関西スーパー オーケーの最後のプレスリリース

一昨日、関西スーパーの経営統合について書きました。最終的に最高裁は関西スーパーの臨時株主総会における決議(エイチ・ツー・オーリテイリング傘下の企業との経営統合)を有効とし、オーケー側が敗北したという流れ。

そのプレスリリース

敗北を認める最後のプレスリリース。メチャ格好いいですよ、とだけ書いていたんですが、そのプレスリリース、取り上げておきます。まず、タイトルは「関西スーパー様の株式交換の差止めの仮処分に係る最高裁判所の判断について」。以下引用です。

2021年11月9日の本件申立てから本日までの非常に限られた期間の中で、集中的にご審議いただきました裁判所関係者の皆様、及び公正中立の立場から臨時株主総会を調査いただいた総会検査役には、深く感謝申し上げます。

また、弊社提案をご支持いただきました関西スーパー様の株主の皆様にも、これまでのご支援に厚く御礼を申し上げます。さらに、2021年9月3日に弊社による関西スーパー様への提案を公表して以降、本件についてご報道いただきました報道機関の皆様にも大変感謝しております。

弊社提案の実現こそ叶いませんでしたが、かつて大変お世話になった関西スーパー様が、この度のイズミヤ様及び阪急オアシス様との経営統合のご成功により、今後、益々ご発展されることを心よりお祈り申し上げます。引用ここまで。

どうでしょう。負けてもこの潔さ。関係したあらゆる人たちへの感謝の気持ち。これほど素敵な敗北宣言は見たことありません。いや、より大きな意味では彼らは負けてないのかもしれません。

メルセデス・ベンツ日本 消費者庁から景品表示法に基づく措置命令

消費者庁は12/10、「メルセデス・ベンツ日本株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令について」を公表しました。日本語のカタログなどに、実際には機能や部品がついていないのに「標準装備」などと事実と異なる記載があったということです。

違反の概要

これまでに日本国内で1万6000台が販売されたGLAとGLBという2つのモデルのうち、GLBの販売・宣伝用の日本語のカタログの一部と、2つのモデルの装備などを示した冊子の一部に、実際と異なる記載があったということです。

実際には別のオプションに加入しないと機能しないのに「標準装備」と記載されていたり、実際には含まれていないのに、高級仕様のオプションにグレードの高い部品が付属していると表示されているなど、合わせて17点の事実と異なる記載がありました。

消費者庁はこうした表記が景品表示法違反にあたるとして、「メルセデス・ベンツ日本」に対し、再発防止などを命じる措置命令を行ったわけです。ん~、同社はこういうことするイメージなかったのにね。残念ですね。

同社の開示

メルセデス・ベンツ日本も同日、プレスリリースを公表していました。誤表記の原因は、表記に関するチェック体制が適切に働かなかったことによるものだとしています。かなりあっさりした内容でした。

ただ、この誤表記の件、メルセデス・ベンツ日本が最初に認識し、消費者庁に自主申告のうえ調査に協力してきたものだそうです。顧客からのクレームが起点でしょうが、自社で対処できてよかったですね。

最初にクレームが当局に入っていたら、同じ事件でもかなり見え方が変わってしまったところでした。この措置命令対象となった表記は、今年8月31日までにすべて修正済みだそうです。

関西スーパー 最高裁は 総会決議認める

関西スーパーマーケットとエイチ・ツー・オーリテイリング傘下の食品スーパー2社との経営統合を巡り、最高裁は12/14、統合手続き差し止めを求めたオーケーの許可抗告を棄却する決定をしました。決定を受けてオーケーは同日、関西スーパーの買収を断念すると発表しています。

ここまでの振り返り

発端となったのは、10/29の関西スーパーの臨時株主総会に出席した1人の株主の行動。「棄権」を意味する白票を投じたものの、投票締め切り後に本人が申告し、関西スーパーは「棄権」とした票を「賛成」と修正。議案は、可決に必要な「3分の2」をわずかに上回る66.68%の賛成で承認されました。オーケーは「票の集計に疑義がある」と主張し、統合手続きの差し止めを求めていたという件。

