デジタル・プロダクト・パスポート DPP とは

デジタル・プロダクト・パスポートという言葉に初めてお目にかかりました。全デジタル製品に割り当てる旅券、という意味で、欧州連合(EU)が27年にも導入し、内外企業に取得を義務づけるんだそうです。21世紀の欧州で、モノにパスポートが必要になるってことのようです。

デジタル・プロダクト・パスポート

パスポート(冊子というよりQRコード的なもの)を持たない製品はEU域内に入れなくなる?。どうやら脱炭素と循環型経済でEUが先行しようとするための施策のようです。製品がどこで採掘された原料を使い、どこで最終製品にされたか。その間、製品はどう運ばれ、二酸化炭素(CO2)を合計どれだけ出したか。

こんなこともパスポート上で電子的に把握できるようにするんですね。このようなデータをもとに、欧州の環境基準に達せず、認証機関のお墨付きが得られなければ、EU域内企業にも海外企業にも販売許可を与えないという仕組みだそう。ワクチンを〇回接種した証明がないと、入国できない、、、みたいなルールですね。

そんなもん、どれだけ正確さを証明できるんでしょう。って疑問が起きますが、モノをネットにつなぐ情報機器や技術は多数存在し、改ざんを許さないブロックチェーン(分散型台帳)技術、データを流通させる域内プラットフォームももう確立ずみだといいます。あとは制度の詳細を詰め、EU各国の合意を取り付ける作業に絞られつつあるといいます。

日本の意識

この手の話題に触れるたび、欧州は環境問題に本気なんだなぁ、と感じさせられます。それに比べると日本の意識というのは、、、。とりあえず世界中が叫んでるから、姿勢だけは正しましょうとか、取り組む姿勢だけは見せましょう、みたいなのが多いですよね。

コスト削減、に関しては日本も先端を入っているように見えますが、こういうことにももう少しシビアに取り組まないとなぁ。そんな感じがします。

株式会社CAMPFIRE(キャンプファイヤー) 従業員の不正行為

6/10、ある報道でCAMPFIREの従業員が業務上横領の疑いで警視庁に逮捕されたという記事を読みました。同社は未上場企業ですので、日本経済新聞もこの事件を取り上げていません。ただ、上場に向けた準備をしている企業だと思われますので、当ブログでは備忘的に取り上げておきます。

CAMPFIRE

CAMPFIREはクラウドファンディング事業の企画・開発・運営を行っている企業です。最近人気のクラウドファンディングですので、当ブログの読者の中にも利用者いらっしゃいそうです。設立は2011年で、資本金67億8,345万円ということですから、もう十分上場できるサイズですね。

同社ホームページによると、「CAMPFIRE は、あらゆるファイナンスニーズに応えるべく、個人やクリエイター、企業、NPO、大学、地方自治体など、様々な挑戦を後押ししてきた国内最大のクラウドファンディング」。「これまでに6.6万件以上のプロジェクトが立ち上がり、770万人以上の人から600億円以上の支援が生まれました。」と説明されています。

不正行為

CAMPFIREは6/10、「当社元従業員による不正行為について」を公表しており、それによると、元従業員(2020年末退職)が、同社の銀行口座から自らの銀行口座に不正に送金を行っていたということです。外部の専門家等を交え調査を行った結果、被害総額は約2500万円とのこと。

この元従業員は同社の経理を担当していたということで、2019年8月~11月、4回にわたり同社の口座から、計約2,500万円を自分の口座に送金したということです。容疑を認めており、「競馬に使う金がほしかった」と供述しているそうで、すでに2020年末に退職してますね。

上場に向けた準備の最中でしょうが、上場後に多くの投資家を裏切ったりすることのないよう、これを機に社内における不正等を一掃しておいてほしいものです。

アイ・アールジャパン 調査委員会における調査の対象

アイ・アールジャパンは6/14、「(開示事項の経過)調査委員会における調査の対象、範囲及び調査結果の開示時期に関するお知らせ」を公表しました。証券取引等監視委員会による同社元役員を対象とする調査が行われたことを受けて設置した調査委員会でしたね。

調査委員会における調査の対象

今回の開示では、「調査の対象及び範囲」について、以前よりは詳細に定義しています。全5項目あるうちで気になるのは、3番目に出てくる、「当社役職員の情報管理上の不適切行為その他の問題の有無」というところ。

元役員以外でも同社の他の役員や従業員が妙なことをしていないかを調査するというわけです。通常こういう横展開に関しては、「類似行為の有無」みたいな表現をすることが多いんですが、ここでは、既に役職員の不適切行為が別に見つかっているかのような表現になっています。考えすぎですかね。

