ダイハツ工業 安全認証不正で第三者委員会を設置

ダイハツ工業は5/15、「第三者委員会の設置について」を公表しました。上場企業ではありませんので、自社ホームページでの公表です。上場する親会社のトヨタからは、第三者委員会設置の件については特段のコメントは発表してないようです。

公表文の概要

今回のダイハツの公表文、個人的には好感持てました。これまでのところこの不正行為を行った主体については全く言及がありませんでしたが、今回も一担当者の問題として捉えていません。以下に公表文を引用します。

「この度の不正は、車の安全に関わる領域での不正であり、社会的に許されるものではないと考えております。この度は、内部通報という形で現場が声を上げております。経営マネジメントが現場に寄り添えず、法令遵守や健全な企業風土の醸成が疎かになる中で、正しいクルマづくりを見失い、現場が不正行為をせざるを得ない環境となってしまった結果、不正行為を発生させたと考えられます。」

「今回の不正行為を単にひとつの業務行為の問題で終わらせることなく、企業グループ全体の理念、行動指針に結びつけた改革となるよう、まずは全員で立ち止まり、不正行為をせざるを得なくなった背景・環境・真因を徹底的に究明、改善・再発防止に取り組み、膿を出し切ることで、二度と同じ過ちを繰り返さない会社へと変える決意で取り組んでまいります。経営マネジメントは直ちに現場とのコミュニケーションをとり、本音で話のできる職場づくりに注力してまいります。(引用ここまで)」

どういう立場の従業員が、ではなく、ここでは「経営マネジメント」を主語に不正の原因が語られており、再発防止に関しても同様に、「経営マネジメント」が行動するとしています。謝罪文だからといってしまえば確かにそうなんですが、経営の問題としてとらえたこういう表現って実はなかなかないんですよね。

アマナ(amana) とうとう追い詰められたか

アマナは5/11、「特別調査委員会の調査報告書公表に関するお知らせ」を公表しました。っていうか、公表してました。もう駄目だろうなと思ってたもんで、気にも留めず、正直中身も確認していませんでした。5/15にも追加の開示が。

開示の内容等

今回の事案における売上・外注費の水増し及び架空計上による売上高の累積影響額は約1億4,600万円、売上原価の累積影響額は6,540万円だそう。追加事案の方は売上高の累積影響額が約5億5,400万円、売上原価の累積影響額は約3,920万円だそうです。

もうここまでくると、上記の金額自体はあまり意味をなさないかもしれませんね。この時点では、2022年12月期の有価証券報告書を延長承認された提出期限である5/22までに提出することを目指していましたが、5/15の開示では一変、5/31頃まで遅れざるを得ないとしています。

終わりの始まり?

なんかもう、何もかもがグダグダで、正直、提出期限に間に合わせて上場維持を死守するという気概も感じられません。いや、むしろ、このまま取引所の制度のせいで上場廃止となりましたみたいな形で、世間の関心が希薄化するのを待っているかのような感じ。

これまで意外に、「まだ再生が期待できるのかな」と感じさせてきた同社株価の方も、5/16に35円安。5/17には54円安の386円まで売られています。終わりの始まり、、、という感じです。

またトヨタ クラウド設定ミスで215万人分の顧客情報漏えい

トヨタ自動車は5/12、「クラウド環境の誤設定によるお客様情報の漏洩可能性に関するお詫びとお知らせについて」を公表しました。例によってホームページでひっそりと。子会社トヨタコネクティッドが管理する顧客約215万人分のデータの一部が、誤ってインターネット上で外部から10年近く閲覧できる状態になっていたとのこと。

事案の概要

トヨタのお知らせによると、「トヨタコネクティッド株式会社に管理を委託するデータの一部が、クラウド環境の誤設定により、公開状態となっていた」ということです。外部より閲覧された可能性がある顧客情報は、車載端末ID、車台番号、車両の位置情報、時刻などで、約215万人分だそう。

外部からアクセスできる状態にあった期間は2013年11月6日~2023年4月17日。なんと約10年にわたってです。トヨタは、「これらのデータのみでは、お客様が特定されるものではない」としていますが、だから問題ないというものではありません。

