わらべや日洋ホールディングス 社内調査委員会設置 ソシアリンクの全事業撤退

わらべや日洋HDは1/18、ソシアリンクの一部事業を譲渡したうえで、全事業から撤退することを公表しました。あわせて今回問題となった出入国管理及び難民認定法(入管法)違反に関して社内調査委員会を設置し、より客観的かつ専門的な事実関係の調査を行うとしています。

株価にはびっくり

千葉地方検察庁により起訴されたのが1/5。当ブログでは1/7に取り上げましたが、同日に好決算を発表。翌日株価は200円近く急騰し、1,642円を付けています。今週は1,700円台も。。。上手くやりましたね。ネガティブなニュースが出たとたんに好決算の公表。ブラック企業の評判、見事に打ち消しました。

株価が上げて見せることには、このニュースはたいして悪材料ではないんだ、とか、世間はあまり気にしてないんだ、、、といった具合に社会的評価を改善する効果があります。

セブンが動きましたね

前回の記事で、セブンイレブンは主要取引先として、筆頭株主として、わらべや日洋に対して開示の仕方等を指導するべきと書きました。早速セブンが指導し始めたんでしょうね。好決算を開示してバッドニュースを打ち消し、社内調査委員会を設置して徹底的に調査。

そして、二度と起こされては困る不祥事。子会社ごと抹殺して事態の完全収拾を図った、、、ように見えます。さてさて企図した通りになりますやら。子会社が腐るのは親会社が腐っているからです。濁った水は高いところから低いところに流れるだけなんですね。

とまぁ、想像も織り交ぜ悪態を付きましたが、ここまでの対応は形式的には合格点だと思います。問題は本気で取り組んでいるかどうか。親会社まで含めて膿を出し切れるかどうかです。社内調査委員会の調査結果を待ちましょう。

国税職員の不正・不祥事 人間関係の希薄化が原因

1/18付け日本経済新聞に「国税職員の不祥事相次ぐ」という記事がありました。昨年は確かに国税や税務署職員の不祥事をよく見たような気がします。それでも記事によると件数自体は例年と大差ないらしいです。ただ、不祥事の内容が酷すぎるということのようですね。

2つの事例

記事で紹介されていたのは、甲府税務署の20代職員の事例。大学生と共謀して持続化給付金をだまし取った疑いで逮捕されています。250件の虚偽申請に関与しているとか。さらに、愛知県警の家宅捜索で乾燥大麻まで出てきたというあの事件です。

もう一件は、不動産取引で消費税の還付を不正に受けたとして、札幌国税局の職員が逮捕された事例。こちらは45歳の職員ですね。この職員も昨年夏に大麻を栽培、密売したとして逮捕、起訴されています。どちらも国税職員としての専門性を悪用しています。

発生の原因

この記事の中ではある現場職員の話として、「人間関係の希薄化」をあげていました。この意見にはkuniも賛成です。新型コロナの影響で人と人との距離感が大きく変化しました。組織で働く者は、組織の中で上司や同僚から受ける「牽制」を意識するものです。

この牽制がうまく機能していることで、一人一人のルール遵守が担保されてきたのは事実だと思います。その牽制が有効に機能するための人と人との距離感が変化してしまいました。リモートワークしかり、職場でのウェブ会議しかり。職場で飲み会がなくなってしまったことも。

こうした状況はまさに不正を働く機会が増加したということであり、さらに、発見しにくい環境も出来てしまっているということだと思います。不正・不祥事がより発生しやすくなっていますし、より発見しにくくなっているのです。管理職の方はまずこの現実を直視する必要があると思います。

朝日放送グループHD 朝日放送テレビ 従業員のインサイダー取引

朝日放送グループHD子会社の朝日放送テレビ株式会社の社員1名が、重要事実の公表前に社外に情報を提供するとともに、自らもインサイダー取引を行い、利益を得ていたことが分かりました。証券取引等監視委員会は情報受領者とあわせて2名に対する課徴金納付命令を発出するよう勧告しています。

インサイダー取引の概要

朝日放送グループHDの開示ではよく分かりませんが、同社の認定放送持株会社体制への移行という情報と、株式会社ディー・エル・イーの第3者割当増資引受による子会社化という2件の別々の内部者情報を巡る事件です。

「認定放送持株会社体制への移行」については、当該情報が公表されたのが平成29年2月8日。もう一方の「ディー・エル・イーの第3者割当増資引受による子会社化」については、情報が公表されたのが令和元年(平成31年)5月10日です。

