富士電機 日本原子力研究開発機構向け機器製作に係る不適合管理

富士電機は2/24、「国立研究開発法人日本原子力研究開発機構向け機器製作に係る不適合管理の完了について」を公表しました。昨年7月に公表していた、同機構向け定常臨界実験装置(STACY)施設の更新改造において、指定されたものとは違う材料で機器を製作していたという件の最終報告のようです。

富士電機

富士電機といえば、以前ネットワンシステムズの架空循環取引で子会社が関与していたとして当ブログでも紹介しましたね。今度は日本原子力研究開発機構向け機器製作における不祥事です。

実際には富士電機が受注し、下請けの木村化工機に製作させていたようです。木村化工機で製作された機器において、同機構との間で行われた材料確認検査時とは異なる部材が取り付けられていたということです。同機構による昨年7月の工場立会検査で発覚しています。富士電機としても、同社の事前の検査でそのことが見逃されていたことが問題視されました。

不適合管理

事前に顧客との間で確認を行った材料ではないものを使用して機器を作成していた(木村化工機)。ということを「不適合」と呼び、それを元請負(富士電機)としてしっかり管理できていなかったことを「不適合管理」と呼んでるようです。

納入する機器に使用する材料について、あらかじめ定められたものを使用しなかった「品質不正」と、「その管理実態」って言ってくれたら分かりやすいのに。その業界では「不適合」と呼ぶのかもしれませんが、世間一般的には「不適合」じゃなく、これも立派な不正だと思いますけど。

神戸製鋼所 取締役監査等委員が出張費不正で辞任

神戸製鋼所は2/28、「当社監査等委員である取締役の退任に関するお知らせ」を公表しました。開示では、不適切な出張旅費の精算が判明したため、同日付で本人より取締役を辞任する旨の申し出があり、受理したとしています。

監査等委員が・・・

開示では、辞任する旨のみ伝えていて、どのような不適切な行為だったのか全く分かりません。朝日新聞の報道によると、職務上の必要性が低い出張を繰り返し、不適切な処理が疑われる出張旅費の総額は最大で400万円規模となる可能性があるとしています。

やはりこの記事でも、出張先や使途などの詳しい内容は明らかにしていないと括っていました。ちなみに、「監査等委員会に情報が寄せられて問題が発覚した」ということですから、内部通報みたいです。

この常勤監査等委員、2018年6月に就任、約5年間にわたって監査等委員を務められています。同社に入社後執行役員にまで。その後、同社子会社のコベルコ建機で取締役を務めたのち、最後のご褒美的に同社の取締役に就任されたみたいな感じですね。

神戸製鋼所

神戸製鋼といえば、2018年、製品の品質不正問題で世間を騒がせました。調査後も外部弁護士の調査報告書の公表を避け、自社名義で概要を説明しておしまい。という、いかにも真剣に取り組んでる感のない対応にみえました。その3か月後に就任されたのがこの監査等委員の方です。

辞任のお知らせは開示されましたが、同監査等委員の不正に関する委員会等による調査を実施するという説明はなく、どうやら引責辞任で幕引きということのようです。やっぱり企業のカルチャーって、そう簡単には変わらないんですね。

ラサ商事 業績予想上方修正と増配公表で株価急騰

ラサ商事は2/24、「通期業績予想及び配当予想の修正(増配)に関するお知らせ」を公表しました。これを受けて翌営業日の2/27、同社株は急騰(1,601円、216円高)しています。2/27には自己株式の取得終了のお知らせが出ていて、「増配発表前に自社株買いを完了」というのはどうなのか、という点につき読者の方からご質問いただきました。

インサイダー取引?