昨年10月に

トヨタでは22年10月にも、顧客約29万6000人分のデータが閲覧できる状態になっていたことが判明しています。メールアドレスや顧客を管理するための番号で、開発の委託先企業がプログラムを誤って公開設定にしていたことが原因だったとしていました。

当時、クラウドにおけるアクセス設定のミスによる情報漏えい問題が多発しており、総務省が、「クラウド設定ミス対策のガイドライン」を公表するなどの騒ぎになっていました。そのような状況下でトヨタでも上記の問題が発覚しています。

問題は何故この時、10年も続いていた誤設定については見逃してしまっていたのかというところです。その辺りについてはトヨタも一切触れていません。やっぱりダメですか、この会社。

株式会社ラックランド 特別調査委員会を設置

株式会社ラックランドは5/12、「特別調査委員会の設置に関するお知らせ」を公表しました。第1四半期の四半期連結財務諸表に係る四半期レビューの実施過程において、制作案件の工事原価に関する下請け工事業者からの見積書の電子ファイルが変造されていたということです。

株式会社ラックランド

ラックランドは店舗施設の制作会社。商業施設や小売・飲食店舗をはじめ、各種施設などの企画開発、デザイン、設計、施工、メンテナンスサービスなど一貫対応する企業です。もともとは業務用冷凍冷蔵庫、ショーケースの卸販売、メンテナンス業務でスタートした企業のようです。東証プライム上場企業です。

事案の概要

同社の監査法人(PwC京都)が、第1四半期の四半期連結財務諸表に係る四半期レビューの実施過程において、制作案件の工事原価に関する下請け工事業者からの見積書の電子ファイルを閲覧したところ、「見積書発行年月日」及び「工事物件名」のフォントが当該見積書の他の記載事項のフォントと異なることを発見したといいます。

さらに、これらの2箇所の記載を確認したところ上書きされたものであり、上書きされた記載を取り除いたところ、その下に全く異なる内容の記載が存在することを発見したんだそう。凄いですね、監査法人ってこんなところまで見てるんだ。

記載を上書きしたのは、工事見積書の収集を担当していた工事制作部門リーダーで、当該リーダーが見積総原価の算出期日を意識し過ぎるあまり、確実に提出が間に合わない当該見積書の変造を行ってしまったとしています。

変造された見積書ファイルの見積金額にも大きな差異はないようで、工事収益及び工事原価への影響はごく僅少で大事には至らないようです。が、特別調査委員会の設置ということに。まぁ、一度監査法人を欺くようなことやっちゃったから、きちっとけじめつけないと、、、ってことですかね。

永大産業 まったく別の事業所で連続して火災事故

永大産業は5/13、「当社敦賀事業所パーティクルボード工場における爆発火災事故発生に関するお知らせ」を公表しました。5/13の朝6時20分頃、福井県敦賀市永大町 敦賀事業所 パーティクルボード工場で爆発火災事故が発生。鎮火までに17時間を要しました。

永大産業

永大産業は、住宅資材および木質ボードを製造・販売する総合住宅資材メーカー。住宅用建材の素材であるパーティクルボード(木材をチップ化し、接着剤を塗布して熱圧成形したもの)から内装、水まわり製品まで幅広い事業を展開する東証スタンダード上場企業です。

事故の状況

第2報まで公表されており、何らかの理由で粉塵爆発が発生したと推測しているようですが、今のところ公式には爆発火災の発生原因は調査中となっています。この事故で同社従業員4名が被災しており、うち1名の方が亡くなっています。

1時間後には別の火災も

同じ日の7時15分には、同社が65%出資する子会社、ENボード株式会社(静岡県駿東郡小山町)でも火災が発生。こちらは人的被害もなく、1時間で鎮火していますが、両工場での連続した火災発生、これってホントに、全くの偶然なんでしょうか。

火災発生の前日、決算発表にあわせ永大産業はENボード株式会社の株式について、減損処理を実施し、関係会社株式評価損として 129 百万円を特別損失に計上するとも発表しています。この話についてもなにか関係がありそうに見えてきます(考えすぎでしょうが)。