家電大手ノジマ 2000万円詐取で元社員逮捕

神奈川県警は6/4、虚偽の請求書を金融機関に提出し、家電量販店大手ノジマの子会社の口座から計2千万円をだまし取ったとして、詐欺と偽造有印私文書行使の疑いでノジマの元社員を逮捕しました。容疑者は「間違いありません」と容疑を認めているということです。

ノジマ

ノジマは首都圏での家電量販店と全国での携帯キャリアショップ運営が主力。そのほか、ブロードバンド接続などのインターネットサービス、東南アジアでの家電量販店の展開、個人向け金融サービスなど事業を多角化する東証プライム上場企業です。

子会社アイ・ティー・エックス

不正の舞台となったのは子会社のアイ・ティー・エックス。2015年にノジマが子会社化した会社です。この不正行為については、昨年4月、「当社元従業員による業務上横領の疑いについて」としてノジマが開示していました。容疑者はノジマの財務経理部に所属し、アイ・ティー・エックスに経理担当として派遣されていたとのこと。

開示では、2023年2月から同年4月にかけて、複数回に亘り、子会社の預金を引き出し、又は、インターネットバンキングサービスを利用して自らの口座に送金することで、総額1億20百万円程の現金を私的流用していたとしていました。今のところの逮捕容疑は2000万円ですが、この後まだ拡大しそうです。

当時この従業員へのヒアリングも行っており、逃亡していたわけでもなさそうです。子会社はその時点で刑事告訴していたようですが、なぜ逮捕まで1年以上も要したんでしょうね。なにか他にも問題あったのかな?

マツダ 広島本社工場で火災事故

国土交通省から要請を受けた「型式指定申請における不正行為の有無等に係る実態調査」に基づき、2つの試験項目において、計5試験で不正があったことを5月30日に同省に報告したマツダ。その直後の6/1には、本社工場(広島市)で火災事故を起こしていたようです。

マツダ

マツダは乗用車主体の完成車メーカーで、世界生産台数では大手3社(日産自、トヨタ、ホンダ)とスズキに続く国内第5位に位置する企業。もちろん東証プライム上場企業です。2017年からはトヨタと業務資本提携をしています。

火災事故

6/1、正午過ぎ、広島市南区のマツダ本社の工場内にある、車軸の金属部品を熱処理する「車軸A棟」の建屋内から出火し、炉の一部を焼いて、火はおよそ2時間後に鎮火したということです。出火当時、現場の工場は稼働中でしたが、けが人などはいませんでした。

この火災により、車軸部品を加工するラインの一部を当面停止するとしていますが、部品在庫があるため、完成車の生産には影響がない模様。もっとも、型式指定の申請で不正があった2車種、「ロードスターRF」と「マツダ2」については国内向けの生産停止に追い込まれましたが。

一斉に公表された型式指定の申請における不正の中でも、最も悪質な感じのあったマツダ。それに比べたら今回の工場火災はたいしたことないってことかもしれませんが、同社は工場火災について開示しておらず、同社のホームページのニュースやお知らせにも出てきません。こういうところにも隠ぺい体質が・・・

苦戦するデジタル不正調査 デジタルフォレンジック

6/3付け日本経済新聞に、「苦戦するデジタル不正調査 フォレンジック、『限界』報告相次ぐ企業、記録保存に甘さも」という記事がありました。企業の不正調査で、メールやサーバへのアクセスログなどを解析する「デジタルフォレンジック」(電子鑑識)が不調に終わる例が出始めているということです。

デジタルフォレンジック

デジタルフォレンジックとは、犯罪捜査や内部統制、情報流出対策として利用される調査・分析技術です。コンピュータやネットワーク、外部メモリなどから情報を収集・解析し、法的証拠として活用します。一般企業では、サイバー攻撃を受けた時の原因究明や分析、不正行為発覚時の調査対応にフォレンジック技術が使用されます。

不正に鈍感な企業だからこそ

記事では、企業が使うメールやチャットサービスのライセンスの制約により、復元困難な過去データがあるなど、企業側のデータ保存の問題が指摘されていました。発覚後に遡って調査ができるよう、可能な限り長期間のログが保存されていることが望ましいわけです。

が、しかし、そのためにはデータ量も莫大となり、全てを長期保存すればかなりのコストがかかります。不正に対してわきが甘い企業だからこそ、こうしたコストも負担できていない。ある意味当たり前です。

データがしっかり保存されているから、モニタリング等で不正が必ず見抜かれる、という意識を従業員たちに浸透させることもできるんですけどね。

シスメックス株式会社 公正取引委員会が独占禁止法違反の疑いで立ち入り検査

シスメックス株式会社は6/4、「公正取引委員会による当社への立ち入り検査について」を公表しました。日本市場における血液凝固測定装置および試薬(FDP を測定する試薬および D ダイマーを測定する試薬)の取引に関し、独占禁止法違反(抱き合わせ販売等)の疑いがあるとのこと。

シスメックス株式会社

シスメックスはヘマトロジー(血球計数検査)、免疫検査、血液凝固検査など検体検査に必要な機器・試薬・ソフトウエアの研究開発から製造、販売・サービス&サポートまでを一貫して行う総合メーカー。血液凝固測定装置は国内市場規模は約27億円で、シスメックスが半分ほどのシェア。もちろん東証プライム上場企業です。

試薬を抱き合わせ販売

同社の開示では詳細は語られていませんが、報道によると、同社は遅くとも2019年ごろから血液凝固測定装置を販売する際、病院などの取引先に自社の試薬の購入を強要し、公正な競争を阻害した疑いが持たれているとのこと。血液凝固測定装置は手術を控えた患者の血液が固まりやすいかどうかを調べる用途などに使われるんだそう。

第一報では、同社の営業担当者が取引先に対して「他社の試薬を使うのなら装置の販売をしない」などと説明していたということでしたが、その後、取引先に「他社の試薬は使えない」などと虚偽の説明をして販売していたという報道も。いずれにせよ、独禁法の禁じる「抱き合わせ販売等」にあたるわけですが。

レーザーテックに空売りファンド 暴露レポートで不正会計を指摘

レーザーテック株式会社に関して、スコーピオン・キャピタルという空売りファンドがレポートを公表。そのレポートで、スコーピオンは同社株を空売りしていることを表明しているんだそう。この情報を受け同社株は一時8%を超える急落となりました。

レーザーテック株式会社

レーザーテックは半導体関連装置を中心にFPD(フラットパネルディスプレイ)関連装置、レーザー顕微鏡などの設計、製造、販売などを行う東証プライム上場企業です。年初から日経平均が4万円を超えていく急騰相場で中心的な役割を担った企業です。

スコーピオン・キャピタル

スコーピオン・キャピタルはある銘柄に空売りを仕掛け、その後に当該銘柄の暴露レポートを公開。同銘柄が急落することで大きな利益を得てきたファンドのようです。史上最大級の不正だの、主力製品に欠陥がある、といった情報が暴露されているようで、300ページを超えるレポートだそうです。

市場の反応

同社株は終値で35,560円(-2,900円)。同社株に限らず半導体製造装置関連全体が大きく売られました。大きく上げてきた銘柄が多いだけにインパクトは大きかったようです。新NISAスタートでこの辺りの銘柄を買った人も多いはず。今後の東京市場全体に与える影響も気になるところです。

ガセ情報であれば風説の流布や相場操縦でお縄に、ということになりそうですし、何かしらあるんでしょうかね。18時現在、当のレーザーテックからは何のコメントも出ていません。コメントなしはマズいんじゃない?