東都水産 元社外取締役 インサイダー取引で監視委員会が告発

証券取引等監視委員会は12/1、「東都水産株式会社株券に係る内部者取引事件の告発について」を公表しました。これまたエグイ事件ですね。東都水産に対するTOBを知った同社の社外取締役が、同社株のインサイダー取引を行って儲けていたというお話です。

インサイダー取引の概要

水産卸大手「東都水産」へのTOB(株式公開買い付け)公表前に同社株を取得するなどしたとして、証券取引等監視委員会は12/1、金融商品取引法違反(インサイダー取引と情報伝達)の疑いで同社の元社外取締役M氏(59)と、M氏が専務を務める「三印三浦水産」(北海道函館市)を函館地検に告発しました。「さんじるしみうらすいさん」と読むらしいです。

告発容疑は、東都水産に対する麻生グループ「ASTSホールディングス」のTOB公表前の2020年9月、三印三浦水産名義で東都水産株8,000株を計約2,900万円で買い付けたほか、公表直前の同年11月上旬にも知人に伝えて、同社株500株を計約200万円で買い付けさせた疑いだそうです。

社外取締役 2年前に退任?

東都水産としても12/2に「証券取引等監視委員会による弊社元社外取締役に対する告発について」を公表しています。その中で、「当該元社外取締役は、約2年前に弊社を退任しておりますが・・・」というくだりがあるんですが、ここが気になります。

過去の開示資料によると、この元社外取締役は2020年6月に就任。2022年6月の再任直前に退任というふうに読めるんです。就任直後に退任していてそれが開示されていないのか、今回の「2年前に退任」が虚偽なのか・・・。

日本マクドナルド 元支店長が店の売上を着服

マクドナルドの元支店長(36歳)が、売上金約900万円を着服したとして、兵庫県警に逮捕されたそうです。元支店長は容疑を認めているといいます。マクドナルド本社の担当者が同店から売上金が納金されていないことに気づき、内部調査で同容疑者の関与が浮上。その後、刑事告訴していたということです。

日本マクドナルド

今さら説明は不要かもしれませんが、マクドナルドは上場している持株会社日本マクドナルドホールディングスの子会社です。世界的ハンバーガーチェーン「マクドナルド」を日本で展開しており、チェーン全店売上高で外食業界トップの企業です。株式の時価総額でもやはりトップです。

不正の概要

逮捕容疑は2020年1月から2月にかけて、JR芦屋店内で保管していた売上金を、23回にわたり計約900万円を着服した疑いだそうです。マクドナルド側の内部調査では、元支店長が店長だった19年9月~20年2月、売上金のうち計約5,500万円が納金されていないといいます。

この2020年2月の時点で兵庫県警に告訴していたみたいですが、、、なんとも雑な不正ですねぇ。バレないとでも思ってたんだろうか。この事件に関しては、持株会社もマクドナルドも自ら開示する気はなさそうです。20年2月の時点でも開示は見つかりません。いかがなもんでしょう。

過去にも

ちょっと調べていたら、この会社、2019年にも従業員の不正行為が。こちらは支店ではなく本社のマネジャーですが、約7億円(逮捕時の推定額)を着服していたという事件もあったんですね。きちっと自社の不正やそれを許したガバナンスの状況を公表して、世の中の目線にこたえられるレベルで改善していく姿勢が必要なのでは?

五輪テスト大会談合 強制捜査 博報堂などにも拡大

東京五輪・パラリンピックのテスト大会事業を巡る入札談合事件。さらに拡大中です。東京地検特捜部と公正取引委員会による捜査、当初名前があがっていた電通、セレスポに加え、広告大手の博報堂、東急エージェンシー、イベント制作会社のセイムトゥー、テレビ番組制作会社のフジクリエイティブコーポレーションの4社にも。

やはり出てきた

ある程度予想はされていたと思いますが、博報堂などズルズルと出てきましたね。ADKホールディングスは独禁法の課徴金減免制度(リーニエンシー)に基づき、違反を自主申告したため、今回の捜査の対象にはなっていません。組織委員会元理事らの汚職事件で元社長らが起訴されたADK。同社の自主申告が他社捜査開始の起点になっています。

