KNT-CTホールディングス株式会社 コロナ関連業務で過大請求 調査委員会を設置

KNT-CTホールディングスは4/17、「調査委員会設置に関するお知らせ」を公表しました。これより前の4/12、「当社連結子会社による『新型コロナウイルスワクチン接種に係る業務』における過大請求について」を公表していて、このことに関する調査委員会が設置されたということですね。

KNT-CTホールディングス

KNT-CTホールディングスは、近鉄グループホールディングスの子会社で、「近畿日本ツーリスト」が個人・団体・法人向け、「クラブツーリズム」が会員向け・Web販売の旅行商品を提供する旅行会社大手です。今はこんな名前で上場してたんですね。東証スタンダード上場企業です。

過大請求の概要

同社子会社の近畿日本ツーリスト株式会社の西日本支社管内の支店が、大阪府東大阪市より受託している新型コロナウイルスワクチン接種に係る業務において、約2億9千万円の過大請求を行っていたことが発覚したといいます。

契約した席数を下回る数でコールセンター業務の再委託先に再委託していたにもかかわらず、東大阪市に対しては、契約した席数を基準に報酬を請求していました。東大阪市からコールセンターでの再委託先従業員の勤務状況に関する照会があり、この過大請求が発覚しています。

以前当ブログでも、パソナグループで発覚した過大請求を取り上げました。この件を受けて厚生労働省は全国の自治体に対し、同様のことが起きていないか確認するように指示を出していましたので、東大阪市でも指示に従い確認を行ったということでしょう。コロナ関連過大請求、、、同様の事案、まだまだ出てきそうです。

株式会社レイ 従業員による着服行為が発覚し、第三者調査委員会を設置

株式会社レイは4/14、「第三者調査委員会の設置に関するお知らせ」を公表しました。これより前の4/10に、決算発表の延期を公表しており、その時点で従業員による不正行為が原因であることを発表してたんですね。残念ながら見落としてました。

株式会社レイ

株式会社レイは、SP(セールスプロモーション)、TVCM(テレビコマーシャル)などの企画制作と、デジタル映像インフラを駆使した実制作を行うほか、デジタル映像機器のレンタルも行う企業です。テレビ朝日ホールディングスの持分法適用関連会社(テレビ朝日が同社株式を20%保有)。東証スタンダード上場企業ですね。

不正行為の概要

開示では、令和5年2月期に係る決算作業中に、同社従業員による着服行為が行われていた可能性を認識したとしています。当該従業員に対するヒアリングにより着服行為の事実が確認されたとのこと。さらに社内での調査により、この着服行為が過去数年にわたって行われていたことを確認しているようです。

全容の解明及び原因の究明並びに同種の事案の有無について、より客観的かつ専門的な見地から、本取引およびその他の過去の会計処理に疑義の生じる可能性のある取引等についてさらに網羅的に調査を行い、事実関係を正確に把握して問題点を解明するため、第三者委員会を設置した、としています。

今のところ開示されているのはここまでです。日本弁護士連合会の定める第三者委員会ガイドラインに準拠して、委員の選定を行っているあたり、それなりにインパクトのある金額の着服だったであろうことが窺えます。

公正取引委員会 IPO公開価格を巡りみずほ証券に対して注意

公正取引委員会は4/13、みずほ証券株式会社に対して、独占禁止法(優越的地位の濫用)の規定の違反につながるおそれがある行為として注意を行いました。新規株式公開(IPO)で、「公開価格」を設定する際、主幹事証券の優位な立場から一方的に低く値決めした行為がみられたということです。

「注意」の概要

みずほ証券は上場するみずほフィナンシャルグループの証券子会社です。問題視されたのは、2020年6月~21年5月に、IPOで主幹事を担当した21社のうちの2社。企業が他の証券会社から聞いた意見等を参考にせず、企業側の主張を下回る想定発行価格を提示するなどしたとのこと。

この2社は上場後の「初値」が公開価格の倍以上となり、公取委は「より多くの資金を調達できた可能性があった」と問題視しました。独禁法違反が疑われた場合、公取委は、違反の再発防止を求める「排除措置命令」、行為の取りやめを求める「警告」、違反はないが未然防止のため口頭で行う「注意」、の対応を取ります。今回はこの中の「注意」にとどまったということですね。