つまり、約2年間の間に同じ従業員が、当時の朝日放送株式については知人に情報伝達して儲けさせ、ディー・エル・イー株式については知人のみならず、自分自身も儲けました。というお話なんですね。課徴金の額は、同社従業員が451万円、知人が305万円となっています。

開示された情報

ここまでのお話は監視委員会の報道発表をもとに書いています。当の朝日放送グループHDの1/15の開示ではここまでのことは分かりません。というか、開示情報の書きぶりでは、同社子会社の朝日放送テレビの従業員が、一度だけインサイダー取引規制違反をしたかのように見えますね。

明らかに別の重要事実ですし、その公表時期も全く違う事件なんですから、もう少し書きようがあるんじゃないかな。知人に儲けさせてもお咎めがなかったので次の機会では自分も、、、みたいな事件の悪質さ(再犯である事実)を隠したいという意図が感じさせる開示です。

グルメ杵屋(9850) 労働基準法違反により書類送検

グルメ杵屋は1/13、連結子会社である株式会社グルメ杵屋レストラン、他1名が労働基準法違反の疑いで大阪労働局より大阪地方検察庁に書類送検されたことを公表しました。連結といえば聞こえはマシですが、ど真ん中の主力事業会社です。

グルメ杵屋

グルメ杵屋レストランは売上で6割を占める主力事業。うどんの杵屋、蕎麦のそじ坊、おらが蕎麦、明月庵田中屋などを展開している会社です。FC店舗まで含めると350店舗もあるんですね。

外食産業ですから、コロナの影響で売上は大きく低下していますが、コロナ前の2019年4月~12月までの月次売上を見ても、前年同月比マイナスの月がほとんど。プラスになったのは5月と6月のみです。かなり苦しんでますね。通期では10億円を超える赤字となっています。

違反の内容

2020年1月22日、グルメ杵屋レストランにおいて、労働基準法に定める上限を超える労働時間があったとして、大阪労働局による捜査を受けています。捜査の結果、2019年4月1日から12月31日までの間において、大阪府内5店舗の従業員12名に対し、36協定で定める延長時間を超えて、違法な時間外労働を行わせたとして書類送検されました。

先ほどの月次売上で見た通り、なんとしてでも20年3月期を黒字にするために、、、といった具合でかなり厳しい営業を強いられていたものと思われます。同時期のブラック企業番付みたいなサイトで見ると、グルメ杵屋は堂々の23位にランキングされていました(まったく別のサイトからのデータですので信憑性のほどは何とも、、、)。

「労務問題対策委員会」を立ち上げるとともに、外部のコンサルティング会社に依頼して労務・法務の専門家等による「第三者委員会」も設置したとのこと。ネットでブラックと評判が立っている時点で経営は何を考えていたんでしょうね。おそらく調査報告書は開示しないんでしょうね。

京三製作所(6742) 本社内の工場と倉庫の2カ所で火災

京三製作所は1/14、「当社本社工場における火災について(お詫び)」を公表しました。同社は信号大手3社の一角。鉄道信号システムや交通管理システムなどを製造する会社です。最近整備が進んできた電車の可動式ホーム柵なんかも手掛けてますね。横浜市鶴見区の会社です。

火災の状況

タイトルをご覧になってすぐに気付かれたと思いますが、この開示はちょっとビックリです。原文のまま引用すると、「2021年1月14日(木)0時50分頃、本社内の工場、および倉庫の2箇所より出火」となっています。深夜に同時に2カ所から出火ってのは引っ掛かりますねよ。

SNS上でも火災現場の写真等が見られますが、確かに2カ所から黒煙が上がっています。普通に考えると放火でしょうか。火災は10時40分頃、沈静化したとのこと。人的被害がなかったのは不幸中の幸いでした。物的被害、事業所外への影響、製品出荷への影響などはまだ調査中のようです。

企業の火災

最近多いですよね、企業(工場)の火災。製鉄会社などでよく言われますが、設備の老朽化が原因と言われます。そして、工場火災が発生するとその工場から製品の出荷がストップしてしまうというリスクもあります。以前当ブログでも東洋紡の火災を取り上げました。

他にも昨年10月に発生した旭化成子会社(宮崎県)での火災。ここで製造されていた半導体の出荷が止まってしまい、国内自動車大手各社が年明けから大幅減産を余儀なくされる、なんてことにもなっています。

京三製作所の取引先はJRや大手電鉄など公共性の高い企業ですので、製品出荷が止まる影響は小さくなさそうです。さらに同社は半導体などの製造装置用電源装置なども手掛けているようです。また半導体が、、、なんてことにならなければいいのですが。