FRONTEO 米国子会社へサイバー攻撃

FRONTEOは5/16、「当社米国子会社への不正アクセス発生について」を公表しました。米国子会社であるFRONTEO USA, Inc.において、FRONTEO USAのデータセンター上のデータにランサムウェアと見られる不正なアクセスがあったことを確認したということです。

FRONTEO

FRONTEOは、独自に開発した言語系人工知能(AI)エンジンを柱とするソリューションを提供する企業。AIエンジンとして、主にリーガル・ビジネス分野向けの「KIBIT(キビット)」とライフサイエンスに特化した「Concept Encoder(コンセプトエンコーダー)」を持っています。東証グロース市場上場企業です。

今月のサイバー攻撃

被害の状況等についてはいまだ開示されていません。セキュリティ関連部門および外部専門調査機関による詳細な調査を行っているといいますが、調査完了とFRONTEO USAでの業務復旧までにはしばらくの時間がかかる見込みとしています。

不正アクセスによる被害のみならず、今期の業績悪化の影響もあり、5/23にはストップ安となるなど、踏んだり蹴ったりですね。

今月の不正アクセス等を調べてみると、京都府を中心に賃貸用不動産の賃貸、管理を行う「長栄」や、特定領域の人材紹介を中心に人材サービス事業を展開する「クィック」、韓国などを主市場とする独立系自動車部品メーカー「GMB」などでも同様に、不正アクセスを受けたことを開示しています。

さらに、上場企業ではありませんが、日本経済新聞社は5/19、海外現地法人でシンガポールに拠点を置く日経グループアジア本社のサーバーが不正にアクセスされ、身代金要求型ウイルス「ランサムウエア」に感染したと発表しています。サイバー攻撃止まりませんね。皆さんの会社は大丈夫ですか?

東亜石油株式会社 検査不正は出光興産の別子会社でも同様に

出光興産は5/20、「昭和四日市石油株式会社における製品試験に関する不適切行為についてのお知らせ」を公表しました。今月上旬に東亜石油での検査不正が発覚したばかりの出光興産でしたが、別の子会社でも同様に検査不正が行われていました。

出光興産

先日は東亜石油を中心に書きましたが、今日は親会社の出光興産を中心に書きます。出光興産は大手石油元売りの一角です。石油製品・石油化学製品を精製販売しているほか、原油・石炭生産なども手掛けています。2019年に昭和シェル石油と経営統合してできた東証プライム市場上場企業です。

昭和四日市石油株式会社

昭和四日市石油は未上場企業で、出光興産が75%の株式を保有する出光興産の連結子会社です。資本金は40億円で、従業員580名の会社ですね。出光興産が輸入した原油を受託精製し、石油製造及び石油化学の原料を安定供給することを目的とする会社だそうです。

同社のホームページでは、「安全を優先し、環境に優しい製品づくりを行っています」などと書かれていますが、いきなり怪しくなってきますね。さらに、同社が掲げる企業倫理には、「事業のあらゆる面において誠実と公正を本旨として行動する」とも書かれてます。

出光興産の問題

行われていた不正、基本的に東亜石油と同じ感じですね。「規定の試験方法を遵守していない」、「実際には測定していないにも関わらず、試験成績表に記載している」といった不正の類型が示されています。いつ頃から不正行われていたのか、などの詳細については今のところ開示されていません。

東亜石油に続いて昭和四日市石油。出光興産としての子会社管理が本格的に問われることになりそうです。

グローム・ホールディングス 連結子会社の代表取締役を解任

グローム・ホールディングスは5/19、「当社連結子会社の代表取締役解任に関するお知らせ」を公表しました。同日開催された グローム・マネジメント株式会社臨時株主総会において、取締役解任に関する決議を行い、同社の代表取締役を解任したということです。

おさらい

5/12に連結子会社のグローム・マネジメントにおいて、不適切な取引が行われていた可能性があることが判明し、特別調査委員会を設置しました。提携先企業を経由して提携先企業の代表者の親族が代表者を務める別法人へ資金が還流していたというもの。その金額は総額8,130万円といいます。

