三菱UFJ信託銀行行員 不動産ローン3.8億円詐取容疑で逮捕

日本経済新聞は3/5、「不動産ローン3.8億円詐取 三菱UFJ信託行員ら、容疑で逮捕」と報じました。警視庁捜査2課は5日、不動産コンサルティング会社代表の容疑者(31)や三菱UFJ信託銀行行員(47)ら、4人を詐欺などの疑いで逮捕したということです。

三菱UFJ信託銀行

三菱UFJ信託銀行は、三菱UFJフィナンシャル・グループ傘下の信託銀行です。三菱信託銀行と、それ以前に存在したUFJホールディングス傘下の三和銀行の流れを持つUFJ信託銀行(前身は東洋信託銀行)の合併により2005年に誕生しました。三菱UFJフィナンシャル・グループが持株会社として上場しており、三菱UFJ信託は上場企業ではありません。

事案の概要

虚偽の源泉徴収票を示し、虚偽サイトの預金残高を示すなどして、横浜銀行から不動産ローン(アパートローン)の融資金3億8000万円をだまし取ったという容疑です。不動産コンサルティング会社代表が審査を通過させる指南役の中心で、コンサル業務の顧客らと同様の不正な融資申請を重ねていたようで、被害額は約32億円に上る可能性があるとのこと。

不動産コンサルティング会社代表の悪知恵に便乗した不正ということですが、同じ金融機関の人間が他の銀行をダマすという非常に残念な犯行です。ハメられた横浜銀行もしかり。これほどの犯罪が起きたのに、この原稿を書いている時点で両行からは何のコメントも出ていません(メディアに迫られて会見はしたようですが)。

ヤマウホールディングス連結子会社 水門工事で事故発生

ヤマウホールディングスは3/5、「業務遂行の過程における損害発生に関するお知らせ」を公表しました。桶門ゲートの補修工事時の過失により、2024 年2 月 28 日深夜から 29 日未明にかけて海水が越流し、堤内地側の田・畑・果樹園等を冠水させる事故が発生したということです。

ヤマウホールディングス

ヤマウホールディングスは、九州地盤の土木インフラ整備向けコンクリート製品メーカー。道路や河川、ダムなどの土木工事向け製品を手掛け、公共事業向けが売上高の7割程度を占める福岡市に本社を構える東証スタンダード上場企業です。

事故の概要

事故を発生させたのは、同社連結子会社の開成工業。熊本県天草市における工事で、桶門ゲートの補修工事時の過失に伴い、海水が越流し田・畑・果樹園などを冠水させる事故が発生したということです。(樋門というのは正確には水門とは違うみたいです)

桶門ゲートを取り外して堤防上で補修作業を行っていましたが、土のう積で浸水を防止できるとの判断から、作業終了時に桶門ゲートを取り付けなかったとのこと。川から水路へ水が逆流しないように補修工事をしていて、この過失はマズいよね。

海水が流れ込んだ農地の広さなど、詳細が分かりませんが、これ、かなりの損害賠償となる可能性がありそうです。この件に関する開示は11:50に行われているんですが、直後からヤマウホールディングスの株価は売り込まれ急落。2,059円の288円安となっています。

消費者庁 飯田グループホールディングス他4社に景品表示法に基づく措置命令

消費者庁は3/1、「飯田グループホールディングス株式会社ほか4社に対する景品表示法に基づく措置命令について」を公表しました。5社が供給する注文住宅の建築請負について、それぞれ、景品表示法に違反する行為(優良誤認)が認められたということです。

飯田グループホールディングス

飯田グループホールディングスは戸建分譲事業、マンション分譲事業、請負工事事業とこれらに関連する事業を行う住宅分譲大手。戸建分譲の年間販売数は4万棟程度。特に東北、関東、東海エリア、沖縄県などで高いシェアを持つ、パワービルダー大手。東証プライム上場企業です。