業績の上方修正と増配を公表する直前まで自己株式の取得を行っていた。つまり公表前に安く自社株を買っていたということですから、インサイダー取引のような見え方になってしまいますね。

自己株式の取得というのは、その株数上限や金額上限を決めて買付けを公表し、例えば買い付け機関に依頼するなどして、そこから先は同社は依頼した先での買付という行為に一切関与しないんですね。そうすることで、買付け行為がインサイダー取引と見做されないようにします。おそらくラサ商事の場合もこういうカタチをとっていると思います。

自己株式の取得終了のお知らせが一日遅れたため見栄えが悪いんですが、2/24の取引終了後同社が取得終了の報告を受け、そのことをもって取締役会で増配等を決議したという流れであれば、さらに問題なさそうです。ただこの場合も、その証跡がしっかり残っているか、増配等を決定したのが本当に、かつ実質的にその時点だったかどうかは問題視されるかもしれません。

監視委員会は動くでしょう

ただ際どいタイミングですし、株価が急騰していることもあり、監視委員会は調査を開始するんじゃないかと思われます。過去に増配という重要事実が未開示の状態で自己株式を取得したとして摘発されたケースもありますしね。いろいろと突っ込みどころはありそうですが、「業績上方修正と増配の公表」をしたいので、自己株式の取得を急がせていた(指図していた)。みたいなことが出てくると厄介です。

カッパ・クリエイト 東京地裁の初公判で無罪を主張

日本経済新聞は2/26、「「かっぱ寿司」公判、営業秘密巡り主張対立 法人、無罪を主張 元社長は認める」と報じました。競合チェーン「はま寿司」の営業秘密を不正に使用したなどとして、不正競争防止法違反(営業秘密侵害)罪に問われた件の公判ですね。

法人と社長個人で割れたね

営業秘密を持ち出した本人であるカッパ・クリエイトの元社長は、既に起訴内容を認めています。一方、両罰規定が適用された法人としてのカッパ・クリエイトは、「データは営業秘密に当たらない」と主張しているということです。

争点はここですね。データ(はま寿司の仕入れや原価関連のデータだといわれてます)は営業秘密に該当しない、という判断になれば、カッパ・クリエイトだけではなく、元社長も救われるということになるんでしょう。まぁ、もしそういう判断になったとしても、元社長個人の復帰はありえないでしょうけど。

営業秘密

不正競争防止法が規定する営業秘密の定義は、①秘密として管理されている(秘密管理性)、②事業などに有用(有用性)、③公に知られていない(非公知性)――の3要件を満たす情報であること(多分前にも書いたと思いますが)。

個人的には十分3要件を満たしていると思うんですけどね。カッパ・クリエイトとしては②の有用性のない情報だ、として争うということですかね。情報持ち込んだけど、社内で検討してみたら全然有用性がなかったんです、、、みたいな言い分が通用するんでしょうか。いや、それ、無理でしょ。

グローリー 電子マネー決済システムの障害

グローリーは2/24、「2月14日から2月19日にかけて発生した電子マネー決済システム(iD決済)の障害に関するお詫びとお知らせ」を公表しました。同社が提供する電子マネー決済システムの障害により、一部の加盟店でのiD決済において、利用代金が二重に引き落としされる事象が発生したということです。

システム障害の概要

発生した障害はまぁ、冒頭で書いた通りで、すでに原因を特定し、正常に復旧しているとのこと。本件は、サイバー攻撃等によるものではなく、顧客の個人情報の流出はないとしています。二重引き落としされた利用者に対しては、利用者側の手続きなく、後日、カード発行会社から返金されるそうです。

ちゃんと開示しようよ

このシステム障害の件、kuniが知ったのはメルカリのヤフー掲示板でした。適時開示はされておらず、ホームページ上のお知らせのみ。メルカリは適時開示もホームページでのお知らせすらもしていません。まぁ、同社はグローリーにとっての「一部の加盟店」ということで、うちのシステムの問題じゃないから、ということかもしれませんが。

自分で定期的にホームページとか見に行ってる人以外は、たとえ株主であっても、被害に遭われた方でも、このシステム障害の件は知らないということですからね。企業の開示に対する姿勢って、こんなもんで良いんでしょうか。

自社に都合のよくない事案はできるだけ伏せる。こういうのって本当によろしくないと思います。この感覚って、kuniだけなんでしょうか?