ADKが違反を自主申告し、「入札で受注調整があった」などとゲロってるようですから、他社が不正がなかったと証明するのはかなり難しそうです。

フジクリエイティブコーポレーション

今回捜査された企業の中で気になるのが、フジクリエイティブコーポレーションという会社。そう、フジテレビの持株会社であるフジ・メディア・ホールディングスの子会社です。フジテレビとは兄弟会社みたいな構図ですかね(実質的には子会社みたいなものだと思われます)。

組織委員会元理事らの汚職事件の時は報道機関がこぞって取り上げ、毎日のように批判的な報道を繰り広げていましたが、今回のテスト談合に関しては、テレビであまり取り上げられていないような気がします。テレビ業界からも課徴金食らいそうな企業が出てきた途端に・・・。自らの業界と広告主には甘い。まぁ、いつものことですかね。

なぜ インサイダー取引はバレてしまうのか

当ブログでもちょくちょく取り上げるインサイダー取引。そしてインサイダー取引は必ずバレてしまいますよ、という警告もしてきました。本日はインサイダー取引がバレてしまう理由というか、どんなふうに調査されているのかについて、ザックリと書いてみます。

インサイダー取引

インサイダー取引(内部者取引と表現されることもあります)とは、上場企業の未公開情報を不法に共有・利用して証券取引を行い、未公開情報を持たない投資家に損害を与える(同取引を行ったものだけが得をする)犯罪的行為のことです。金融商品取引法により規制されています。

どうやって見つけるか

インサイダー取引には様々な態様がありますが、共通しているのは未公開情報が公表された直後に株価が急騰(もしくは急落)するということです。そしてもう一つが公表された情報が重要事実に該当するかどうか。この重要事実についても法律にその条件が定められています。

ではどうやってインサイダー取引を発見するのか。重要事実に該当すると思われる情報が公表された銘柄は簡単に絞り込めます。その情報の公表を受けて株価が急騰(もしくは急落)したかどうかも簡単に発見できます。ここまで絞り込めれば、あとは公表の直前に当該銘柄を買った人(もしくは売った人)を探せばいいわけですね。

こうした一連の作業は証券取引所の売買審査部が行っています。急騰した銘柄の場合、買った人の一覧を証券会社に提出させ、その中から怪しい人物の顧客情報まで手に入れます。怪しい取引一覧ができると、証券取引等監視委員会へバトンタッチ。同委員会がより深度のある調査を進めていく、という流れです。

どうでしょう。かなりザックリとした説明ですが、イメージ湧きましたでしょうか?

電力カルテル 大手電力会社に課徴金命令?

事業者向けの電力の販売をめぐり中部電力、関西電力、中国電力、九州電力などがカルテルを結んでいたとして、公正取引委員会が総額で少なくとも数百億円の課徴金を命じる方針を固めたいう報道がありました。どこからリークした情報? 今のところ当該電力会社は命令を受けた事実はないとしています。

カルテル

カルテルとは、 企業、事業者が独占目的で行う、価格 ・ 生産計画 ・販売地域等の協定のことです。自由競争による企業の淘汰(とうた)を鈍らせ、技術進歩や生産の合理化を遅らせる作用をもっています。そのため、カルテルは独占禁止政策のうえで、もっとも厳しい取締りの対象とされています。

事案の概要

オフィスビルや工場といった事業者向けの電力について、互いの営業エリアで顧客を獲得しないよう申し合わせるなどしていたというもの。去年4月から7月にかけて立ち入り検査に入り、調査を進めていたということです。申し合わせは会社間で協議のうえ、2018年ごろから行われていたとみられるとのこと。

公正取引委員会はこうした申し合わせを、競争を不当に制限する独占禁止法違反に当たると判断したということですね。再発防止を求める「排除措置命令」とともに、中部電力、中国電力、九州電力などに、総額で少なくとも数百億円の課徴金の納付を命じる方針を固めたということです。

このタイミングで

課徴金としては過去最高額になる見通しなんだそう。しかしなぜこのタイミングでって感じ。今まさに各電力会社は、「特定小売料金(規制料金)の値上げ申請」を行っている最中。一般家庭向けの電力料金の値上げ申請です。まさにこの動きに釘を刺すかのような、、、絶妙なタイミングに見えてしまいます。考えすぎですか。