日立造船グループ 舶用エンジン事業で燃費消費率データを捏造

少し前になりますが、日立造船は7/5、「当社グループにおける舶用エンジン事業に関する不適切行為について」を公表しました。連結子会社の日立造船マリンエンジン、アイメックスにて、舶用エンジンの陸上運転記録にデータの不適切な書き換えが行われていたということです。

日立造船

日立造船はプラント・機械大手の一角。祖業の造船から事業ポートフォリオを転換し、現在は、ごみ焼却炉や産業廃棄物処理プラントといった環境装置・プラントの設計・製造・販売が中核事業の東証プライム上場企業です。ちなみに現在では造船は一切やってません。

不正の概要

子会社2社において、顧客が立ち会ってエンジンを試験運転する際に記録する燃料消費率を、実際とは違う数値に書き換えていました。データ改ざんしたエンジン数は現時点で1364台に上るとのこと(調査対象は1366台、つまり、ほぼすべて)。

IHIによる船舶エンジンの運転データ改ざんを受けた国交省の注意喚起がきっかけで、社内調査を実施し、問題が発覚したといいます。

国交省は日立造船による報告を受けて、NOx規制の順守が確認されるまで規制基準を満たした製品であることを示す証書を交付しないと発表しました。エンジンを事実上出荷できなくなるようです。当局が横展開すると必ず第2、第3の不正が出てきます。

防衛省、金品提供問題の調査広げる 三菱重工は急落

防衛省は海上自衛隊の潜水艦乗組員らに対する川崎重工業の金品提供問題を受けて、三菱重工業や下請け企業など関連する企業も、近く始める特別防衛監察で調査の対象とすると昨日伝わりました。

特別防衛観察

特別防衛観察とは、防衛省・自衛隊で起きた重大な不正行為や倫理違反について、客観的な解明が必要だと防衛相が判断した際に監察する制度です。これまで南スーダンの日報問題や元陸上自衛官の女性が性被害に遭った問題などで計6回実施されています。

三菱重工は急落

このニュースを受けてだと思われますが、昨日の三菱重工株は急落(1875円、125円安)しました。ここまで防衛関連株の中心銘柄として大きく上昇してきただけに、「川重同様の事案が出てくるのでは」と市場が疑心暗鬼になり、ろうばい売りを誘ったということでしょう。

他にも川重やIHIも売られました。しかしまぁ、この3社抜きでは日本の防衛産業は成り立ちませんし、輸入に頼るなんてのも国策に反します。そう考えていくと、今回の特別防衛観察は、どの辺りを落としどころにするのか、、、っていうことなんでしょうね。

ちなみに、潜水艦に限ってみれば、建造を手掛けるのは川崎重工と三菱重工の2社に限られており、海上自衛隊が保有する潜水艦計25隻のうち12隻が川崎重工製、13隻が三菱重工製だそうです。

三菱UFJ銀行 行員のインサイダー取引

三菱UFJ銀行の行員が、同行の顧客企業に関する株式公開買い付け(TOB)などの情報を、公表前に入手し親族らに漏えいしていた疑いがあるとのこと。親族らは顧客企業に関する株取引を行い、数百万円の利益を得ていた可能性があるといいます。

三菱UFJ銀行

同行に関しては今更説明は必要ないでしょう。いわゆるメガバンクの一角。先月、顧客情報を系列証券と無断共有することを禁じるファイアーウォール規制違反で、金融庁から業務改善命令を受けていましたね。

インサイダー取引

今回インサイダー取引を疑われているのは、同行本社に勤務し、系列証券への出向経験もある行員。同行や系列証券の顧客企業に関するTOBなどの非公開情報を業務で把握し、2023年までの間、公表前に複数回にわたって親族らに伝えた疑いが持たれているようです。

今回の報道で知ったんですが、ファイアーウォール規制違反の調査過程で、今回とは別の行員が顧客情報を使って自己利益目的の株取引を行っていたことも発覚しており、この行員は懲戒解雇されていたんだそう。

形式や手続きを欠いただけのファイアーウォール規制違反であれば大したことなさそう、と思ってましたが、行員のインサイダー取引なんかが複数件出てきているとなるとこれは看過できません。行内の情報管理態勢、ボロボロですね。どうなっちゃったんでしょう三菱UFJ。

SMBC日興証券元社員 顧客から300万円詐取容疑で逮捕

報道によると、金融商品の購入を装い、自身の口座に投資資金を送金させて現金約300万円をだまし取ったとして、警視庁渋谷署は詐欺容疑で、元SMBC日興証券社員(25歳:渋谷支店の営業)を逮捕したということです。犯行が行われたのは昨年10月~今年2月までの期間らしいです。

SMBC日興証券

日興証券は株式会社三井住友フィナンシャルグループの100%子会社。国内に100店舗以上を構える従業員9000人ほどの証券会社です。現在では野村、大和、日興、みずほ、三菱UFJモルガンスタンレーが大手証券と呼ばれています。

日興証券といえば、公募増資に関するインサイダー営業や、執行役員らのインサイダー取引、仕組み債の違法な勧誘、ブロックオファー取引での相場操縦などなど。不正行為のデパートのような存在です。

逮捕容疑

同社の金融商品「日興ファンドラップ」を追加購入させる際、「会社の振込専用口座にシステム不調で入金できない。着金の確認が早いので、私の口座に振り込んでほしい」などとうそをついて、計3回にわたり現金約300万円を振り込ませて詐取したということです。なんとも古典的な手口ですね。

容疑のほかにも1000万円以上詐取してるようで、「ギャンブルや借金返済の金がほしかった」というのが動機。まだ他にも被害者いそうですね。同社の過去の数々の不正と比べると、かなり小規模な不正行為だからでしょうか、日興証券も三井住友フィナンシャルグループもコメントすら出してないようです。

株式市場 今後注目されそうな賃貸不動産の含み益

東洋経済オンラインで、「首位は4兆円、賃貸不動産の含み益が多い企業80社」という記事がありました。ここでいう含み益というのは、現時点での「潜在的な(評価上の)利益額」のこと。実際に売却するまでは金額が確定しないものの、過去の株式市場ではよく材料視されてきました。

時価評価

日本では以前、会計上、保有する不動産を取得時の価額で計上する方法が一般的でした。しかし、資産価値の変化を会計に適切に反映できないという弊害があることから、2000年から順次時価評価の適用が拡大されてきました。バブルの時代、不動産は簿価で評価されており、時価との差額である含み益が、しばしば株式市場での買い材料となっていたんですね。

その後この時価評価は有価証券等にも拡大され時価評価が当たり前になっていたんですが、この記事が言っているのは「賃貸不動産」です。会計上、賃貸不動産は取得したときの価格(簿価)で貸借対照表に計上され、不動産の高騰などで価格が変わっても、売却しない限りは基本的に利益を計上しないんだそう。

株式市場のテーマに?

確かに、よそ様にお貸ししている不動産ですから、そう簡単に売却して現金化はできない資産だからという判断だったんでしょうね。しかし、今では店子に影響がない形でビルやショッピングモールなど、他社やファンドに譲渡される事例はいくつもあります。

会計処理のルール変更を、、、なんて話題が出始めたら株式市場はほっとかないでしょうね。ちなみに4兆円で首位とされたのは三菱地所。以下に大手不動産や電鉄会社などが並んでました。