対応早かったね

適切だったかどうかはまだ分かりませんが、対応は早かったですね。もちろんグローム・マネジメントが100%子会社ですから、臨時株主総会もさっと開催できる(参加株主はグローム・ホールディングスのみ)っていうのもあるんですけど。特別調査委員会の調査結果を待つことなく、いきなり解任です。

「本日以降、グローム・マネジメントと元代表取締役との契約関係は一切ありません。」とまで言い切っています。解任後はグローム・ホールディングスの代表取締役が、子会社グローム・マネジメントの代表取締役を兼務する形に落ち着いたようです。

8,130万円が提携先企業の関係者に流れ、そこでの取引の実在性に疑義が生じているとされるこのお金の流れ。何が起きているんでしょうか。代表取締役の不正行為としては、かなりシンプルな事象だと思われますが、特別調査委員会の調査目的に「類似事案の有無の確認」なんてのも入ってますし、追加で何か出てくるのか。今後どう展開していくんでしょう。

知床観光船 他3社においても不備を確認

日本経済新聞は5/18、「斜里町の3社、不備12件確認 国交省が緊急安全点検」と報じました。北海道斜里町で観光船を運航する4社に対して緊急安全点検を行い、うち3社で12件の不備が確認されたということです。観光船沈没事故を起こした「知床遊覧船」は特別監査中で、点検の対象外です。

やっぱりそうか

知床遊覧船の事故やそれに対する報道について、「同社の事例をもとに同業者が同じような見方をされることが非常に悔しい」みたいなことを取材に答えている業者がいましたよね。本当に彼らの会社は安全に配慮した運行ができているのだろうか、、、と感じたものです。

で、当局が緊急安全点検を実施してみたら、4社中3社で12件の不備を確認。日経の記事にある国土交通省北海道運輸局のホームページではこのことは確認できませんでした。どういった項目でどの程度の不備が見つかったのかは分かりませんが、「やっぱりそうか」という感じ。

コロナで顧客は減少、経営は業績の悪化に対してコスト削減を進めていたはず。その対象が顧客の安全を守るためのコストに向かうのは絶対にあってはならないことですが、他業種の多くの企業を見ていてもよく見る傾向です。

顧客にも価格の理解が

どんな業種でもそうですが、顧客にとっては価格が安いに越したことはありません。しかし、割高に見える価格には顧客の安全を担保するためのコストも当然含まれています。顧客の側にも、価格に対するそうした理解が必要なんでしょうね。

不備が認められた3社は5月末まで運航を自粛する方針だそうですが、運航再開に際しては不備の改善に徹底的に取り組んでもらいたいものです。

ソフトブレーン株式をめぐりインサイダー取引 会社役員が逮捕

日本経済新聞は5/18、「TOB情報で株買い付け容疑 地検、会社役員を逮捕」と報じました。国内投資ファンド傘下の会社が、営業支援ソフトなどを手掛けるソフトブレーン株に対して実施したTOB(株式公開買い付け)の情報を事前に入手して、同社株を買い付けたということです。

ソフトブレーン

ソフトブレーンは営業支援ソフトなどを手掛ける企業で、札幌からスタートした企業のようです。東京証券取引所マザーズに上場し、東証1部まで上がってます。そして昨年1月に上場廃止となってますね。同社も今回の報道に対し、「当社株式の取引に関する一部報道について」を公表。同社元従業員から情報を得てインサイダー取引が行われたことについては認めています。

インサイダー取引

会社役員の逮捕容疑は2020年7月中旬、知人のソフトブレーン社員から、国内投資ファンドがソフトブレーン株へのTOBの実施を決めたことについて情報伝達を受け、公表前の7月下旬に同株約2万株を計約670万円で買い付けた疑いだそうです。

投資会社「アント・キャピタル・パートナーズ」の傘下企業が、ソフトブレーンに対してTOBを実施するなどして完全子会社化するという情報でした。

逮捕されたのは、医療ベンチャー「再生医療iPSGatewayCenter」(東京都渋谷区)の社長だそうですが、今のところ容疑を否認しているみたいですね。

当時400円前後で推移していたソフトブレーンの株価は、8月14日にTOBが公表されてから急騰し、5日後の8月19日には2倍を超える868円まで買われたようです。濡れ手に粟のインサイダー取引。人の命を預かる事業に携わる企業の社長が金に目がくらんだ、、、悲しい事件ですね。