長野電鉄株式会社 子会社従業員の不正行為 私的流用 約4億6,600万円

長野電鉄は12/22、「弊社子会社の元従業員による不正行為に関するお知らせ」を公表しました。世の中不正といえばダイハツ工業一色になってますが、ちょっと意外な不正行為の話題。同社は上場企業ではありませんが、金額が金額だけに取り上げてみます。

長野電鉄

長野電鉄は鉄道業(長野電鉄線)を中心に、併せて不動産業、観光事業、旅行業、広告業、保険代理店業、関連事業を展開する企業。本社は長野県長野市です。その子会社である長電建設株式会社(資本金2,000万円、従業員38名)が不正の舞台となりました。

不正の概要

元従業員が、平成26年11月から令和4年9月までの約8年間にわたり、取引実態のない架空の請求書を偽造するなどにより、外注先への経費の支払いを装って同社預金口座から不正に払い戻しを行い、これを私的に流用していたもの。この不正行為により同社が受けた損害額は合計約4億6,600万円だそう。

従業員わずか38名の会社で、8年間にわたり約4億6,600万円って凄いですね。詳細の情報が公表されていないのでよく分かりませんが、経費の管理を一人に任せっきりだったんでしょうね。会社のサイズから考えてもかなりのダメージになりそうです。同じ長野県では今年5月、株式会社ヤマウラで似たような事件が発生してました。やはり億円単位の不正でしたね。

東京インキ株式会社 子会社荒川塗料工業で火災事故

東京インキは12/21、「当社連結子会社(荒川塗料工業株式会社)の火災に関するお知らせ」を公表しました。実はkuniも途中まで東洋インキの開示だと思っていたんですが、正しくは東京インキです。子会社の荒川塗料工業で火災事故が発生しています。12/22には第2報も公表されました。

東京インキ

東京インキは各種包装・自動車部品などの各種プラスチック製品向けの着色剤などを製造する化成品事業のほかに、商業印刷や包装向けのインキやコート剤を生産するインキ事業、各種包装用ネットなどを供給する加工品事業も手掛ける東証スタンダード上場企業です。

事故の概要

12/20午後4時ごろ、同社100%子会社である荒川塗料工業加須事業所 工場D棟(埼玉県加須市)塗料製造工場にて火災事故が発生し、午後9時頃鎮火したとのこと。人的被害は軽傷者 1 名とされています。物的被害については22日現在調査中としています。

火災が発生したD棟を除く、すべての生産設備について安全が確認され、関係当局からの許可を受け安全面に最大限配慮し、生産および出荷を再開できたようです。

ちなみに、2017年末に強烈な爆発・火災事故(15人が死傷)を起こした荒川化学工業は東証プライム上場企業で、荒川塗料工業とは全く別物です。「東京」と「東洋」、「塗料」と「化学」の違い、今日はかなりややこしい記事になってしまった。

ジーエヌアイグループ 会社四季報にいきなりケンカを売る

ジーエヌアイグループは12/18、「会社四季報記載の当社記事に関して」を公表しました。同日発売された四季報(2024 年1集新春号)の「契約一時金の反動減大。販売・開発等費用増で利益反落。」という記載について反論したという開示です。

ジーエヌアイグループ

ジーエヌアイグループは中国を拠点に、バイオ技術を活用して新薬探索・臨床開発から製造、販売まで垂直統合型で事業を行う企業。主にアジアで患者の多い疾患をターゲットにした治療薬を開発。中国に自社の製薬工場を持ち、米国では医療機器の事業を展開する東証グロース上場企業です。俗にいうバイオ創薬ベンチャーってやつですね。

四季報に嚙み付く

問題の四季報の記述は2024年12月期に関するもの。同社の言い分は、「現時点では 2024 年度の業績予想数値を公表しておらず、また、減益との回答も一切しておりませんが、来期も更なる上積みが期待できる要素が多数あり、順調に成長出来ると考えております。」とのこと。

自社が公表すべきことをメディアが出し抜いて報道したり、その内容が間違っていたりした場合は、こうした反論をすることがあります。が、しかし、四季報の次年度に関する記事はあくまで東洋経済社の記者の予想でしかありません。これに反論する開示はちょっと珍しいですね。自社の将来や株価について意識が高いことは良いことですが。

ダイハツ工業(その2) なぜこんなことに

1989年から34年間、試験データなど不正が行われていました。トヨタとダイハツの業務提携は1967年、51%取得を取得してトヨタの連結子会社になったのは1989年です。不正が始まった時期と一致します。要するに親会社トヨタからの強烈なプレッシャーの下で車を作ってきたということです。

調査報告書から

調査報告書の最後には、「当委員会は、ダイハツの将来を悲観してはいない。調査の過程で等委員会が接した従業員は総じて真面目であり、改善の方向性さえ間違えなければ必ず信頼を回復できると期待している。」と書かれていました。

このことがすべてを表しているような感じですね。冒頭に書いたように、どんどんトヨタが入り込んできて、とにかく早く開発せよ、コストはとことん圧縮せよ、みたいな圧力を感じながら、それにこたえるために多くの犠牲を払ってきたということでしょう。

昔からトヨタの下請けへの圧力は有名でしたが、子会社に対しても同様だったようです。トヨタからの圧力に対抗できず、ダイハツの経営陣も同様に現場に圧力をかけるしかなくなります。そうなると、現場は良くないことと分かっていながら、やらざるをえない。どこの会社にでもありそうな構図です。

「すべて私の責任で改善する」とおっしゃっていたトヨタの会長さんは今回まだ会見等に出てこられていないようです。日野自動車に続くダイハツ工業の惨状。親会社トヨタの責任は非常に重たいです。マーケットもその辺は感じているようで、12/21の株式市場ではトヨタ株は100円安以上(4%超)売られました。

ダイハツ工業 品質不正問題がさらに拡大 全車種を生産停止に

ダイハツ工業が新車の安全性を確認する試験で、これまで6車種において不正をしていた問題。第三者委員会の調査で対象が大幅に拡大することが判明したようで、全車種の出荷を停止することが分かったと日本経済新聞が伝えました。

不正の概要

ダイハツ工業は軽自動車市場では3割のシェアを持ち、スズキと首位を争っている企業です。今年4月に最初の不正が内部通報で発覚。当初4車種としていたものの、その後5月には計6車種での不正が明らかになっていました。

当初発覚していたのは、側面衝突時の安全性を確認する試験の認証手続きにおける不正でしたが、どうやら排ガスなど環境面に関するデータの改ざんもあることが分かったもよう。ダイハツが生産する多くの車種に不正があったため、全車種の生産・出荷を停止することになりました。

海外で生産している4車種で始まったこの事案、その後国内にも飛び火し、とうとう全車種で、、、みたいな話になってきました。調査委員会の調査に対して、アンケートや通報窓口に対して従業員からいろいろと問題意識が寄せられたんでしょうね。

トヨタが開示した

2016年にトヨタの完全子会社になっていますから、その後従業員には相応のストレスがかかっていたんじゃないかと推測します。これを書いている最中に珍しくトヨタが開示しました。新たに25の試験項目において、174個の不正行為があったことが判明。64車種・3エンジンだそうです。

しかしまぁ、これだけの車種に拡大するというのはさすがに致命傷か。日野自動車のようになってきました。