従業員が本業の損失を不正により補填する時

先日、当ブログで取り上げたNTP名古屋トヨペットで発生した従業員による不正行為の事件。同社からの開示情報が少ない中、日経では「一部は自身の口座にも振り込ませていたといい、勤務先で自身が生じさせた未回収金を穴埋めしようとした」と報じられていました。

ちょっと気になった動機

従業員が不正を働き資金を得る際のもっとも一般的な動機は、遊ぶ金が欲しい、抱えてしまった借金をどうにかしたいから、というもの。ギャンブルや主に異性を対象とした交遊(風俗やね)のためにお金が必要だったから、という理由がほとんどです。

しかし、今回のNTP名古屋トヨペットの事件では、「一部は自身の口座にも振り込ませていたといい、勤務先で自身が生じさせた未回収金を穴埋めしようとした」とされており、多くの不正の動機とはちょっと違う感じです。もっとも、「一部」という表現で限定しているので、その他はギャンブル等に費消されていた可能性はありますが。

自身が生じさせた未回収金を穴埋め

本業で出してしまった損失を他のところで不正にお金を得て補填するという行為の裏にどのような状況があったんでしょうね。正規の業務で失敗して会社に損失を出させてしまう。どんな会社でもありうることです。

それを不正(犯罪)を犯してまで埋め合わせなければならないというプレッシャー。なにがなんでも会社の利益を上げ続けなければならないという雰囲気やそれを醸成する態勢やカルチャー。ここにメスを入れておかないといけません。くれぐれも行為者だけを処分して終わり、なんてことのないよう。

JFE 子会社JFEスチール東日本製鉄所(千葉市)で工場火災

千葉日報によると、24日午前10時10分ごろ、千葉市中央区川崎町のJFEスチール東日本製鉄所千葉地区東工場のコークス工場で、集塵機設備が火元となり火災が発生したということです。この工場火災、不思議なほどメディアでは全然取り上げられていません。

JFEホールディングス

JFEホールディングスは、鉄鉱石を原料として鉄鋼製品を生産する大手高炉メーカー。2002年、日本鋼管(NKK)と川崎製鉄の経営統合により発足。粗鋼生産量は日本製鉄に次ぐ国内第2位。自動車用鋼板など高級鋼材に強みを持っています。もちろん東証プライム上場企業です。JFEスチールは同社の子会社。

火災の概要

残念ながら火災については冒頭に書いたことしかわかりません。千葉日報が唯一報道していますが、記事の途中から会員しか閲覧できないので。

この会社ヤバい

今回起きた火災以外にもかなりたくさんの事故を起こしている企業ですね。主なものだけでも
2024年3月 同工場で火災発生
2024年2月 従業員が高所から転落死亡する事故が発生
2023年9月 工場内で溶けた鉄が漏出する事故。

これらはいずれも同じ工場です。さらに、他のグループ企業まで入れて時代を遡ると、バンバン出てきます。2012年には事故が多すぎるとして、千葉県と市による立ち入り調査も受けています。残念ながら、その後もまるで改善してないってことですね。

マルサンアイ 毎日おいしい無調整豆乳の一部にて自主回収実施

マルサンアイ株式会社は8/21、「商品回収に関するお詫びとお知らせ」を公表しました。同社商品「毎日おいしい無調整豆乳 1000ml」の一部にて、凝固や分離、酸味といった内容液の変質が確認されたということです。現時点で健康被害は確認されていないとのこと。

マルサンアイ

マルサンアイは豆乳飲料を主力に、みそ、飲料類などを手掛ける企業。こだわりを持った商品開発で豆乳、みそで大手の一角へと成長。中国、タイにも進出している名古屋証券取引所メイン市場上場企業です。

自主回収

「凝固や分離、酸味といった内容液の変質」というのがよくわかりませんが、発生原因は殺菌工程以降のラインで漏れがあり、外気を吸引したことにより無菌性が崩れたものと判断しているとのこと。回収対象数は合計 約10万個(約17,000ケース)だそうです。

