JR九州 子会社のJR九州高速船における不正で第三者委員会を設置

JR九州は9/3、「第三者委員会設置に関するお知らせ」を公表しました。子会社のJR九州高速船が、日韓高速船で浸水を隠して運航を続けていた問題で、外部の弁護士らによる第三者委員会を設置したということです。

JR九州

JR九州は運輸サービス、不動産・ホテル、流通・外食、建設、ビジネスサービスの各事業を九州全域を中心に展開。運輸サービスグループでは、鉄道やバス事業を手掛けています。鉄道事業では新幹線2路線、幹線8路線、地方交通線13路線の合計23路線を運営。東証プライム上場企業です。

不正の概要

浸水隠蔽があったのは、博多港―韓国・釜山港を結ぶ高速船「クイーンビートル」。2023年6月に浸水を報告せずに運航を続けたとして国交省から最も重い行政処分を受けたのち、今年2月に少量の浸水を確認したが国土交通省に報告せず、3カ月以上にわたって運航を継続しました。この間、航海日誌を偽装するなどしていたといいます。

さらに、行政処分を受けて国交省に提出した改善報告書で約束した再発防止策がまったく守られていなかったことも露呈しています。子会社のJR九州高速船の社長を中心に、組織ぐるみで不正行為に及んだこともわかっているといいます。

子会社の社長が浸水隠蔽を指示し、親会社のJR九州は子会社からの「異常なし」という報告を鵜吞みにしていた、という全くもって情けない事案です。

過剰な診療報酬の請求 関西の有料老人ホーム運営大手「スーパー・コート」でも

共同通信は9/3、「関西大手ホームでも不正、過剰か 入居者訪問看護「全て複数人に」、と報じました。昨日取り上げたサンウェルズの事例とほぼ一緒です。

スーパー・コート

スーパー・コートはホテルチェーン「スーパーホテル」と同一グループで、老人ホームやパーキンソン病専門住宅を約50カ所運営する企業。入居者向けの訪問看護ステーションも併設しています。この会社は上場企業ではありませんが、昨日の記事との関連で取り上げています。

過剰な請求

入居者への訪問看護について、必要性に関係なく100%複数人での訪問にするよう全社的に指示していたことが3日、共同通信が入手した社内文書で分かったとのこと。さらに、複数の現・元社員が「看護師1人で訪問した場合でも『複数人で訪問した』という虚偽の記録を作り、診療報酬を不正に請求している」との証言が。

これに対するスーパー・コートの反応は、「過剰な報酬請求には当たらないと考えている。不正請求の指摘については、会社の指示ではないことを明確に申し上げる」というもの。いやいや、会社の指示なしにこんなこと起きます?この業界の不正請求(もしくは過剰請求)って、どうやら業界標準になってるみたいですね。ひどい話です。

株式会社サンウェルズ 難病向け老人ホームで不正請求か

株式会社サンウェルズは9/3、「共同通信社における記事について」を公表しました。前日に共同通信が報道した不正請求に関する記事を否定するとともに、記事の内容が同社の信用を毀損しているとして、訴訟を含めて法的措置を検討している、といった内容です。

株式会社サンウェルズ

サンウェルズは、介護施設の運営を主力とし、指定難病であるパーキンソン病専門の有料老人ホームを展開する企業。各種介護サービスを提供し、介護保険や健康保険、障害福祉サービスによる保険給付や、利用者が支払う自己負担金などの収入を得ています。本社を金沢に置く東証プライム上場企業です。

共同通信の記事とそれに対する反論

記事が不正請求ではないかと指摘しているのは、共同通信が入手した社内のマニュアルでは「1日3回」「複数人での訪問」を「必須で入力」となっており、複数のホームで、併設の訪問看護ステーションがホーム入居者への訪問について実際とは異なる記録を作り、不正に診療報酬を請求していたというもの。

これに対してサンウェルズは、「1日3回」、「複数人での訪問」、それぞれについて一律に実施するのではなく、主治医の指示に基づき、入居者の状態に合わせて個別に判断しているといった主張になっています。が、マニュアルに基づき不正な入力が行われている可能性については今一つ反論できていないような感じですね。

正直、現段階で白か黒か分かりません。ただ、共同通信の記事がサンウェルズの複数の現・元社員の証言に基づいているという点、この情報を受け同社株が株式市場で大量の売りを浴び、ストップ安売り気配となっている点。これはかなり気になります。

バリュエンスホールディングス 従業員の不正行為に関する調査結果

バリュエンスホールディングスは8/30、「当社連結子会社の元従業員による不正行為に係る社内調査結果等のお知らせ」を公表しました。今年3月に公表していたこの事案、あの時の開示をもってほぼ調査終了って感じでしたが、その後も継続していたんですね。

調査結果

子会社における不動産仲介サービスにおいて、元従業員が 2023年11月から 2024年3月までの間、計4回にわたり、不動産売却意向のないお客様が保有する不動産に関し、不動産売却の仲介依頼を受けたように捏造し、不動産仲介手数料等として現金合計約6百万円(内、約2百万円は回収済。)を着服していた。

2023年12月から 2024年3月までの間、計3回にわたり、正式に締結した不動産仲介契約において、仲介手数料及び手付金の金額を過少に報告し、仲介手数料及び手付金の一部である現金合計約1百万円を横領していた。 というのが不正行為の概要です。

内部管理体制の不備

不正行為の発生原因として、不動産事業部における金庫の鍵、社判及び印鑑などの現物管理ルール等に不備があったことがあげられており、再発防止策に法務部や総務部に決裁・承認権限を集中させる、といったことが書かれています。

要するに、少なくとも本業とは言えない不動産事業部では、契約の締結や契約内容の変更(手数料の割引など)が、現場で勝手に行われていたということ。さらにそうしたことを本社がチェックできていないという杜撰な管理状況でした。しかし、上場企業でこんなことってあるの?

日産自動車 日産横浜工場で作業員の死亡事故

産経新聞によると8/28午前4時半ごろ、横浜市鶴見区大黒町の日産自動車横浜工場で、クレーンで作業していた59歳の男性が、重さ約2トンの鉄棒の束とフェンスの間に挟まれた状態で見つかり、搬送先の病院で死亡しました。鶴見署は詳しい状況を調べているとのこと。

日産自動車

日産自動車は、日系自動車メーカーの中でトヨタ、ホンダに次ぐ第3位の規模を誇る自動車メーカーです。ルノーと三菱自を加えたアライアンスを形成。中国では、東風汽車との合弁会社で事業を展開している東証プライム上場企業です。過去にはゴーン氏の問題や検査不正、下請け法違反などが起きている会社。

事故の概要と過去

直径4・6センチ、長さ6メートルほどの鉄棒26本をまとめた束を、クレーンで移動する作業中だったということで、工場の警備員が発見しました。発見の時間が午前4時半ごろということで、実際に事故が起きた時間はまだ分かりません。こんな時間から作業はしてないでしょうから、おそらく事故発生は前日の夜ですかね。

この会社もいろいろとで出てきますね。今年4月にはグループ会社の日産自動車九州工場の敷地内で1名の死亡事故。2017年には日産追浜工場でも死亡事故が起きてます。不正が横行する企業では、現場で働く労働者の安全も守られていないってことか。