違反行為

自社ウェブサイトやポスティングチラシ、メール、看板等において、「飯田グループは皆様に選ばれて3冠を達成いたしました」、「土地情報が豊富な注文住宅会社 第1位」、「高品質なのにローコストな注文住宅会社 第1位」、「初めて住宅を建てる方におすすめの注文住宅会社 第1位」等の表示を行っていました。

ところが、この表示の根拠となっている調査が客観的な調査方法ではなく行われており、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であるとの誤認を与える可能性があるという指摘です。調査会社が悪い、みたいだけど、いかにもそんなこと承知の上でやってるよ、って感じするけど。

同社は同日「注文住宅広告に関するお詫びとお知らせ」を公表し、「お客様をはじめ、関係者の皆さまにご迷惑をおかけしましたこと、心よりお詫び申し上げます。」としていますが、どうなんでしょう。謝って済むなら警察は要らん、と言いますよね。

消費者庁 内部通報制度に関する調査結果

消費者庁は2/29、「内部通報制度に関する就労者1万人アンケート調査の結果について」を公表しました。制度の内容を「よく知っている」、「ある程度知っている」と答えた人は4割に満たないという結果になっています。

内部通報制度

内部通報制度は、従業員等から勤務先の法令違反等に関する相談・通報を受付け、調査を行い、是正する制度です。2022年6月に改正された公益通報者保護法は、労働者が301人以上の事業者に対し、内部通報に対応する窓口の設置や内部規定の策定などを義務付けています。

今回の調査では、制度の内容を「よく知っている」、「ある程度知っている」と答えた人は4割に満たない(38.6%)という結果でした。ただし、この結果は従業員数3人以上といった小さな企業までを含んだ結果。法が求める従業員数が301人以上の企業では、従業員数が「300人超1,000人以下」の場合、42.4%、「5,000人超」の場合、52.3%となっています。

通報窓口

また、勤め先の内部通報窓口の存在については、従業員数が「300人超1,000人以下」の場合で65.4%、「5,000人超」の場合、45.7%が、未設置または認知していないという結果となっています。こちらの結果の方がショッキングですよね。制度は知っていても、自社の通報窓口を知らなければどうにもなりません。

今の時代、外部の窓口(特に週刊誌等)に通報され、取材をもとに叩かれ始めたらもうどうにもなりません。企業としては対象者(被通報者)等を切ってお終いにするしかありませんし、経営陣も大きな責任を負うことになります。そうならないように、もう一度社内で制度の趣旨や窓口についてしっかり周知しましょう。

京都を代表する企業 オムロン ワコール 希望退職者募集

日経平均株価がバブル時の最高値を更新したと大騒ぎですが、オムロンは2/26、国内外で合計2,000人の人員を削減すると発表しました。国内では4月から5月末まで、40歳以上の正社員などを対象に約1,000人の希望退職を募るということです。

オムロン

オムロンは様々なモノを計測するセンサーの技術に強みを持つ企業。これを活用した工場自動化用制御機器(FA機器)が主力事業です。我々の身の回りでは血圧計などのヘルスケア事業も展開する東証プライム上場企業です。京都を代表する企業ですね。

オムロンが大規模な人員削減に踏み切るのは、IT(情報技術)バブル崩壊後の2002年以来だそうです。同社の連結従業員数は約2万8,000人(23年3月末時点)で、2,000人が退職すれば7%程度の人員を削減することになります。

ワコール

同じ2/26、同じく京都を代表する企業のワコールは、募集していた早期退職に215人が応募したと発表しました。11月に今期の最終赤字が拡大するとの見通しを公表するなか、販売職を除く正社員で45歳以上64歳以下の150人程度の早期退職を募集するとしていました。同社の想定より多くの人が応募したんですね。

インバウンドで訪日外国人が大挙して訪れる京都。地場産業はかなり潤ってると思われますが、京都発で世界に名を轟かせてきたオムロンとワコールは業績悪化に苦しんでます。なんなんでしょう、このコントラスト。