株価の方も

先日も書いたように、今回のインサイダー事件を受けて同社株はめちゃくちゃ売られました。4,270円だった株価はとうとう2,000円を割り込んでしまっています。この売られ方を見ても、「当社役職員の情報管理上の不適切行為その他の問題の有無」の部分を心配しているように見えます。

つまり、同社が扱う他の上場会社のIR情報等が、役職員により何らかの方法・経路で漏えいしていた、みたいな事案が出てくること嫌っているように。それほど情報管理ができていなくて、ガバナンスも効いていない企業だとすれば、同社株の急落をめぐって役職員が事前に売り抜ける、なんてこともあるかも。

と、業態が業態だけに、アイ・アールジャパンのインサイダーについてはいろいろと考えてしまうわけですが、、、今日は少々妄想が過ぎましたでしょうか。

アルテリア・ネットワークス 特別調査委員会を設置

アルテリア・ネットワークスは6/13、「調査委員会の設置及び第7回定時株主総会の継続会の開催方針に関するお知らせ」を公表しました。6/9に開示していた同社従業員の逮捕を受け、事実関係や類似事案の有無等を調査する目的で設置したということです。

接続料金を不正に取得

6/9、TDnetで丸紅、アルテリア・ネットワークス、ソフィアHDの3社が一斉に、逮捕者が出たことを開示しています。丸紅はアルテリア・ネットワークスの親会社としての開示ですから、実質的にはアルテリア・ネットワークス、ソフィアHDの2社ですね。

通信事業者の間で通話時間に応じて接続料金が支払われる「アクセスチャージ」の仕組みを悪用して、意図的な機械発信を生成し、NTTドコモから当該着信にかかる接続料金を不正に取得していたとのこと。通信事業者や通信機器販売会社の役職員等、計14人が逮捕されています。

通信事業者間では、電話をかけた側の業者が受けた側の業者に対し、通話時間に応じて「アクセスチャージ」と呼ばれる回線接続料を支払うんだそうです。この仕組みを悪用し、「かけ放題」プランで契約したドコモの回線からアルテリア・ネットワークス社の回線に大量の電話をかけ、アクセスチャージを不正取得していたということらしいです。

説明を聞いてもいまいちよく分かりませんが、昔のダイヤルQ2でよく起きていた事件に似てますね。ドコモに不正に支払わせたアクセスチャージは、大量の受信をしていたアルテリア・ネットワークスに支払われたということですかね。そのお金が共犯者等にどう配分されたんでしょう。

何社もの事業者が寄ってたかって、って感じの事件ですが、事件の中心にいるのはアルテリア・ネットワークスっぽく見えます。さらに親会社が丸紅ということもあり、特別調査委員会を設置して調査ということに。確かに同社的には会社としての組織的関与が気になるところです。

グリーンウオッシュ とは

今月初旬に日本経済新聞の記事、「ドイツ銀行系運用大手CEOが辞任へ 不正疑いで家宅捜索」を読みました。「グリーンウオッシュ」に関与した疑いで独検察・金融当局が5月31日に、ドイツ銀行グループの資産運用大手企業を家宅捜索し、同企業のCEOが事実上の引責辞任したというお話です。

グリーンウオッシュ

グリーンウオッシュとは、環境配慮をしているように装いごまかすこと。上辺だけの欺瞞的な環境訴求を表すんだそう。 安価な”漆喰・上辺を取り繕う”という意味の英語「ホワイトウォッシング」とグリーン(環境に配慮した)とを合わせた造語なんだそうです。

特に環境NGOが企業の環境対応を批判する際に使用することが多く、上辺だけで環境に取り組んでいる企業などをグリーンウォッシュ企業などと呼ぶ場合もあるようです。ん~、しかしまぁ、次から次へと新しい横文字が出てきますなぁ。

日経の記事の場合は、ドイツ銀行グループの資産運用大手企業に勤めていた元幹部が、「ESG投資の取り組みが実態よりも誇張されている」と主張したことで、グリーンウオッシュの疑惑が浮上。独当局が内部管理体制に問題がなかったか調査したというお話。詳細についてはよく分かりません。

意図してESGへの取り組みを過大に見せることもあるでしょうが、グリーンな商品と宣伝しておきながら、実は製造過程で発生するCO2を考慮しきれていなかった、みたいなこともグリーンウォッシュとして扱われるみたいです。

昨年末には日立が、こうしたグリーンウォッシュを防止する狙いで、ネットにつながるIoT技術を使い、工場の二酸化炭素(CO2)削減量などの投資効果を数字で示すシステムを開発する。なんて話題もありました。見せかけのESG投資の排除ってのも、これまた新しい課題なんですね。ややこしいことになってます。