この製品は自社工場ではなく、熊本県果実農業協同組合連合会熊本工場ってところで製造されているんですね。全国に工場を持っているわけではないので製造を委託しているってことでしょうか。これって本当のところ、責任はどちらにあるんでしょう。公表資料では製造者の責任には一切触れていません。

ちなみに、調べていたら同社では、昨年2月、10月にも品質問題による商品回収が発生しています。発生原因はほぼ一緒で、うち1件の製造者は熊本県果実農業協同組合連合会白州工場(山梨県)となっていました。マルサンアイの委託先管理は問題ですが、この熊本県果実農業協同組合連合会ってどうなんでしょう。

NTP名古屋トヨペット 車の架空取引で元従業員が逮捕

NTP名古屋トヨペットは8/20、「当社 元従業員の詐欺容疑での逮捕について」を公表しました。元従業員は、付き合いのあった自動車販売会社社長に、架空の取引を持ちかけ現金をだまし取った可能性があるとして詐欺の容疑にて逮捕されました。

NTP名古屋トヨペット

NTP名古屋トヨペットは、愛知県を主な販売エリアとする、トヨタ自動車の正規ディーラーです。2020年からはトヨタ車全車種を取り扱っています。同社は上場企業ではありませんが、トヨタグループということで取り上げました。

不正の概要

当該元従業員(当時は課長)は、業者やその代表者個人に対して、取引に介在することで利益が得られるとして、実体のない取引について送金額や送金先を提案するなどして業者間の金銭の振込行為に関わっていたといいます。

名古屋市緑区にある自動車販売会社に対し、自動車売買の仲介を持ちかけ、車の仕入れ代金を立て替えれば約1割上乗せした額が口座に振り込まれるなどとうそを言って、約9900万円をだまし取ったというのが逮捕容疑。

このような手口で約2年間で十数社と約500回の架空取引を繰り返し、これらの取引による被害総額は14億5千万円になるということです。容疑者はだまし取った金の一部を自身の口座に振り込み、正規営業で出した損失を補てんするなどしていたとみられるとのこと。この動機、考えようによってはかなり怖い。

川崎重工業 今度は船舶用エンジンで検査データ改ざん

川崎重工は8/21、「舶用エンジンにおける検査不正について」を公表しました。またまた川崎重工です。先日、「不正のデパート化」という表現でこの会社の状況を書きましたが、間髪入れずに今度は、船舶用エンジンの検査でデータを書き換える不正が出てきました。

船舶用エンジンの検査不正

船舶用エンジンの検査不正は、今年4月に IHI 連結子会社のIHI原動機で燃料消費率の測定データを改ざんしていたという事案が発覚。続いて7月には日立造船子会社でも同様に、船舶用エンジンの燃費データ改ざんという事案が発生していました。

これを受け、国土交通省は船舶用エンジンを対象とした「NOx 放出量確認試験における不正行為の有無等に係る実態調査」という要請を行いました。その要請を受けた調査で、川重でもNOx 放出量確認試験を含む工場試運転における検査不正が確認されたという経緯です。

2000年以降に建造され、船舶に採用された同社製のNOx規制対象エンジン674台を社内調査したところ、商船向け2 ストロークエンジン673台でデータの書き換えが確認されたということです。2 ストロークエンジンに関しては100%改ざんしていたというありさま(問題なかった1件は4 ストロークエンジン)。

(再掲)川崎重工の不正一覧

・ 2017年 川崎重工製の新幹線台車が規格に沿わない製造により亀裂が発生
・ 2022年 子会社の川重冷熱工業の空調システムに使う機械で検査成績の虚偽報告
・ 2024年 取引先との架空取引で裏金を捻出し海上自衛隊の潜水艦乗組員への金品供与
・ 2024年 船舶用2 ストロークエンジンで検査データ改ざん(←今ここ)

国土交通省は22日午前、神戸市にある同社工場への立ち入り調査を始めました。