神戸地裁では票の取り扱いが修正された議決を「法令違反または著しい不公正がある」とし、オーケーの主張を認め統合手続きの差し止めを認めました。

しかし、続く大阪高裁は白票は誤認によるもので、株主の意思を考慮すれば賛成票と扱えるとして、議決は有効と判断。

そして今回、最高裁は、統合手続き差し止めを求めたオーケーの許可抗告を棄却する決定を。つまり、関西スーパーの臨時株主総会における決議(エイチ・ツー・オーリテイリング傘下の食品スーパーであるイズミヤ、阪急オアシスとの経営統合)を有効としたわけです。

違和感あるなぁ

kuniの予想は見事に外れました。しかし、違和感あるなぁ。ていうか、総会決議の在り方云々の前に、衰退一途の百貨店系との経営統合、というところにそもそも違和感を持っているのかもしれませんが。そうそう、負けてしまったオーケーが出しているプレスリリース、メチャ格好いいすよ。是非ご一読を。

株式会社EduLab その後音沙汰なし?

12/16の日本経済新聞に、「不正会計に動けぬ東証 エデュラボ発覚から2カ月 手続き慎重、『空白』長引く」という記事が。上場前からの不正会計が発覚したEduLab(エデュラボ)ですが、すでに8月の調査委員会設置から4カ月、不正会計発覚から2カ月が経過しています。

記事の概要

日経が問題提起しているのはEduLabに対して、東証が何らアクションを起こせていないことに対するものです。問題提起は確かにその通りではありますが、新たな事実関係が何もつかめないでいるところだけに、東証の立場も理解できます。特別調査委員会の最終報告書は12月下旬の見込みとされていますが、、、そりゃぁ、動けんわなぁ。

EduLab その後の開示

特別調査委員会の中間報告書受領後、EduLabは11/26、「会計監査人の異動に関するお知らせ」を公表しています。架空取引の存在疑義まで指摘し、監査報告書の意見不表明や、結論不表明を示していた会計監査人のあずさ監査法人が、とうとうEduLabを見切った形ですね。

同開示では、「EduLabと会計監査人両者の信頼関係の低下」という表現が何回か出てきます。で、会計監査人を降りることになったということです。しかし、これはこれでどうなんだかなぁという感じはします。ここまで会計不正を見抜けなかった会計監査人、その責任の取り方という点は気になります(もめにもめた結果だろうということは理解しますが)。

いやぁ、ドロドロになってきましたね。一方、同社株価はというと、上場来安値を着実に更新中です。8月の調査委員会設置から約4カ月になりますが、株価は4分の1(1100円台)になっています。昨年高値からみると約10分の1です。さてさて、どうなりますやら。

最近よく聞く デジタルツインとは メタバースと違う?

最近メタバースやVRとともに、よく聞くようになったのがデジタルツインというワード。現実世界の情報を、センサーなどを使ったIoT技術を駆使してリアルタイムに取得して、バーチャルである「サイバー空間」に再現する技術のことだそうです。

デジタルツイン

言葉通りデジタルで作る双子ですね。しかし、双子は本来「twins」。複数形なんですがここでは「twin」で使われています。調べてみると、この場合「ふたごの一人」という意味になるようです。デジタルの世界で実現する双子の一人、っていうかもう一人の双子って感じの意味ですかね。

現実の世界では、「これやってみたい、画期的だと思う」なんて発想が出てきたとしても、そう簡単にそれを実装、実現できません。様々なものや人々にいろいろな影響を与えてしまいますよね。大きなリスクを伴います。

その点、デジタルツインの世界ではその発想を試してみることが可能です。現実の世界からデータを収集し、そのデータをサイバー空間と同期させ、そこでシミュレーションや解析を行い、その結果をもとに現実世界にフィードバックするというループを繰り返すことができるというわけです。

メタバースとの違い

一方、メタバースは必ずしも現実世界の再現である必要はないわけで、現実世界にはないものを表現することもあるでしょう。いや、むしろそういう方向性の方が大きいように思われます。見たこともないような素晴らしい空間。ですね。

VR、メタバース、デジタルツイン。新しいワードがバンバン出てきます。まだまだつかみどころのない世界ではありますが、何年かしたら今のインターネットのように、多くの人が普通に使っているツールになっているかもしれません。振り落とされることなく、しっかりとついていきましょう。