公開価格設定プロセス等に関する実態把握

実は昨年1月に公取委は、「新規株式公開(IPO)における公開価格設定プロセス等に関する実態把握について」という報告書を公表しており、今回のみずほの件はこの時点で把握されていたものと思われます。この昨年の報告書で、「今後は追及するぞ」としていて、今回はそれより2年遡った事案に対するもの。当然、「注意」ぐらいしかできません。

しかし、なぜこのタイミングで「注意」なんかわざわざ出したんでしょうね。昨年1月以降にあくどいことを続けている証券会社が、このあと挙げられるってことかもしれません。

コナミデジタルエンタテインメント 従業員が殺人未遂容疑で逮捕

日本経済新聞は4/12、「消火器で元上司殴打疑い コナミ関連会社の男逮捕」と報じました。職場で元上司の男性(48)の頭を消火器で殴り殺害しようとしたとして、ゲーム制作会社「コナミデジタルエンタテインメント」社員が殺人未遂の疑いで現行犯逮捕されたということです。

コナミデジタルエンタテインメント

コナミデジタルエンタテインメントは、上場しているコナミグループの100%子会社で、モバイルゲーム、家庭用ゲーム、カードゲーム、音楽・映像ソフト、グッズ等の企画、制作、製造及び販売を行う同グループの中核企業です。

事件の概要

銀座にある事務所で、座っていた元上司の男性の背後から男性の頭部を消火器で殴って殺害しようとしたという容疑だそう。元上司の男性は頭部打撲の7日間のけがをしました。調べに対し容疑者は、「パワハラを受けていて、殺すつもりで殴った」と話しているそうです。

かなり、ヤバい事件ですね。2人は以前、同じチームに所属しており、上司と部下の関係だったとのこと。逮捕された男は会社側に被害男性からパワハラを受けたと相談していたが、会社側は「パワハラの事実はない」と判断。2020年8月から男を別のチームに異動させる措置を取っていたといいます。

お知らせも含め、開示はまったく

現行犯逮捕ですから、事件に関しては疑問はないんですが、会社側がパワハラはなかったとした判断はどうだったんでしょうね。そこが気になります。報道を受けても、コナミグループ、コナミデジタルエンタテインメントともに何ら開示をしていません。しっかり調査したうえでの判断だったのであれば、その旨説明した方が良いと思うんだけど。

株式会社レーサム 従業員の不正行為で特別調査委員会を設置

株式会社レーサムは4/11、「特別調査委員会の設置に関するお知らせ」を公表しました。税務調査の過程で、同社の従業員1名が、複数年に亘り、特定の工事下請業者と協力して外注費の水増し発注を行った上で、その水増しの一部をキックバックとして受け取っていたということです。

株式会社レーサム

レーサムは、個人富裕層や機関投資家層などに向け、顧客の投資ニーズに合わせた収益不動産の調達、改修、開発および販売を行う、資産価値創造事業を主力に展開する企業です。同社が販売した物件の賃貸管理・建物管理などを行う資産価値向上事業、宿泊施設運営などを行う未来価値創造事業なども手掛けています。東証スタンダード上場企業ですね。

不正行為の概要

複数年に亘り、特定の工事下請業者と協力して外注費の水増し発注を行った上で、その水増しの一部をキックバックとして受け取っていたということで、同社が現時点までに確認した限り、このキックバックの金額は最大で合計3億円程度と想定しているんだそう。かなり、デカいですね。

同社としても、この事態を厳粛に受け止め、本件キックバックの全容解明、原因究明、類似事案の有無の確認及び再発防止策の検討を行うことを目的として、同日付で特別調査委員会を設置しました。特別調査委員会と呼んでますが、その構成は委員長以下全員同社の監査等委員(うち社外取締役が2名)です。

ちなみに、2023年3月期の決算発表は 2023年5月12日を予定しており、発表時期の変更は予定していないとのこと。調査期間は1ヶ月ということになりますから、ここまでの調査である程度結論が出てそうな感じですね。