ピクセルカンパニーズ 取締役の不正行為?

公表の事実に気付かなかったんですが、ピクセルカンパニーズは3/31、「財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備に関するお知らせ」を公表。その中で同社代表取締役個人が、取締役会の承認を受けずに、同社を連帯保証人とする金銭消費貸借契約を締結していたことが判明したことを明らかにしています。

ピクセルカンパニーズ

ピクセルカンパニーズは、金融機関向けシステム開発を行うシステムイノベーション事業、太陽光発電施設を企画・販売するディベロップメント事業、カジノ向けゲーミングマシンを製造・販売するエンターテインメント事業を手掛ける東証スタンダード市場上場企業です。

再生エネ事業に遊戯機事業と聞いただけで、ちょっとうまくいってない企業を感じさせますが、やはり直近5期で4期赤字。直近の株価は50円台という状況です。

不正の概要

開示された情報では、上記のように代表取締役個人が取締役会の承認を受けることなく、会社を連帯保証人にして借金していたということだけ。会社法上の利益相反取引として取締役会の承認等所定の手続が必要にもかかわらず、その手続きを踏んでなかったというもの。

ところが、一方で、「この金銭消費貸借契約締結の同日に、当社の債務保証を解除する確約書が締結されており、当事業年度の末日時点で債務は残っていないことから、当事業年度の財務諸表及び連結財務諸表に与える影響はない」とも書かれています。ん?

なんだかよく分かりませんね。契約したその日のうちに法的問題に気付いて契約(連帯保証)を解除した?ってことみたいです。にもかかわらず、不正の事実を公表し、社内調査委員会を設置して調査すると。さらにその後5/16には社外調査委員会へ衣替え、とかなり大げさなことに。いったい何が起きてるんでしょう。

株式会社ポプラ 債務超過の猶予期間入り

株式会社ポプラは5/26、「債務超過の猶予期間入りに関するお知らせ」を公表しました。同日、有価証券報告書を提出し、2022年2月期決算において債務超過となったことから、株式会社東京証券取引所が発表したとおり、上場廃止に係る猶予期間入り銘柄となったということです。

株式会社ポプラ

ポプラは「ポプラ」などの自社ブランドと、ローソンのメガフランチャイジー(大型加盟店)として「ローソン・ポプラ」などのコンビニエンスストアの運営を手掛ける企業。店舗は広島県を地盤に関東以西に展開しています。「生活彩家」っていうコンビニもポプラが展開していますね。都市部を中心に、大学やオフィス、ホテル、病院などの施設内に多く出店してきました。

コロナの影響で

実はkuniが務めていた会社が入居していた巨大なオフィスビルにも、生活彩家が出店していて、約3年間お世話になりました。大学やオフィス、ホテル、病院などの施設内に出店してきたという形態がコロナ下では命取りになったようです。こうした施設では在宅勤務や臨時休業などによる来店客数の減少といった影響が顕著でした。

2021年2月期通期のチェーン全店売上高は 34,511 百万円(前期比 25.5%減)と前年を大きく割り込み、1,318百万円の純損失を計上して純資産を大きく毀損。2022年2月期についても経常損失1,007百万円、当期純損失518百万円となり、年度末において純資産が429 百万円の債務超過に陥ってしまいました。

新型コロナウイルス感染症の影響に起因するものと認められたため、上場廃止に係る猶予期間は2年。2022年3月1日から2024年2月29日だそうです。収益構造の見直しと新ビジネスモデルの構築に向けた事業構造改革に取り組む同社。近所に店舗があれば応援買いしたいところですが、あいにく店舗がなくて。

三菱電機 増え続ける品質不正

三菱電機は5/25、「当社における品質不適切行為に関する調査結果について(第3報)」および「当社における品質不適切行為に関する原因究明及び再発防止等について(第3報)」を公表しました。昨年7月に設置された調査委員会による3回目となる中間調査結果報告です。

調査委員会

いやぁ、もうこれまで何度取り上げてきたんでしょう。2021年6月に長崎製作所で鉄道車両向け機器の検査不正が判明し、調査委員会が調査を進めてきました。調査委員会は、同委員会に寄せられた品質に関わる問題の申告等を基に抽出した要調査事項 2,303件のうち、約8割に当たる 1,933件の調査を終了したということです。

