月10日付で開始しています。

当初、10,923の事業者に対して通知を行いましたが、違反のおそれを判定する論理構成(判定ロジック)の一部に誤りがあったことから、7,806の事業者に対する通知で、一部項目で違反の恐れがないにも関わらず、違反のおそれがあると記載していました。

違反の恐れあり、の判定はなんと全体の8割近く。対象事業者が通知文書を閲覧するシステムを1月12日に一時停止し、再度、判定ロジックを全て見直したといいます。ということで、実際には3,100件ほどの事業者に違反の恐れありというお話だったんですね。

そもそも、「違反の恐れ」を機械的に指摘するレベルの通知だったので、大きな問題にはなっていないようですが、マイナカード同様、基本的なミスが多過ぎなんですよ。判定ロジックなるものの構築をどこが(民間企業が絡んでいるのかも含めて)行ったのかは公表されていません。

国土交通省 ダイハツの安全軽視に厳罰 3車種の「型式指定」取り消し

国土交通省は1/16、「ダイハツ工業の不正事案に関する国土交通省の対応について」を公表しました。同省は昨年12/21から1/9まで、ダイハツ工業に対する立入検査を行い、事実関係の確認、精査を行ってきました。その結果と処分に関する公表ですね。

検査の結果

検査の結果、ダイハツ工業から報告があった142件の不正行為の事実を認定するとともに、新たに14件の不正行為(試験車両に不適切な加工を行う不正行為(9件)、規定と異なる試験装置を使用する不正行為(5件))を確認したということです。合計46車種156件に拡大しましたね。

特に悪質な不正行為が行われたと認められる以下の3車種について、型式指定を取消すこととし、関係法令の規定に基づく手続きを開始したとのこと。ダイハツ・グランマックス、トヨタ・タウンエース、マツダ・ボンゴ(いずれもトラックタイプのみ)。

さらに、基準不適合の可能性がある2車種(ダイハツ・キャスト、トヨタ・ピクシスジョイ)のリコール届出の指導をしたとしています。両車種は側面衝突時にドアロックが自動解除されず、法規に適合していないんだそう。

今回の処分等についてはあくまで立ち入り検査の結果に基づくもの。別途行うとしていた現行生産車の基準適合性についての技術検証(実際の衝突試験など)の結果次第では、型式指定の取消はさらに拡大する可能性がある、、、という理解で良いんだろうか。

パナソニック ホールディングス子会社 電子材料で認証不正 外部調査委員会を設置

パナソニック ホールディングスは1/12、「当社電子材料製品における第三者認証に関する不正行為および外部調査委員会の設置について」を公表しました。適時開示はなく、同社ホームページでの公表です。

パナソニック インダストリー

パナソニックは映像・音響機器、白物家電、住設機器、住宅事業など幅広い事業を手掛けている日本を代表する総合家電メーカー。半導体などの電子部品、FA関連など企業向けのビジネスも展開する東証プライム上場企業です。昔の松下電産ですね。

不正の舞台となったのは100%子会社のパナソニックインダストリー。上場企業ではありませんが、従業員数42,000人と立派な上場企業サイズの会社です。

不正の概要

電子材料事業部が製造・販売する成形材料、封止材料および電子回路基板材料の52品番において、米国の第三者安全科学機関であるUL Solutionsの認証登録等の際、複数の不正行為を行っていたということです。最近他社で何度も見てきた不正のパターンですね。

認証時と異なる配合の製品、認証登録時のデータ改ざんなど、ここ最近樹脂メーカーがやってた不正とほとんど同じです。現時点で分かっている当該不正を行っていた工場も海外も含めて多数。会社ぐるみで続けてきた不正と言わざるをえません。外部調査委員会を設置して調査を行います。

JAL(日本航空) 新社長にたたき上げのCAさん 鳥取三津子氏

JAL(日本航空)は1/17、「2024 年4月1日以降の社長の交代等について」を公表しました。なんと新社長は元CAさん。元旦に発生した日航機事故で、約400名の乗客を誘導、救出したお手柄のCAさんでしたが、そのCA出身の女性が新社長です。

事故の直後だけに

顧客全員が生還したという奇跡の直後だけに、この社長人事はインパクト大ですね。JALがそういうことを企図したと勘ぐるのはやめておきましょう。ただ、顧客の命を守る最後の砦がCAであること。そして航空会社にとっては最も近くで顧客と接するCAこそが最重要職なのかもしれません。そう考えるとCA経験者がトップに就くというのは納得感があります。

CA一筋

新社長の略歴をみると、1985年にJALに入社。マネジャーに昇進されたのが2005年となっていますので、おそらく20年間一線のCAとして活躍されたようです。当時の男社会では、入社から10年~15年で初マネジャーって感じでしたから、女性というだけでかなり苦労されたんでしょうね。

その後はダイバーシティやらなんやらで女性に対する社会の対応も変わってきました。2020年には執行役員、今年4月には専務に昇格されています。そして、まさにたたき上げのCAさんが社長就任です。顧客の目線を一番理解する元CA、社内に与えるインパクトも大きいでしょう。いやぁ、期待したいですね。

スターゼン 従業員による循環取引 調査結果

スターゼンは1/15、「特別調査委員会の調査結果報告書受領に関するお知らせ」を公表しました。スターゼンはマクドナルドにハンバーガーパティも提供する、食肉の処理加工、製造、販売まで一貫して手掛ける食肉専門商社です。

循環取引

調査の対象となっていた架空循環取引は、どうやら一従業員による行為だったということのようです。2019年3月期から23年4~9月期までの売上高で計5億8,200万円、売上総利益で計2億3,400万円かさ上げされていたということです。

発生原因

この手の不正は、その業務に従事する従業員が業務を任せられ、長期間異動なく従事していたために発生してしまった、というのが定番。同社も同様で、行為を行った従業員はスターゼンに新卒採用として入社以来、2023年11月6日まで一貫して不正の起きた拠点にて稼働していたとのこと。

まぁ、こういう環境で上席者(管理するべき立場の者)がしっかりしていないと、拠点の成績を維持し、または向上させるためにこんな不正が起きるわけです。

スターゼンでは、2018 年頃、伝票の先送り事案や架空伝票発行等の不祥事が複数発生したことを受け、営業担当と取引先が長年にわたり固定されていることによる癒着等を解消するためのジョブローテーションが取り入れられていたそう。にもかかわらず、なぜ今回の事案が起きたのか。形だけは作ったけど、実効性がなかった?。これまたよくある話です。