ラックランド 特別調査委員会の調査結果を公表

ラックランドは4/16、「特別調査委員会の調査報告書公表に関するお知らせ」を公表しました。二代目社長による不正な経費精算(国税当局による指摘で発覚)や、売掛金の不適切な回収などが問題視されていた事案です。

不正な経費精算

社⻑の交際接待費等は2019 年度から 2023 年度までの5年間で 706百万円だそうです。凄いですね。このうち国税当局指摘事項も含めて、同委員会が不適切と認定した経費申請の⾦額規模も莫⼤で、総額 334百万円となっています。

不適切な交際接待費の⽀出類型としては、「重複精算」や「同⾏者なし経費」、「家族帯同経費」、「私的物品購⼊」といったタイトルが並んでいて、その累計は全部で5種類です。特に重複精算の総額 141百万円については、報告書でも「悪質性は顕著」であると指摘しています。

ちなみに、同社⻑の経費申請について指摘を受けた(事業関連性を否定された)のは、2020年から 2021年にかけて⾏われた前回の税務調査に続いて 2回⽬なんだそう。なんとまぁ、懲りない二代目ですねぇ。

読み易くて、なかなか手厳しく

今回の報告書は非常に読み進めやすくまとめられていて、かつ、なかなか手厳しい指摘がなされています。特に社長個人に対しては、「⼀連の社⻑の⾏動から窺われるのは、会社の資産を守るという規範意識に乏しく、会社の資産を個⼈的な⽬的に費消しても構わないという『公私混同』の意識にほかならない」などとバッサリ。経費精算も関連している⻑期売掛⾦の回収事案についてはまた後日。

中部水産株式会社 土曜日に調査報告書を公表

中部水産は4/13,「特別調査委員会の調査報告書公表に関するお知らせ」を公表しました。前回の調査報告書受領から、5日間かけて部分的な非開示措置を施し、土曜日に結果を公表するとしていた中部水産。その言葉通り土曜日に調査報告書が開示されました。

不正の概要

第一報の段階から、あくまで取引先の不正に巻き込まれただけなんです、的な書き振りや、公表が土曜日ってのもあって、どんな調査結果が出てくるのかと思っていましたが、まさにそういう同社の姿勢を確認したという結果となっています。

循環取引について、商品の流れは、「A社 → 中部水産 → B社 → A社」となっています。で、当然ですが資金の流れとしては矢印の逆に動きます。資金繰りに苦しんでいたA社がたくらみ、中部水産とB社を巻き込んだわけです。中部水産はこのことを知らずに取引に参加していたといいます。

肝心の商品はA社の倉庫に保管されたまま商品の名義変更だけが行われ、B社から中部水産への支払いは適切に行われていたため、中部水産はうすうす気づいていたものの何の対処もしていません。(ここまではA社事案)

2014年にも

その他の事案では循環取引を認識しつつ参加していた事案もあるようで、同社としてのこうした不正な取引に関する認識や社員教育の薄さが原因となっています。報告書の中で出てくるんですが、同社は2014年頃に循環取引が判明し、監査法人に指摘されたことがあったそう。その際何を学んだんでしょう。

ホッカンホールディングス株式会社 連結子会社従業員が3億円超の私的流用

ホッカンホールディングスは4/11、「当社連結子会社元社員による不正行為に関するお知らせ」を公表しました。同社連結子会社である昭和製器株式会社の社員による不正行為が判明したということです。

ホッカンホールディングス

ホッカンホールディングスは、食品缶・ペットボトルなどの容器の開発、製造に加え、各種飲料の充填までを一貫して提供する企業。各種飲料の受託充填が収益の柱で、主要な顧客である伊藤園への売上が売上高全体の2割程度を占めています。東証プライム上場企業です。

不正の概要

不正行為が発覚したのは連結子会社(100%子会社)である昭和製器株式会社(小樽市)。資本金は4000万円。2015 年 8 月から 2024 年 3 月にかけて、複数回にわたり同社の預金をインターネットバンキングサービスを利用して自らの口座に送金することで、総額約 3億 50百万円を私的流用していたということです。金融機関から指摘があり不正が発覚しました。

この従業員は同社に対して上記の私的流用を認めていることから、既に警察に対して被害届を提出、懲戒解雇処分としたようです。現時点で判明している損害見込額は約 3億 50百万円となっていますから、回収の見込みはないということでしょうか。

しかし、8年半にわたりこれほどシンプルな不正を発見できなかったとは。従業員は経理部門で取引先などへの送金業務を担当していたといいますが、人事ローテーションはまったく行われてなかったんでしょうね。会社側の責任も大きいです。

株式会社ウイルコホールディングス 雇用調整助成金の自主返還?

ウイルコホールディングスは4/9、「助成金の自主返還額の確定および第三者委員会組成の決定に関するお知らせ」を公表しました。2020 年 4 月から 2023 年 1 月までに受給した雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)を自主返還するというもの。

ウイルコホールディングス

ウイルコホールディングスは、商業印刷物や特殊ラベル・シールなどの製造・販売を手掛けます。受け取った消費者が行動を起こすまでを分析し、「思わず開封したくなる」「もっと見たくなる」製品の企画立案、デザインから印刷・加工・配送までを提供する企業です。石川県白山市に本社を置く東証スタンダード上場企業です。

自主返還額

同社グループがこれまでに行った雇用調整受給金の申請内容につき、石川労働局より指摘を受け、社内調査を行ったところ、不正受給が判明したとのこと。自主返還額は 860百万円だそうです。同社の開示では、やたらと自主申告だの自主返還という言葉が多用されていて、不正とか不正受給といった言葉は出てきません。

この会社、2011年には障害者団体向け郵便割引制度を悪用し、料金を不正に免れたとして、会長と執行役員が郵便法違反罪にも問われてるんですね。なんだか信用ならない会社。今回の開示でも不正は不正として正直に書くべきでは?

いすゞ自動車近畿 元課長 約束手形詐取容疑で逮捕

和歌山県警は10日、「いすゞ自動車近畿」の元和歌山支店営業課長と、同社の取引先の社長を詐欺容疑で逮捕しました。いすゞ自動車の関連企業であるいすゞ自動車販売に虚偽の請求書を提出して、額面1千万円超の約束手形をだまし取ったということです。

いすゞ自動車近畿

上場企業であるいすゞ自動車との関係性を整理すると、いすゞ自動車の100%子会社がいすゞ自動車販売。いすゞ自動車販売の100%子会社がいすゞ自動車近畿ということのようです。つまり孫会社ということになりますね。

逮捕容疑

2人の逮捕容疑は、共謀して2017年5月ごろから22年1月ごろ、受注したトラック約20台に付属品などを取り付けたとする虚偽の納品請求書をいすゞ自動車販売に提出し、約束手形(額面計約1,137万円)などをだまし取った疑いとのこと。

昨年にも

調べてみると、いすゞ自動車近畿では、昨年2月にも取締役が詐欺容疑で逮捕されています。この事件の手口も今回のケースによく似ていて、トラック約210台分のスタッドレスタイヤの注文を受けたとする噓(うそ)の納品請求書を提出。実際はタイヤを納品していないにもかかわらず、納入費を架空請求し、約7,800万円をだまし取っています。やれやれ、いすゞ自動車近畿ってどんな会社?