株式会社ナレルグループ 子会社元従業員が逮捕 名刺情報持ち出しで

ナレルグループは9/15、「子会社元従業員の逮捕について」を同社ホームページのみで公表しました。同社の子会社である株式会社ワールドコーポレーションの元従業員が、個人情報保護法違反などの疑いで警視庁に逮捕されたという内容です。子会社名を聞けば、「あの事件か」と分かる人もいると思います。

ナレルグループ

ナレルグループは建設会社に施工管理技術者などの人材派遣を行う「建設ソリューション」と、システムインテグレーター(SIer)に技術者を派遣する「ITソリューション」を手掛ける企業の持株会社です。21年に現商号に商号変更していますが、もともとはワールドコーポレーションです。

逮捕容疑

そのワールドコーポレーションの元従業員が、名刺管理システムに対して不正にアクセスし、同社グループが保有するお客様等の名刺情報を漏洩させたものと説明しています。ただ、報道ではもう少し詳しく伝えられていて、「名刺管理システムにログインできるメールアドレスとパスワードを転職先の社員に送り、同システムを閲覧できるようにして、個人情報を提供するなどした」ということです。

情報の持ち出しは不正競争防止法違反に問われることがありますが、名刺は同法にあたらないため、今回は個人情報保護法違反が適用されたんだそう。

報道では記者から問い詰められ詳しく話すけど、自社の開示ではかなりザックリ。おまけに適時開示はなくホームページでひっそりと。ダメな会社の典型的なパターンです。

ポールトゥウィン 子会社元取締役の不正行為 調査結果を公表

ポールトゥウィンホールディングスは9/14、「特別調査委員会の調査報告書の受領及び役員報酬の減額に関するお知らせ」を公表しました。連結子会社において元取締役による不正行為疑惑が発覚した事案の調査結果ですね。9/8に予定していた決算発表も延期され、この日に一緒に公表されています。

調査結果の概要

結論からいうと、子会社HIKEが実施した初期調査において、疑義取引として識別されたもの以外に、調査委員会が新たに見つけた不正はなかったということです。元取締役による不正行為は計25件、総額 172,448千円と認定したとのこと。

ライセンス料等の権利取得金や、外注費に関する契約書等や請求書を偽装して、HIKEに支払わせ、当該支払金額を取得していました。支払った金額を元取締役に還流させる役割で、外部に2人の協力者がいたようです。

不正行為に及んだ動機

動機について元取締役は、「営業活動費用として接待交際費に充てて使用していた」と言っているようですが、調査報告書では次のように結んでいます。「HIKE のための営業等活動資金とする目的を有していたことは否定できないものの、飲食や遊興等の原資をねん出するため、自らの地位、権限、他社とのつながりを利用して、本件不正行為に至った可能性もあると考える。」

なんともグレーな結論ですね。いや、これ、結論じゃなくて推測です。こんな終わらせ方で良かったんでしょうか。

ジェット機エンジンの欠陥に、カルテルも IHIは踏んだり蹴ったり

公正取引委員会は9/12、独禁法違反(不当な取引制限)容疑で、機械式駐車設備のメーカー8社に対して立ち入り検査を実施したようです。メーカー8社がカルテルを結び、ゼネコンからの発注に対して受注調整していた疑いがあるということです。

メーカー8社

立ち入り検査を受けたのは、新明和工業やIHI子会社のIHI運搬機械、住友重機械工業子会社の住友重機械搬送システム、日精、日本コンベヤ、日本ケーブル、日成ビルド工業、フジパスクの計8社。各社一斉に立ち入り検査を受けたことを開示しています。

各社は担当者同士が電話やメールなどで、ゼネコンから発注される機械式駐車設備の見積価格を事前に相談。特定の企業が受注できるよう調整し、自由競争を制限した疑いが持たれているとのこと。

IHI株式が急落

こういうことがあると、上場企業の株価は売られるわけですが、この日はIHIの株価が大変なことになってました。同社の立ち入り検査に関する開示は14時に行われたんですが、まったく別の事案(悪材料)も出てましたね。同社が一部製造を担当するジェット機エンジンで欠陥がみつかったというもの。

週初3,800円ほどしていた株価が約600円安まで売られ、翌日も下げて3,088円です。エンジンの欠陥の方の話題がメインで売られたんだと思いますが、立ち入り検査という材料も当然悪材料なわけで・・・。いやぁ、IHIの株主には踏んだり蹴ったりの一日でした。

JTB 従業員が顧客のクレジットカードを不正利用 警察が逮捕

株式会社JTBは9/7、「『JTB旅物語中部販売センター』元従業員の不祥事に関するお詫び」を公表しました。このところ旅行代理店によるコロナ便乗業務委託費の過大請求が頻繁に話題になっていましたが、今回は顧客のクレジットカードの不正利用。また、エグイのが出てきました。

JTB

JTBは日本の旅行会社で、JTBグループを統括する事業持株会社です。昔は日本交通公社なんて呼ばれていて、2018年に現在の商号となっています。歴史もあり、旅行取扱額トップの会社ですね。上場企業ではありませんが、トップ企業ということで取り上げました。

不正行為の概要

不正の舞台となったのは子会社の「JTB旅物語」中部販売センターというところ。電話オペレーターをしていた女性容疑者(55歳)が、今年5月から6月にかけ、顧客のクレジットカードの情報を不正に使い、ライブ配信アプリで使うコイン68万円分をだまし取った疑いが持たれています。

顧客から聞き取ったカード番号やセキュリティコードを使い、ライブ配信アプリ「ミクチャ」で、女性アイドルにいわゆる“投げ銭”をしていたとみられているとのこと。本人は容疑を否認しているらしいけど、警察は顧客25人のカード情報であわせて870万円分のコインをだまし取っていたとみているようです。

いやいや、いい歳してアイドルに投げ銭するためにですかぁ。困った話ですな。JTBともなると全国にもの凄い数のオペレーター抱えてるだろうし、横展開(類似案件の調査等)大変そうです。

ラックランド 株主優待人気で当ブログのPVが?

先週あたりから、6月に書いたラックランドの記事、「株式会社ラックランド さらなる不正が発覚」のPV(ページビュー)が妙に伸びてきました。同社グループで行われていた会計不正を取り上げたものです。その記事がなぜこのタイミングで大勢の方に読んでいただいてるのかという・・・。

再発防止策

8月末に「再発防止策及び関係者の処分に関するお知らせ」が開示されていたので、最初はその影響かな、などと思っていたんですが、タイミングがズレてますし、このての話題でPVが伸びることは滅多にないんですね。気になって調べてみたら意外な情報が見つかりました。

株主優待

この会社、商業施設や小売・飲食店など店舗施設の制作会社なんですが、もともとはスーパーマーケットの冷凍設備工事などを手掛けてきた会社です。そういう業界との接点もあってでしょうか、株主優待が充実しているようです。(東北地方の名産品詰め合わせ:4,900円相当)

12月決算の会社で、6月中間期末の株主に対して株主優待のお知らせが届き始めたタイミング(9/10前後)と、PVの増加のタイミングが一致していました。株主優待の力、凄いぞ。

株価を見ても

ここ2年間の株価を見ても、毎年、優待の権利が確定する6月と12月に高値を付けています。PERやPBRなんかで見てもかなり割高に映る会社で、株主優待がそれなりの効果を生んでいるように見えます。PBR1倍割れで困ってる企業の皆さん、株主優待、意外に侮れませんぞ。