なので、現時点でも、約2割に相当する370件に関してはこれから調査ということになります。今年秋まで調査を継続するらしいです。っていうか、ここでいう「要調査事項」というのが、そもそもすべてを網羅できていない可能性もありますけどね。

結果の概要

報告書では新たに15製作所(工場)で101件の不正行為が明らかになりました。納期やコストを守るため、顧客との契約や規格などを軽視して不正行為に手を染めるケースが目立ったといいます。多くは現場担当者レベルにとどまっていましたが、管理職が関与しているケースもあったということです。

長い歴史を持ち、主力事業の一つである社会システム本部など、インフラ向けの製品を手がける部署が多くを占めたということですが、中には5G関連事業で電波法違反なんてのも出てきているそうです。納期やコストを守るため、製品の品質が犠牲になる。こうしたケースでは同時に従業員も壊れていってるはずです。品質不正の調査はまだまだ続きます。

大東建託 連結子会社における不適切な会計処理

大東建託は5/24、「当社連結子会社の不適切な会計処理に係る調査に関するお知らせ」を公表しました。同社社員が同社の連結子会社において不適切な会計処理を行っていたことが判明したといいます。

大東建託

大東建託は土地オーナーに対して、アパート・マンション経営など土地の有効活用を提案し、建築を請け負うとともに、一括借上により建物賃貸の経営を代行する事業をメインに手掛ける企業。貸家着工戸数に対して12.5%(22/3期)のシェアをもつ、賃貸住宅請負の大手です。

バブルのころは物凄い勢いで成長していた企業で、それゆえか当時はかなり悪い噂もよく聞こえてきた企業でした。あれから40年、今や大手ですし、それなりのガバナンスが構築できていると思われますが・・・。

不正の概要

管掌役員からの告発を契機として、同社社員による不適切な経費使用の疑いが発覚したことを受け、社内調査を進めてきたとのこと。調査は現在も継続中で、今般、調査チームからの経過報告を受け、適切な承認を経ない経費の使用 (約50万円 )が発覚したそうです。

さらに、当該社員の関係する不適切な会計処理が確認されています。①同社連結子会社の未払金および未払費用の過大計上(2022年3月末時点で約569百万円)。②同社連結子会社の広告宣伝費等の不適切な支払い (2022年3月期に約162百万円)。

経費の使い込みに関しては少額ですが、連結子会社における不正な会計処理はそれなりの金額ですね。これだけの金額を不正に操っていたとすると、そのお金の一部が同社員の懐へ、、、ということも十分考えられそうです。

今回の開示ではまだまだ詳細が見えてきません。外部専門家(弁護士2名、公認会計士9名)も参画した社内調査の結果を待ちましょう。

日揮ホールディングス 魚の陸上養殖を行う新会社を設立

日本経済新聞は5/21、「日揮HD、魚の陸上養殖に参入」と報じました。水中の温度や酸素濃度などを制御するシステムを備える施設を福島県に建設するとのこと。日揮ホールディングスのホームページでは5/20付でこのことが公表されています。

日揮ホールディングス

日揮ホールディングスは、オイルやガス、クリーンエネルギーなどのエネルギー分野を中心に、インフラ分野も含めて、プラント・施設の設計、調達、建設を手掛ける国内最大手のエンジニアリング会社です。石油精製・石油化学用の各種触媒、情報・電子材料、光学材料などのファイン製品も手掛けています。

そんな日揮が「魚の陸上養殖に参入」、、、なもんだから記事を見てびっくり。水産物の捕獲減やら、将来の食糧危機といった、なんとなく聞こえてくる将来の危機に向け、やはりこうして本気で取り組む企業が出てくるんですね。日揮が持つ高度な水処理技術を活用し、閉鎖循環式陸上養殖システムを構築するということです。

かもめミライ水産株式会社

新たに設立する会社は、かもめミライ水産株式会社。福島県浪江町に新設する新会社は、地元の水産業を活性化するため、新たな可能性に挑戦しているいわき魚類株式会社と共同で取り組みを推進していくんだそうです。原発の件で大きな被害を被ったであろう地元の産業を復興する手掛かりにもなりそうですね。

2024年からサバの本格生産を始め、27年をメドに年間60トンの生産を目指すそうです。日揮は2021年から岡山県内の閉鎖循環式陸上養殖施設で、魚の試験生産による養殖ノウハウの蓄積とシステム開発を実施してきたみたいです。この成果も踏まえた新会社設立ということ。日揮、かなり本気のようです。